⭕ フィールド 2
──*──*──*── 洞穴
マオ:セロー
「 何で芋虫が洞穴の中に巣を作ってるんだよぉ~~。
おかしいだろ! 」
霄囹:ゲンブ
「 文句を言うな。
依頼書に詳細が書いてあるだろ。
順調にモンスターをゲット出来てるし、式神のLV上げも順調だ。
モンスター図鑑を完成させる為にも頑張らないとな! 」
マオ:セロー
「 マジでオレの出番が無いよな 」
霄囹:ゲンブ
「 楽が出来て良いだろ。
ちゃんとセロフィートを体験出来てるじゃないか 」
マオ:セロー
「 た…確かに……。
でもなぁ~~~~。
見てるだけにも飽きて来たんだよな…… 」
霄囹:ゲンブ
「 セローは根っからの戦闘狂だな 」
マオ:セロー
「 はぁ~~?!
勝手に戦闘狂にしないでくれよな! 」
依頼書に書かれている詳細を頼りに森の中へ入ったゲンブとオレは、依頼書に描かれている洞穴を目指して歩いた。
どうやら捕獲する芋虫は洞穴の奥に巣を作っていて繁殖しているらしい。
芋虫が作った繭は素材として買い取ってもらえる事が書かれている。
因みに繭の中に入っている芋虫は高級食材として売買されるんだとか。
芋虫のタマゴは薬の原料になるらしい。
どんな設定だよ!!
芋虫の捕獲,ドロップアイテムの回収,繭の回収,タマゴの回収──が主な依頼内容だ。
霄囹:ゲンブ
「 おっ!
いよいよ巣に入るぞ。
油断するなよ、セロー 」
──*──*──*── 芋虫の巣
マオ:セロー
「 此処まで結構、歩いたよな 」
霄囹:ゲンブ
「 あぁ──だが、未々歩く事になるぞ。
芋虫の女王は洞穴の1番奥に居るんだからな! 」
この依頼には倒すべきボスが居て、そのボスは芋虫の女王みたいだけど、ゲンブは芋虫の女王を倒さずに使役して式神にする気みたいだ。
芋虫の女王を倒した後に出現するドロップアイテムは金貨50枚程の価値が有るらしいけど、出現率が極めて低いらしい。
芋虫の女王だけじゃなくて、どんなボスもドロップアイテムを落とす確率が極めて低い様だ。
まぁな、金貨50枚の価値が有るドロップアイテムなら当然かも知れないな。
マオ:セロー
「 ゲンブ、芋虫の女王を使役したら入手困難なドロップアイテムをゲット出来ないんじゃないのか? 」
霄囹:ゲンブ
「 その心配はないさ。
使役したモンスターのドロップアイテムは自動的に “ ギルド保管庫 ” に入る様に裏技で調整してあるんだ。
どんなに低確率なドロップアイテムでも入手可能だ! 」
マオ:セロー
「 じゃあ、“ ギルド保管庫 ” の中に金貨50枚の価値が有るドロップアイテムが自動的に保管される──って事かよ? 」
霄囹:ゲンブ
「 おぃおぃ、僕と同じ事を言ってるぞ。
但し、条件があるんだ 」
マオ:セロー
「 条件?
もしかしてバグでか? 」
霄囹:ゲンブ
「 かもな。
ボスの使役が出来れば──が、前提になるんだ 」
マオ:セロー
「 ははは……。
とか言っても、どうせ使役は出来るんだろ? 」
霄囹:ゲンブ
「 ボスに関しては “ 絶対 ” とは言えないんだ。
此もバグの1つだな 」
裏技って凄いよな──とか思いながら、どんどん奥へ向かって歩いて行く。
転移魔法陣が使えたらなぁ~~。
──*──*──*── 芋虫の巣・奥
マオ:セロー
「 な…なぁ……シュンシュン…………あの積み上げられてる死体は冒険者かな? 」
霄囹:ゲンブ
「 “ ゲンブ ” だ。
──NPCだろうな。
どうやら芋虫の女王は芋虫共に命じてNPCを連れ去り、餌にしている 設定らしいな。
見ろよ、せっせと芋虫がNPCを使って肉団子を作ってやがる。
リアルにグロテスクな演出じゃないかよ 」
マオ:セロー
「 芋虫は肉食だった──って事かよ?
依頼書の何処にも芋虫が “ 肉食だ ” なんて書かれてないぞ 」
霄囹:ゲンブ
「 そんな事を正直に書いたら、冒険者が依頼を受けないかも知れないだろが 」
マオ:セロー
「 運営側の悪意かよ?! 」
霄囹:ゲンブ
「 要は “ 隠しスパイス ” ってヤツだろうな。
冒険者には “ イレギュラーな刺激 ” が必要だろ 」
マオ:セロー
「 要らないだろぉ~~!!
セロみたいな事を言うの止めてほしいんだけどぉ!! 」
霄囹:ゲンブ
「 大丈夫だ。
僕の式神で集団リンチだからな★
セローは見てれば良い。
芋虫の女王は僕が使役して式神にする!! 」
ゲンブは張り切ってるな~~。
芋虫を相手に戦うなんて嫌だし、此処は素直にゲンブに任せよっと──。
マオ:セロー
「 ゲンブ、式神に攻撃させなくても鉄扇で攻撃すればHPを1に出来るんじゃないのか? 」
霄囹:ゲンブ
「 鉄扇で攻撃してもボスにはダメージを与えられない様になってるんだ。
バグの1つさ 」
マオ:セロー
「 だから式神に戦わせるのか──。
バグ、有り過ぎだろ…… 」
ゲンブによる式神を使った容赦無い集団リンチに依って──、防御力が高く、HPが高かった芋虫の女王はゲンブに名前を奪われ使役された。
晴れてゲンブの式神となり、ゲンブも満足気だ。
依頼書に書かれている芋虫の捕獲,繭の回収,ドロップアイテムの回収,タマゴの回収も無事に終わり、後は洞穴を出るだけとなった。
マオ:セロー
「 ゲンブ、芋虫の女王が持ってたドロップアイテムも一緒に売るのか? 」
霄囹:ゲンブ
「 未だ売らないさ。
持っていても僕等には不必要なアイテムだが──、ボスの落とすドロップアイテムには収集家が居るんだ。
伝言板に依頼書が貼り出される時が有るんだ。
依頼を受けて、依頼主に引き渡せば金貨50枚以上の報酬を手にする事が出来るんだ 」
マオ:セロー
「 マ…マジかよ……。
このゲームでは割りと簡単に金を稼げるんだな 」
霄囹:ゲンブ
「 まぁ、そういう事だな。
VWでなら億万長者も夢じゃないぞ 」
マオ:セロー
「 VWで億万長者になってもなぁ……。
現実で現金化とか出来ないのか? 」
霄囹:ゲンブ
「 仮想通貨を換金したいのか?
現金化は出来ないが、セロカPとして使えるぞ 」
マオ:セロー
「 えっ?
セロカP??
どゆことだよ?? 」
霄囹:ゲンブ
「 換金所があってな、其処で《 セロッタ商会 》のHPに入る事が出来るんだ。
会員カードの会員番号を入力して、Pチャージしたい金額を入手すると、Esが会員カードにPチャージされるんだ。
Pチャージされたら、現実で普通にP支払いに使える。
但し、現金にキャシュバックは出来ないから注意する必要があるし、使用期限もある 」
マオ:セロー
「 このVWゲームには、ちゃっかり《 セロッタ商会 》が 絡んでるんだよな 」
霄囹:ゲンブ
「 当たり前だろ。
大手のスポンサーだぞ。
セロカ会員を増やす為に《 セロッタ商会 》に利用されてる──って感じだな。
因みに5Esは1Pだ 」
マオ:セロー
「 えぇ~~。
10Esで2Pだから──、50Esで10P,100Esで 20Pチャージかよ……。
一寸けっちくないか?? 」
霄囹:ゲンブ
「 良いか、100円に1P加点されるんだぞ。
100円の品を買わないと1P付かないんだ。
だが、VWでは5Esで1Pだぞ。
100Esで1Pよりはマシだろ 」
マオ:セロー
「 た…確かに??
現実で買い物をしてPを貯めなくてもVWで遊びながら貯めた仮想通貨を会員カードにPチャージして、現実でP支払いが出来んだから、得っちゃ得か──。
10.000円を現金チャージしなくてもPを増やせるんだもんな 」
霄囹:ゲンブ
「 まぁ、そういう事だな。
裏技を使ってもバレない理由でもある! 」
マオ:セロー
「 何だ、ちゃんとした “ タネ ” が有ったんだな 」
霄囹:ゲンブ
「 楽してセロカPを貯めて、現実で使えるなんて凄いだろ 」
マオ:セロー
「 確かにな 」
霄囹:ゲンブ
「 よし、洞穴を出て《 冒険者斡旋所 》へ戻るぞ 」
こうして、ゲンブと一緒に初めて受けた依頼は無事に達成する事が出来た。
後は《 冒険者斡旋所 》で回収品を渡して報酬を受け取るだけだ。
洞穴を出たら、森の中をひたすら歩く。
遭遇したモンスターと戦闘を繰り返しながらフィールドに出たら、寄り道せず≪ 街 ≫を目指して歩いた。
◎ 訂正しました。
積み上げられれる死体 ─→ 積み上げられてる死体
楽して ─→ 楽して