⭕ お祓いの依頼 11
──*──*──*── 1階
──*──*──*── リビング
再びリビングに戻って来ると、奥さんが新しい紅茶とケーキを用意してくれていた。
淹れたての紅茶を飲みながら、メロンのロールケーキを食べながら──、シュンシュンが判明した事を奥さんに詳しく話して聞かせている。
住人の女性
「 ──えぇっ?!
亡くなった陰陽師様が霊能力者様と同一人物ですか?? 」
霄囹
「 その可能性が高いって事だな。
若しくはグル──協力関係に有る。
陰陽師の頃にカモっていた金蔓をキープしつつ、霊能力者のファンクラブに入会させ、更にカモっていたんだ。
アンタ達みたいな犠牲者は多いぞ。
アンタ達夫婦に霊能力者を紹介した友人夫妻も被害者──犠牲者の一角だ 」
マオ
「 という事はだ──、被疑者,犠牲者の会を作って、裁判でコテンパンに負かして損害賠償の請求を── 」
霄囹
「 破産させるのも面白いかもな。
そんな訳で、陰陽師様と霊能力者に関しては僕が痛め付けてやるから安心しろ。
全額ではないにしろ、洗脳されて貢がされていた金額の半分は取り戻せる様に手は打ってやる 」
住人の女性
「 それは……有り難う御座います……。
主人と娘にも話してみます…… 」
霄囹
「 さて──、この家の中に隠されていた物を式隷が見付けてくれた。
どうやら和式を洋式にリホームする際の工事期間を利用して、目立たない場所へ隠す様に仕込まれていた事が分かった。
誰にも発見されない様、周到に隠されていたんだ 」
マオ
「 えっ?!
じゃあ、気──じゃなくて、氣が捻れていたり、複雑に絡ませてる原因になってる物が拝めるって事か? 」
霄囹
「 本当に拝むんじゃないぞ。
歴とした呪物だ。
佛様の像,菩薩様の像を呪物に起用するとはとんだ罰当たりな野郎だ。
この悪党は犯罪者として酷しく裁いて良い奴だ 」
マオ
「 でもさ、見付からない様に隠すんだよな?
だったら何で態々佛様の像,菩薩様の像を使う必要が有るんだよ? 」
霄囹
「 そんなのは言い訳する為の保険に過ぎない。
住人に発見された時の事を見越して、怪しまれない佛様の像,菩薩様の像を使っているんだ。
此は完全に悪意が溢れ出ている確信犯だな 」
マオ
「 何で其処までハッキリと言い切れるんだよ?
違うかも知れないだろ? 」
霄囹
「 分かってないな。
良いか、何度でも言いうが──、『 楽して大金をガッポリ稼ぎたい 』って思ってる奴は、実行してる時点で “ 良心 ” なんてもんはとっくに捨ててるんだよ。
自ら良心を捨てた奴は、自己中心的,利己的,自分の利益しか考えない自分ファーストなゲスクズが多いんだ。
そんな奴等はどんなに罰当たりな事をしても気付けないし、気にも止めない。
他人から教えられても右から左へ聞き流す。
自分が正義だからな 」
マオ
「 ふぅん?
鯔のつまり、やんちゃしてた頃のヤバいシュンシュンみたいな奴等って事だな 」
霄囹
「 そうそう、その通り──って、コラ!
僕を例えに出すんじゃない! 」
マオ
「 ちゃっかり自分でも認めたじゃないか。
自覚してるだけシュンシュンは偉いよ。
ちゃんと更正出来てるって証拠だろ。
オレは嬉しいんだ♪ 」
霄囹
「 フン!
僕は昔から何1つ変わっちゃないぞ!
兎に角だ、コイツ等の愚かさを治すには、死の恐怖を実際に体感させる事だ。
身体の一部でも奪えば、魂に恐怖が植え付けられる。
トラウマが発動して罰当たりな事が出来なくなるんだ。
良心を捨ててるから心の底からの反省は期待出来やしないが、キツい御灸は据えられるぞ 」
マオ
「 シュンシュンが大好物な刑だな。
じゃあ、この家に暮らす住人をカモる為に和式を洋式にリホームさせて、罰当たりな呪物を仕込んでた訳だな?
でもさ、何でこの家に白羽の矢を立てたんだ? 」
霄囹
「 いや、違うな。
多分、この家だけじゃない。
この家を紹介した不動産屋もグルである可能性が高い。
不動産屋で住居を決める時に、カモる対象を品定めしていたんだろう。
金を待ってない客からは十分にカモれないだろ。
裕福で定期的にカモれる様な都合の良い客に目星を付けては、既に仕掛けを施してある住居を紹介し、良い値で買わせたんだ。
飼い犬は奴等が仕掛けておいた物の異常さをキャッチして威嚇していたんだ 」
マオ
「 …………という事は、知らない内に不動産屋に唾を付けられていて、家を買う様に言葉巧みに誘導されていた──って事かよ?? 」
霄囹
「 そんな処だ。
僕でもそうするからな!
コイツ等は完全にプロだ。
素人が大勢集まり訴えても痛手を負わせる事の出来ない様な犯罪プロ集団だ。
プロの退治屋に依頼した方が良い案件だ。
良かったな、僕がその道のプロで!! 」
マオ
「 本当だな!
でも、奥さんはシュンシュンの話を聞いて戸惑ってるぞ 」
霄囹
「 そりゃそうだろ。
霊観の弱い人間にはさっぱりな内容だからな。
其処で──、此の出番って訳だ 」
そう言ったシュンシュンは、テーブルの上に1枚の名刺を出したんだ。
◎ 訂正しました。
酷しく ─→ 酷しく