✒ 列車に乗ろう 2
──*──*──*── 列車の中
マオ:セロー
「 此処が列車の中か──。
何か……古臭さを感じる作りだよな 」
霄囹:ゲンブ
「 切符に書かれてる番号の座席に座るぞ。
画面が出て来たら〔 クエスト開始 〕を押すんだ 」
マオ:セロー
「 分かったよ。
冒険者やNPCで座席が埋まってるな~ 」
エイツ・クロード・エンデミン
「 あっ、切符と同じ座席を見付けたよ! 」
マオ:セロー
「 エイツ、早いな~~ 」
エイツが見付けてくれた座席の番号と切符に書かれている番号を確認したら、座席に腰を下ろして座る。
座席には何故シートベルトみたいなのが付いていて、出て来た画面には〔 シートベルトをしてください 〕とメッセージが出ている。
マオ:セロー
「 シートベルトなんだな~~ 」
画面の通りにシートベルトをしたら、文字が消えて〔 クエスト開始 〕の文字が現れた。
ゲンブに言われた通りに〔 クエスト開始 〕を押すと、何時の間にか車両の中には、ゲンブ,エイツ,オレの3人とNPCだけになっていた。
マオ:セロー
「 他の冒険者達の姿が消えたけど、どゆことだよ?! 」
エイツ・クロード・エンデミン
「 多分だけど、他の冒険者達もギルドメンバーごとでクエストが始まったんじゃないかな。
所持しているアイテムでシナリオの内容が変わるらしいから── 」
霄囹:ゲンブ
「 まっ、そういう事だな。
見てみろよ、していた筈のシートベルトが消えてるだろ。
NPC以外は僕達みたいにクエスト中だ。
僕達も解決を目指すぞ! 」
マオ:セロー
「 よし、どんなシナリオかは分からないけど頑張るぞ! 」
マオ:セロー
「 ……………………降参して良いかな?
オレには犯人が分からないよ…… 」
霄囹:ゲンブ
「 右に同意だな。
僕は探偵じゃないから推理は出来ない! 」
エイツ・クロード・エンデミン
「 2人共、ギブアップするの早過ぎないかな? 」
マオ:セロー
「 御免、エイツ──。
何が何だかさっぱりなんだ…… 」
霄囹:ゲンブ
「 生憎と僕は推理系の小説も漫画も読まないんだ。
ドラマも映画も見ないしな! 」
マオ:セロー
「 胸張って言う事じゃないけどな~~ 」
エイツ・クロード・エンデミン
「 あはは………………。
推理にも得意不得意が有るからね……。
推理は僕がするよ。
セローとゲンブは情や手掛かりを整理してくれるかな? 」
霄囹:ゲンブ
「 任せろ!
証拠隠滅と証拠の偽造,捏造は朝飯前だ! 」
マオ:セロー
「 証拠を隠滅させたら駄目だろ!
証拠の偽造,捏造なんてゲームの中で出来るのかよ? 」
霄囹:ゲンブ
「{ 馬鹿だな!
僕達には強い味方が居るだろう!
セノコンとキノコンに頼むに決まってるだろが── }」
マオ:セロー
「{ ゲンブは純粋にゲームを楽しむ気は無いんだな…… }」
まさか列車の中で殺人事件が起きて、事件を解決しないといけないシナリオが発生するなんて予想もしなかった。
オレは時代劇しか見ないから推理なんて頭を使う内容はからっきしだ。
きっと幻夢さん,玄武さん,弓弦さんも謎解きは苦手なんじゃないかな?
セロは推理なんてしなくても古代魔法を使って犯人を割り出しちゃうからな~~。
マオ:セロー
「 あぁ゛~~もぅ゛~~~~!!
何で列車の中で殺人なんかするかな!!
迷惑極まりないだろっ!! 」
エイツ・クロード・エンデミン
「 列車の中で殺人事件が起こるのはミステリーの定番だよ。
船とか飛行機とかバスとか密室殺人事件って結構、人気が有るから──。
多分、今回のシナリオは “ 推理小説の女帝 ” って言われてるアザカ・クリステンの小説が基になってると思うんだよね。
犯人は11名のNPCの中に居るのは確実だよ。
犯行を起こし易そうな体力のある若い大人が犯人って決め付けない方が良いと思う。
分岐点での選択,推理の進み具合,証拠や手掛かり,情報収集の順番とか色んな選択に依って、犯人が変わる複数EDの可能性が高いよ。
お年寄りが犯人のEDや子供が犯人のEDなんかも用意されてると思うんだよね。
まるで “ かま◯たちの夜 ” みたいな── 」
マオ:セロー
「 “ かま◯たちの夜 ” って? 」
エイツ・クロード・エンデミン
「 う~~ん、小説形式の推理ゲームかな?
子供の頃に遊んだ事が有るんだ。
僕は学生の時、推理小説や推理漫画を読んでいたんだ。
大人になっても気分転換に推理ドラマを見たりするよ 」
マオ:セロー
「 じゃあ、エイツは推理が出来るんだな!
心強いじゃん♪ 」
エイツ・クロード・エンデミン
「 う~~ん…………好きではあるけど、得意ではないんだよね……。
事実は1つだけど、真実は1つじゃないし…… 」
霄囹:ゲンブ
「 おい、エイツ。
真実は1つだろ?
有名な少年探偵の台詞を否定するのか? 」
マオ:セロー
「 有名な少年探偵って誰だよ、ゲンブ 」
エイツ・クロード・エンデミン
「 30年程前から少年誌で連載されてる推理漫画だよ。
アニメ化もされて、アニメ映画も大人気だったんだよ。
実写ドラマ化もされた事があるんだ。
子供の声をアニメと同じ声優さんが── 」
エイツは本当に推理系の話が好きみたいだ。
うん、頼りになる!!
エイツ・クロード・エンデミン
「 ──という感じで、完結は再来年辺りになるんじゃないかって、噂されている長期連載漫画なんだ。
僕も毎巻、欠かさず買っていたんだけどね…… 」
霄囹:ゲンブ
「 もう買ってないのか? 」
エイツ・クロード・エンデミン
「 いや、買ってるよ。
ただ……読めずに部屋の隅に積んであってね……。
イラスト集も買ったんだけど、仕事がゴタゴタしてるから見るのも出来ないよ……。
ついつい刑事ドラマや探偵ドラマの方を見ちゃうからね 」
マオ:セロー
「 買っても読めないなんて相当忙しいんだ? 」
エイツ・クロード・エンデミン
「 まぁね……。
職場がギスギスしてるから余計にね。
精神的にも参っちゃうんだよ…… 」
霄囹:ゲンブ
「 そう言えば、後輩にアイデアを盗まれて云々とか言ってたな。
未だ解決してないなら、呪術のエキスパートを紹介してやるよ。
呪いで懲らしめてやれるぞ 」
マオ:セロー
「 ゲンブ!
エイツを困らせるなよ 」
エイツ・クロード・エンデミン
「 …………そういうのは遠慮したいかな~~。
気持ちだけ貰っとくよ、有り難う(////)」
霄囹:ゲンブ
「 そうか?
効果覿面なんだけどな。
エイツのアイデアを盗んで手柄まで横取りしてるんだろ?
死にたくなる程後悔させてやれるのに── 」
マオ:セロー
「ゲンブぅ~~ 」
霄囹:ゲンブ
「 分かった分かった。
保留にしといてやるから気が変わったら何時でも言えよ。
とっておきの陰陽師を紹介してやるからさ! 」
マオ:セロー
「 ゲンブ、しつこい!
今は事件を解決しないとだろ?
推理はエイツに任せて、オレ達は手掛かりや情報収集に専念しよう 」
霄囹:ゲンブ
「 そうだな。
取り敢えず、どんなシナリオEDでも構わないからクリアさせるぞ! 」
一寸無駄話をして脱線したけど、本題に戻れて良かった。
全く──シュンシュンはゲームの中でも自分を売り込もうとするんだな。
此からも要注意だな!
オレはゲンブと一緒に車両の中に居るのは容疑者でもあるNPC達から見落としが無いかを兼ねた事情聴取を始める事にした。