✒ 朝から銀世界
──*──*──*── 12月26日
──*──*──*── 1階・居間
夜の間に大降りになったんだろう、裏庭には大量の雪が積もっている。
今朝は一段と冷え込んでいるかも知れない。
セロの魔法のお蔭で室内は快適な温度が保たれているから、寒さなんて感じずに過ごせている。
朝の天気予報を見ているけど、どうやら全国的に大雪らしい。
大雪警報のテロップがTV画面の上を流れている。
マオ
「 凄いよな~~。
全国的に大雪だってさ。
『 ホワイトクリスマスだ~♪♪ 』って浮かれてる場合じゃなかったな… 」
セロフィート
「 マオ──、“ あ~~ん ” してください 」
マオ
「 1人で食べれるってば(////)」
セロフィート
「 夫婦のスキンシップです。
昨夜は激しく求め合ったでしょうに。
素っ気無いですよ 」
マオ
「 言うなよ!(////)
思い出すだけで顔から火が出る程、恥ずかしいんだからぁ!! 」
セロフィート
「 夫婦なのです。
恥ずかしがらないでください。
可愛いでしょう。
ワタシを誘ってます? 」
マオ
「 誘ってないから! 」
朝っぱらからセロが甘々で優しい。
嬉しいけど、恥ずかしい(////)
昨夜は本当に手加減してくれなかったもんな~~(////)
セノコン
「 臨時ニュースですエリ 」
マオキノ
「 速報ですエリ 」
マオキノとセノコンは事件や事故のニュースが大好物みたいで、食い入るように毎朝、ニュース特番を見ている。
タオルで涎を拭きながら見てるから怖い…。
マオ
「 大雪で建物が倒壊したとか、長蛇の渋滞になってるとかだろ? 」
セロに「 あ~ん 」をされながら食後のデザートを食べていると、米●町にある学校の映像が映し出された。
ニュースの内容は、米●町内にある小学校,中学校,高校の校庭── 運動場だな ──に物凄い雪が積もっている映像だ。
校庭に積もった大量の雪を退かす為に除雪車を呼んで、校庭へ入れようとした小学校の教師が記者のインタビューに答えている映像が流れている。
マオ
「 凄いな~~。
あんなに雪が積もってたら流石の除雪車も除雪なんて出来ないじゃんな。
教師が総動員して手で雪掻きするしかないよ 」
顔出しNGなのか、モザイクで顔を隠されて、変声もされている教師の口から、インタビュー中に耳を疑うようなとんでもない言葉が発せられた。
顔出しNG教師は「 凍死体なんですよ、全部……。校庭の雪の下に埋まっているは全部──、凍死体なんです 」って困惑したような声で激白している。
顔出しNG教師の爆弾発言にインタビューをしている記者も「 えっ?? 」「 はい?? 」「 うん?? 」って感じで戸惑っている。
マオ
「 凍死体??
どゆことだよ? 」
オレも思わず声を出して、画面にツッコミを入れてしまうぐらいだ。
きっと、この朝のニュース番組を見ているお茶の間の視聴者達も思わずツッコミを入れてるかも知れない。
顔出しNG教師のインタビューは続いている。
「 サンタクロースの衣装を着た人間が──、雪の下に埋まっているんです……。校庭にみっちりと──です。除雪機を入れようと思って、入り口の雪掻きをしていたら──、知らない人の凍死体だったんです!! 」と顔出しNG教師が言う。
顔出しNG教師の言葉を確かめる為に記者がカメラマンと共に雪を払っていると、雪の下には確かに赤い服を着た人間が冷たくなった状態で埋まっていた。
驚いた記者は尻餅を付いて悲鳴を上げる。
生放送だったのかも知れない。
どうやら他の小学校,中学校,高校の校庭に積もっている雪の下からも次々に赤い服を着た人間の凍死体だった──というテロップが画面上に流れている。
赤い服は間違いなくサンタクロースの衣装で、雪の下に埋まっているのは身元が不明の凍死体。
昨日迄は校庭にサンタクロースの衣装を着た人間なんて1人も居なかったと証言もされている。
抑学校の校門は部外者が立ち入れないように閉まっているし、校内に入る為には教師達が使う裏口を使うしかない。
校庭を埋め尽くす程の人達が校内に侵入すれば間違いなく誰かが気付く筈だし、サンタクロースの衣装は目立って仕方無いから忍んで侵入しようとしても忍べやしない。
積もった雪の下に埋まっているのだから、雪が本降りになる前に校庭へ入り込んで、地面に寝転ばないといけない。
だけど、雪が本降りになったのは深夜だ。
他にも学校がある。
校庭がある全ての学校の校庭で同じ事が起きている。
犯行中の目撃者が居ない世にも奇妙なミステリー事件。
明らかに誕生祭後に起きた珍事件!!
セノコンもマオキノもTVにベッタリ張り付いて見ている。
マオ
「 …………楽しい誕生祭の後に、こんな奇妙で痛ましい事件が起こるなんて、誰も想像してなかっただろうな……。
立ち入り禁止になってる校門を乗り越えて校庭に入ろうとしたら、誰かが気付くよな……。
サンタクロースの衣装なんて凄く目立つし、彼此の学校で同様に起きてる事件だし……。
全員の身元が判明すると良いけど……。
それにしても何で米●町なんだろうな? 」
セロフィート
「 犯罪天国都市だからでしょう 」
マオ
「 そだな……。
──23日,前夜祭,誕生祭も1件も事件や事故が起きなくて、夢のように平和な3日間だったのに、今日のニュースで台無しだよ。
一体誰が何の為にこんな事を思い付いたんだかな── 」
セロフィート
「 クリスマスプレゼントです 」
マオ
「 うん?
クリスマスプレゼントぉ??
この奇妙で不可思議な事件が?
サンタクロースからのプレゼント?? 」
セロフィート
「 誰にも邪魔されずに楽しいデートをする為に。
ワタシからマオへのクリスマスプレゼントです 」
マオ
「 ──は??
なんて?! 」
セロフィート
「 折角のクリスマスデートを事件や事故で台無しにしたくなかったですし。
23日 ~ 25日の3日間、事件も事故も起きないようにしました。
事件や事故を起こし兼ねない人物や逃走中の犯罪者を転移魔法で隔離してました 」
マオ
「 なん……だと?! 」
セロフィート
「 誕生祭も終わりましたし、校庭のある学校に転移させ、眠らせたまま放置しました。
サンタクロースの衣装を着させたのは、誕生祭期間だったからです。
良い感じに雪が大降りになってくれて、隠す手間が省けました♪ 」
マオ
「 …………じゃあ、雪の下に埋まってる凍死体を作った犯人は──セロ? 」
セロフィート
「 はい♪
マオへのクリスマスプレゼントです。
張り切りました♪ 」
マオ
「 ………………マジかよ 」
セロフィート
「 デート、楽しめたでしょう?
ワタシのクリスマスプレゼントは大成功でしたね♪ 」
マオ
「 ………………………… 」
「 開いた口が塞がらない 」ってのは、こういう時にこそ使うべきだよな。
言葉が出ない。
そうだよな……セロは犯罪や事件,事故を起こす側だ。
奇妙で不可思議で、人為的に無理そうな事件や事故は全部、セロが起こしている可能性を忘れたらいけないんだ。
セロが妙に御機嫌だったのは、これの所為だったんだ!!
とんでもないクリスマスプレゼントじゃないかよ!!
後世に語り継がれるような事件が、また1つ増えたじゃないか!!
マオ
「 セロ──、幾らなんでも殺り過ぎじゃないかな? 」
セロフィート
「 はい?
犯罪者と犯罪者予備軍を纏めて掃除が出来ました。
やり過ぎではないでしょう?
米●町の治安も多少は良くなる筈です? 」
マオ
「 疑問系は止めろ~~ 」
セノコンとマオキノは可愛い粒羅な瞳をキラキラと輝かせて、セロを見上げている。
感激しているみたいだ。
セノコンとマオキノにとってのセロは、ヒーローなのかも知れないな。
◎ 6:30 ~ 9:30の3時間で、2話を書けました。
朝っぱらか「 何を書いてるんだか 」って笑っちゃいます。