⭕ NEWフレンド 3
──*──*──*── 街中
《 防具屋 》でエイツの防具をオーダーメイドする為に素材の提供をしたオレは、《 防具屋 》でエイツと分かれて別行動をする事になった。
オーダーメイドの依頼に入ると時間が掛かるからだ。
今は1人で街中を散策している。
【 VWG・MMQ 】を始めてから1ヵ月も経つけど、未だに街中をゆっくりと観光してなかったんだよな~~。
折角だし、楽しもう!!
マオ:セロー
「 《 飲食店 》や《 屋台 》は在るけど、食べても味がしないんだよな~~。
《 スキル屋 》で調理スキルを買えるけど──。
作った料理の見た目は美味しそうだけど、味がしないし……。
装着してるのがゴーグルだから、味覚も嗅覚も現実感は無い──って、シュンシュンが愚痴ってたっけ。
頭から被るヘルメット用のじゃないと味覚,嗅覚を感じないのは残念だよな~~ 」
周りには誰も居ないのについつい1人言を言っちゃう癖は【 VWG・MMQ 】の中でも変わらないな(////)
それにしても、やっぱり誰かの視線を感じる。
全く──、何処の誰だよ??
思い切って此方から声を掛けてみようか?
マオ:セロー
「 コソコソ隠れてワタシを見ている── 」
オレの後を尾行している怪しい奴に声を掛け様としたら「 ズドゴゴォォォォォォン!!!! 」って物凄い音が響いて来て、爆風に煽られた。
一体何が起きたんだよ?!
あっちは確か────、噴水の在る公共広場だったかな??
オレは今も鳴り止まない爆音の方へ向かって走った。
セロは走らないけど、オレはセロじゃないか遠慮無く走るぞ!!
尾行してる怪しい奴なんか、今はもうどうでも良い!
野次馬根性には勝てないって事だな★
──*──*──*── 噴水広場
マオ:セロー
「 一体何が── 」
背が高いから人集りが出来ていても余裕で見れるのは有り難いよな。
高身長ってマジで最高ぉ~~~~♪♪♪
マオ:セロー
「 えっ!?
しゅ──シュンシュン!?
何でシュンシュンが──??
最近、見ないと思ったら── 」
騒ぎに集まっている野次馬達の先に見えた姿は、陰陽師の格好をしている男キャラクターだ。
洋風な世界観で作られている【 VWG・MMQ 】の中で陰陽師の格好をしているNPCなんて居やしないし、冒険者だってオレは1人しか知らない。
だって、表示されているLVを見たら間違え様が無いから──。
だから、あの陰陽師はシュンシュンだ。
あっちの状況は分からないけど、何故かシュンシュン──じゃなくて、ゲンブが絡まれてる??
ゲンブと対峙しているのは、冒険者みたいだ。
幾らなんでも5対1は卑怯じゃないのか?
ゲンブのLVは400を超えてるから、100人を集めてもゲンブの相手にはならないだろうけど……。
返り討ちされるのが関の山だけど──、このまま野次馬と一緒に見てるだけってのは、友達として如何なものか──。
仕方無い。
此処はゲンブに声を掛けてみよう!
どっちに非があるか確かめないと──だしな。
オレは野次馬化している冒険者やNPCを掻き分けてゲンブの元へ歩いた。
此処は落ち着いて歩きながら近付いた方が良いと思う。
駆け足で近付くのは品が無い気がするし、転んだりしたらそれこそ格好が付かない。
マオ:セロー
「 ──ゲンブさん、お久し振りです。
こんな目立つ場所で、どうしました? 」
霄囹:ゲンブ
「 セローか。
確かに久しいな。
少々言い掛かりを付けられてな 」
マオ:セロー
「 言い掛かり…です?
ゲンブさんのLVを見ても言い掛かりを付けるとは、随分と身の程知らず──いえ、度胸の有る方達ですね? 」
霄囹:ゲンブ
「 そうだな。
身の程知らずにも程がある。
先程も7名程を彼方へ吹き飛ばしたのだが──、退いてくれぬので困っていてな 」
マオ:セロー
「 困っている様には見えませんけど? 」
霄囹:ゲンブ
「 セロー、お前の魔法で残りの奴等を何処かへ飛ばしてくれぬか? 」
マオ:セロー
「 はいはい。
竜巻を起こして “ さよなら ” するとしましょう 」
という訳で──、風属性の特急魔法で竜巻を発生させた。
ゲンブに言い掛かりを付けて来た冒険者達は、竜巻に巻き込まれて何処かへ飛んで行った。
マオ:セロー
「 シュンシュン~~♥
久し振りだなぁ~~、シュンシュン♪♪♪ 」
オレは唯一素で話せるシュンシュン──ゲンブに抱き付いた。
霄囹:ゲンブ
「 ぐへぇ──!?
おい、“ ゲンブ ” って呼べって言ってるだろっ!!
その顔で抱き付くんじゃない、離れろ!! 」
マオ:セロー
「 良いじゃんか。
久し振りなのは事実なんだしさ! 」
霄囹:ゲンブ
「 場所を移して話すぞ。
付いて来い 」
マオ:セロー
「 あぁ~~………………人が多いもんな 」
御機嫌斜めなゲンブに手首を掴まれたまま、人気の無い場所へ移動した。
──*──*──*── 裏路地
霄囹:ゲンブ
「 全く……誰に見られているか分からないんだから、気を付けろ 」
マオ:セロー
「 悪かったよ、シュンシュン 」
霄囹:ゲンブ
「 反省してないだろ…… 」
マオ:セロー
「 してるって!
それより、シュンシュンに紹介したい友達が出来たんだ! 」
霄囹:ゲンブ
「 それよりって──。
まぁいい………… “ ゲンブ ” って呼べよ! 」
マオ:セロー
「 今さ、《 防具屋 》でオーダーメイドの防具を注文してるんだけど、会ってくれよ 」
霄囹:ゲンブ
「 はぁ?
友達に会えだって?
お前、僕以外の冒険者と友達登録したってのか! 」
マオ:セロー
「 するだろ、普通──。
シュンシュン──ゲンブだって冒険者と友達登録してるだろ? 」
霄囹:ゲンブ
「 するかよ、面倒だろが!
僕は自分のペースで楽しみたいんだ 」
マオ:セロー
「 えぇ~~………………以外だなぁ~~。
本当にシュンシュンかよ? 」
霄囹:ゲンブ
「 お前は僕を何だと思ってるんだ?
それで、どんな奴なんだよ、そいつは?
パトなんちゃら──みたいな奴じゃないだろうな? 」
マオ:セロー
「 パトリシニアスさんな。
違う違う、全然違うから安心してくれて良いから。
名前は “ エイツ ” で、男装してる女の子だよ 」
霄囹:ゲンブ
「 はぁ?
【 VWG・MMQ 】の中で男装してるのか?
変な冒険者だな。
それで? 」
マオ:セロー
「 職業は “ 妖精憑き ” なんだ。
エイツはソロでUKをクリアした凄い奴でさ、クリアした後に虹属性の精霊王と契約をする事になって、職業が “ 妖精憑き ” に変わったらしいんだ 」
霄囹:ゲンブ
「 はぁ?
精霊王と契約したなら “ 精霊憑き ” だろが 」
マオ:セロー
「 虹属性の精霊王が妖精王だから、“ 妖精憑き ” なんだ。
エイツの剣に敵が苦手としている弱点の属性魔法を纏わせて攻撃を出来たり、妖精王に生み出された妖精達が一時的にだけど戦闘中に助けてくれたりするんだ。
敵のHPを半減してくれるんだぞ!
凄いだろ、心強いだろ、頼りになるだろ!! 」
霄囹:ゲンブ
「 確かにな──。
悪くない戦力では有るかもな?…… 」
マオ:セロー
「 凄いんだけど…………奴隷を買ったり、パーティに組んだりは出来ないみたいなんだ。
御互いに苦手な部分を補い合えたら良いなって──思ってるんだ(////)」
霄囹:ゲンブ
「 お前と僕には、誰かに補われないといけない箇所なんて無いだろが 」
マオ:セロー
「 それは……そうだけど…………。
“ 妖精憑き ” って公式認定のボッチ設定らしいじゃんか。
NPCからだけじゃなくて冒険者からも忌み嫌われて、避けられる設定だろ?
公式認定だとしても酷いと思わないか? 」
霄囹:ゲンブ
「 そういう設定なら、それなりの理由が有るんだろ。
知るかよ 」
マオ:セロー
「 でもさ─、ゲンブとセローは違うじゃんか!
色んなバグの影響を受けてるから、世界観の設定を無視してエイツとも仲良く出来てると思うんだ 」
霄囹:ゲンブ
「 公式認定の設定を無視している状態は、明らかにバグだろうな。
運営側にバグを修正するのは不可能だろうな 」
マオ:セロー
「 今はさ、《 ダンジョン 》後略を目指して冒険者ランクを上げてる最中でさ、ゲンブにも手伝ってほしいんだよ。
クエスト攻略にも協力してくれないかな? 」
霄囹:ゲンブ
「 全く……。
何で弱い他人なんかとつるみたがるんだか…… 」
マオ:セロー
「 シュンシュ──ゲンブぅ~~頼むよ! 」
霄囹:ゲンブ
「 たく……。
僕等のギルドに入れてやれよ。
そうすれば勝手にメンバー登録されるだろ。
心無い馬鹿な冒険者共からの嫌がらせも減るだろ 」
マオ:セロー
「 良いのか? 」
霄囹:ゲンブ
「 LV400超えの冒険者が立ち上げたギルドメンバーに喧嘩を売る馬鹿な冒険者は、僕が直々に潰してやるさ。
[ ログイン ]出来なくしてやっても良いし、現実でズタボロになるまで追い込んでやっても良いぞ 」
マオ:セロー
「 それは流石に…………やり過ぎかな? 」
霄囹:ゲンブ
「 エイツって冒険者は、虹属性の精霊王──妖精王に好かれてる奴なんだろ?
虹属性の精霊王ってのは、全属性の魔法をMPを消費せずに発動が出来る激レアな存在だ。
ギルドメンバーになれば、僕等も多少なりとも精霊王,妖精王の恩恵を受ける事が出来るんだ。
バグで受けない可能性も有るがな。
《 防具屋 》に居るんだったな。
今から向かうぞ! 」
マオ:セロー
「 うん!
シュンシュン、有り難な! 」
霄囹:ゲンブ
「 そいつの前では “ ゲンブ ” って呼べよ 」
マオ:セロー
「 努力はするよ 」
シュンシュン──じゃなくて、ゲンブがエイツと会ってくれる事になった。
ギルドに加入もさせても良いって言ってくれた。
何だろう、すっごく嬉しいな(////)
◎ 訂正しました。
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