✒ NEWフレンド 1
シュンシュンに付き合わされて【 VWG・MMQ 】を始めてから既に1ヵ月が過ぎた。
シュンシュンと一緒に【 VWG・MMQ 】へ[ ログイン ]する時もあれば、1人で[ ログイン ]する時もある。
1ヵ月も経てば、オレもそれなりに【 VWG・MMQ 】慣れていた。
【 VWG・MMQ 】の中では、ゲンブ以外の友達も増えて、友達同士でつるんでは冒険者ランクを上げる為に《 冒険者斡旋所 》の依頼を受けたり、《 酒場 》でクエストを受けたりと興奮している。
友達からヘルプが入れば、《 アイテム界 》の攻略にも協力している。
オレがゲンブ以外で多くつるんでいるのは、“ エイツ ” と言う名前の冒険者で、職業は “ 妖精憑き ” だ。
何でもUKを攻略した事でUKCである虹属性の妖精王と契約を交わす事が出来たらしい。
ソロでUKを攻略したエイツが、相当な手練れだという事が分かる。
この妖精王は契約者であるエイツにしか見えないし、声も聞こえないらしい。
どんな容姿なのか気になるけど、見えないのは仕方無いよな。
エイツが契約した虹属性の妖精王は全属性の魔法を扱えるらしく、愛用の剣に憑依すると、敵が苦手としている属性の魔法を剣に纏わせてくれる頼もしい妖精王だったりする。
一時的に妖精を生み出して、敵のモンスターを喰べてHPを削ってくれたり、ドロップアイテムの回収も手伝ってくれる。
便利で頼りになる妖精達だ。
今はエイツと組んで湖に大量発生している “ クリンドースライム ” って名前のモンスターを退治している最中だったりする。
マオ:セロー
「 魔法が効くなら眠らせて回収も出来たのですが…… 」
エイツ
「 此ばっかりは仕方無いね。
妖精王の出番も無いし──。
妖精さん達がHPを削ってくれるだけでも有り難いよ 」
マオ:セロー
「 そうですね。
HPを半分にしてくれるだけでも十分に助かっています。
妖精さん達には何かしら御礼をしたいものです 」
エイツ
「 あははっ(////)
セローの言葉だけで十分だと思うよ!
職業が “ 妖精憑き ” の僕と仲良くしてくれるだけで、妖精さん達が喜んでるんだからね 」
マオ:セロー
「 ふふふ(////)
妖精さん達に喜んで頂けてワタシも嬉しいです 」
そうなんだよな。
職業の “ 妖精憑き ” は、冒険者から忌み嫌われていて、ハブられてしまう職業らしいんだよな。
世界観でそういう設定らしいから、変更はされないみたいだ。
オレが “ 妖精憑き ” のエイツを忌み嫌わず普通に接していられるのは、バグの影響を受けているからかも知れない。
オレが平気なんだからシュンシュン──ゲンブも平気だと思う。
そうそう、職業には “ 妖精使い ” や “ 精霊使い ” ってのも有るらしいけど、“ 妖精憑き ” とは異なる職業らしい。
オレには違いがイマイチ分からないんだよな。
シュンシュンに会ったら聞いてみようと思ってるんだ。
因みにエイツと契約して取り憑いている虹属性の妖精王は、虹属性の精霊王でもあるらしい。
だから、NPC達からは、“ 精霊憑き ” とも呼ばれていて避けられているんだ。
NPCからも冒険者からも “ 嫌われる ” って、やり過ぎ設定じゃないかな?
やっぱり、セローが “ 妖精憑き ” のエイツを嫌わないで仲良く出来ているのはバグの影響だと思う。
バグの恩恵で気の合うエイツと組めているのだから、バグ様々だよな!
ゲンブにもエイツを紹介して、3人で【 VWG・MMQ 】を楽しみたいな!
マオ:セロー
「 ──大分倒せましたね。
クリンドースライムの核も大量に集まりました 」
エイツ
「 うん。
大変だけど捗ったよね。
そろそろ切り上げて《 冒険者斡旋所 》に行く? 」
マオ:セロー
「 そうですね。
ボスも倒せましたし、報酬を受け取りに行きましょう 」
エイツと相談して、クリンドースライムが大量発生していた湖から離れる事にした。
エイツ
「 《 酒場 》でNPCに話し掛けたら、この湖が舞台のクエストが受けれる様になるね。
どんなクエストなのか今から楽しみだよ 」
マオ:セロー
「 ふふふ…。
ワタシも楽しみです♪ 」
クエストには複数の “ シナリオ ” が用意されていて、条件を満たすと隠されているシナリオが開示される事になっている。
クエスト毎のシナリオをクリアして “ シナリオED ” をコンプリートすると、“ シナリオマスター ” っていう称号が与えられる。
条件を満たして全てのシナリオを開示して攻略すると、“ シナリオコンプリートマスター ” なる称号が与えられる。
プレイヤーの憧れの的になれて、最高峰のレアリティアイテムを運営から贈呈されるらしい。
太っ腹だけど、オレは “ シナリオマスター ” の称号も “ シナリオコンプリートマスター ” の称号にも興味は無い。
目指してもないけど、隠しシナリオには興味が有ったりする。
エイツはクエストを受けてシナリオをクリアするのが好きみたいだな。
シナリオには、ノーマルシナリオ,グッドシナリオ,スペシャルシナリオ,スペシャルグッドシナリオ,トゥルーシナリオ,バッドシナリオ,ユニークシナリオ,グッドユニークシナリオ,スペシャルユニークシナリオ,バッドユニークシナリオ──ってな感じで、10種類のシナリオが用意されているみたいだ。
どのシナリオも発生条件が微妙に異なるから見付けるのが大変らしい。
分岐点が切っ掛けだったり、使用アイテムが切っ掛けだったり、連れてる愛玩奴隷のLVが切っ掛けだったり、所持しているアイテムの種類だったり──兎に角、色んな条件が用意されていて見付けるのが好きなプレイヤーには堪らないかも知れない。
《 冒険者斡旋所 》で依頼を受けて達成していない状態で《 酒場 》へ行ってNPCに話し掛けてもクエストは発生しない様になっている。
クエストを受けたければ、先ず《 冒険者斡旋所 》で依頼を受けて達成する事が絶対条件となっている。
《 冒険者斡旋所 》で報酬を受け取り、《 酒場 》で話し掛けたNPCを仲間にしたら、達成した依頼の場所へ向かえば、発生しているクエストに挑戦する事が出来る。
1つの依頼を達成させると1 ~ 5件のクエストが発生するみたいだ。
どんどん《 冒険者斡旋所 》で受けた依頼を達成させて報酬を受け取れば、クエストも次々に増える仕組みになっている。
クエストが増え過ぎても受けずに放置していても問題は無いみたいで、仮にクエストの量が増えた場合には《 酒場 》の隅にローブの男が現れて、リストに纏めたした過去のクエストを見せてくれるらしい。
──*──*──*── 旅立ちの街
──*──*──*── 冒険者斡旋所
マオ:セロー
「 報酬に上乗せしてもらえて良かったですね、エイツさん 」
エイツ
「 うん、本当だね!
此なら新しい防具が買えるよ! 」
マオ:セロー
「 それなら早速、《 防具屋 》へ行くとしましょう。
折角ですし、オーダーメイドで作ってはどうでしょう 」
エイツ
「 オーダーメイドでぇ!?
そんな贅沢は出来ないよ!!
オーダーメイドは憧れるけど…… 」
マオ:セロー
「 防具に使えそうな素材はワタシが出しましょう。
素材の持ち込みをすれば値引きされますし。
ワタシが装備している吟遊詩人の衣装もオーダーメイドです。
オーダーメイドで作った装備品は一生物ですから、新しく買い換える必要も無くなります 」
エイツ
「 う、うん……。
それはそうなんだけど…… 」
マオ:セロー
「 エイツさん、先ずは《 防具屋 》へ行きましょう 」
エイツ
「 ……………………分かった。
セローには敵わないな(////)
よし、行こう! 」
セローが着ている神秘的な吟遊詩人の衣装がオーダーメイドなんてのは嘘っぱちだ。
エイツの防具は直ぐに駄目になるから、オーダーメイドの防具を薦めたいんだよな。
オーダーメイドで作った装備品は装備者と一緒に成長するから一々買い換える必要が無いから楽なんだ。
因みに此はシュンシュンから教えてもらった事だったりする。
エイツと《 冒険者斡旋所 》を出ようとした時、背後から声を掛けられた。
忘れていたのに聞き覚えの有る声だ。
嫌な予感しかしないぞ!!
聞こえない振りして《 冒険者斡旋所 》を出てしまいたいよ!!