⭕ お祓いの依頼 12
シュンシュンがテーブルの上に出した名刺には、【 セロッタ法律相談事務所 】という文字が書かれていて、セロカ君の絵が描かれている。
《 セロッタ商会 》が設立した【 セロッタ法律相談事務所 】は、セロカ会員なら誰でも自由に利用する事が出来る。
“ あらゆるトラブルに対して、気軽に相談が出来る ” としてセロカ会員からの信頼率も高い。
セロカ会員だけが、優秀で有能な弁護士を紹介してもらえるんだ。
その弁護士は全員〈 器人形 〉だったりする。
優秀で有能なのは当然だ。
霄囹
「 《 セロッタ商会 》で会員登録をしているセロカ会員なら、年中無休で利用が出来る法律相談事務所だ。
優秀で有能な弁護士達が相談に乗ってくれる。
何時でもP3倍だから、100円に3P加点されるぞ 」
マオ
「 何でシュンシュンが宣伝してるんだよ~~ 」
霄囹
「 プロにはプロで挑まないとな。
今回の話は僕から通しておく。
被害者の会が発足したら、弁護士を寄越して知らせてやるよ。
被害者に入るかは家族会議で話し合えば良いさ 」
住人の女性
「 有り難う御座います…… 」
霄囹
「 じゃあ、この家で見付けた呪物は僕が回収して行くぞ。
此処に残して帰る訳にはいかないからな 」
マオ
「 シュンシュン、氣の方はどうするんだ? 」
霄囹
「 今はどうにも出来ないんだ。
先ずは回収した呪物の呪いを祓う必要がある。
それが済まないと正常には戻せない 」
マオ
「 じゃあ、このままって事かよ? 」
霄囹
「 そうなる 」
マオ
「 800万をケチって幻夢さんに助けてもらうか? 」
霄囹
「 …………………………まぁ、待て。
未だ用事は済んでないぞ。
未だ調べる事が残っているからな! 」
マオ
「 調べる事って?
他に何か有ったか? 」
霄囹
「 庭だ。
正門から敷地内へ入った時、庭から異様な負念を感じたんだ 」
マオ
「 負念??
シュンシュン、業界用語を使われると分からないんだけど? 」
霄囹
「 負念ってのは、“ 負の念 ” と言って良くない念の事だ。
悪念,邪念,怨念って言葉を聞くだろ。
そういう類いのもんだ。
負念は負念でも極めて質の悪いモノだ。
悪念じゃなくて良かったな 」
マオ
「 オレは何も感じないのにな…… 」
霄囹
「 庭に出るぞ 」
マオ
「 紅茶とケーキを食べてからな! 」
──*──*──*── 中庭
マオ
「 う~~~~ん?
別に変わった所なんて見られないけどな…… 」
霄囹
「 ──原因を見付けたぞ!
此だな 」
マオ
「 それって──、鳥居……だよな?
何で鳥居が一般の庭に有るんだ? 」
霄囹
「 さてな、知らん。
だが、見てみろ。
一般的な鳥居とはデザインが微妙に違う 」
マオ
「 あっ、確かにな!
一寸オシャレっぽいデザインかな? 」
霄囹
「 マオ、他にも鳥居が隠されていないか中庭と裏庭を探すんだ 」
マオ
「 そういうのも式隷に探させた方が早いんじゃないのか?
まぁ、探しては見るけどな 」
シュンシュンと手分けをして、若者向けのデザインっぽい鳥居を探してみる。
オレは裏庭へ向かって歩いて行く。
──*──*──*── 裏庭
裏庭には背の高い百合の花が何本も咲いていた。
今って百合の花が咲く時期だっけ??
見た事の無い種類で色の百合だから珍しいな。
マオ
「 う~~ん…………それっぽい鳥居は見当たらないな。
あの1つだけなのかな? 」
オレが裏庭から離れ様としたら左足の靴の紐がブツっと切れてしまった。
マオ
「 ………………靴の紐って切れる様な弱い紐だっけ??
う~~ん…………100均に靴の紐、売ってたよな?
帰りに買えば良いか 」
オレは切れた靴の紐を無視して裏庭から離れ様とした。
すると今度は右足の靴の紐がブツっと切れた。
マオ
「 ………………ついてないな。
2本も靴の紐を買わないと駄目じゃんか。
まぁ、良いか── 」
オレは切れてしまった左右の靴の紐を無視して裏庭から離れた。
──*──*──*── 中庭
霄囹
「 マオ、鳥居は有ったか? 」
マオ
「 裏庭には無かったな。
珍しい百合の花は咲いてたけどな 」
霄囹
「 そうか──。
マオ、靴の紐が切れてるぞ。
どうした? 」
マオ
「 あぁ──、分からないな。
左が切れたら右も切れたんだよ。
簡単に切れる様な紐じゃないのにな 」
霄囹
「 はぁ…………。
マオ、霊視眼鏡は持って来てるか? 」
マオ
「 持って無いけど。
持って出る余裕なんて無かったろ~~ 」
霄囹
「 裏庭へ行くぞ 」
マオ
「 えっ、また行くのかよ?
鳥居なんて無かったぞ 」
シュンシュンは裏庭へ向かってズンズンと歩いて行く。
裏庭へ行って何をする気なんだろうな?