──*──*──*── ビルの上
セロフィート
「 皆さん、揃ってます? 」
弓弦
「 セロ──。
全員、揃っている 」
玄武
「 今夜は月が赤い──。
絶好の狩り日和となるな 」
獅聖幻夢
「 新種の呪靈の用意は出来ています。
早く性能を試したいです 」
霄囹
「 新種の呪靈だって?
≪ 日本国 ≫を攻め落とす気かよ? 」
玄武
「 シュンシュンは何を用意したのだ? 」
霄囹
「 玄武ぅ~~(////)
僕に話し掛けてくれるなんて、玄武の愛をビシバシ感じるよ!! 」
玄武
「 近寄るでない! 」
絲腥玄武は、ササッと素早くセロフィートの背後に身を隠す。
此には厳蒔弓弦も獅聖幻夢も笑うしかない。
霄囹
「 おい、コラ、玄武ぅ~~!
何で僕から逃げるんだよ! 」
玄武
「 逆に何故、分からない!! 」
弓弦
「 シュンシュン──。
兎に角、玄武から離れよう 」
霄囹
「 はぁ!?
僕は十分過ぎる程、玄武から離れてるだろ! 」
獅聖幻夢
「 霄囹!
玄武が嫌がっているでしょう!
半径3mは近付かない様に! 」
霄囹
「 何で幻夢が怒るんだよ!
お前、僕の玄武を狙ってるのか?!
僕から玄武を略奪する気か!? 」
弓弦
「 玄武はシュンシュンのではないだろう? 」
霄囹
「 フフン!
処がどっこい、僕と玄武には既成事実が有るんだ! 」
玄武
「 弓弦、シュンシュンを射ってくれ! 」
弓弦
「 セロが許可してくれたら射るが…… 」
良識人の厳蒔弓弦は困った様にセロフィートに目を向ける。
厳蒔弓弦の視線に気付いたのか、静かに微笑んでいる。
セロフィート
「 霄囹さんは試作したい物を持参してません? 」
霄囹
「 僕は闇呪術で呪靈に近付けた式隷のヤバさを見たいんだ 」
弓弦
「 特級呪靈並みに変えた──という事か? 」
霄囹
「 そういう事になるな。
セロフィートに能力を封じられてるから時間が掛かった。
試行錯誤も繰り返して完成させたんだ! 」
獅聖幻夢
「 それは、お手並み拝見ですね 」
弓弦
「 暴走はしないだろうな? 」
霄囹
「 その保証は出来ないな!
何せ式隷は僕に対して反抗的だからな! 」
セロフィート
「 何か有れば〈 テフ 〉へ変換します 」
霄囹
「 止やめろぉ!
折角の “ 呪じゅ靈れいに近ちか付づけた ” 式隷を〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換するなよ!! 」
セロフィート
「 味方と敵の判別も出来ない式隷を連れて来こないでください 」
霄囹
「 だったら僕の能力ちからを限定解除してくれよ! 」
セロフィート
「 ワタシの信頼を裏うら切ぎれば、どうなるか分かってますね? 」
霄囹
「 裏うら切ぎる訳ないだろ!
僕は未まだ々まだ生まれ変わりたくないからな!
それに──〈 皇コウ 〉になったマオの尻しりを蹴り飛ばしてやらないとだろ? 」
セロフィート
「 ふふふ…。
そうですね 」
玄武
「 然しかし、キノコンも出るなら、我われ達が出る必要が有るのか? 」
セロフィート
「 キノコンにはアジトを制圧させます。
玄げん武ぶさんにはアジトから避難する善ぜん良りょうな吸血鬼ヴァンパイアさん達を安全地帯の結界へ誘導してください 」
玄武
「 善ぜん良りょうな吸血鬼ヴァンパイアとそ・う・で・な・い・吸血鬼ヴァンパイアの区別が付かないのだが? 」
セロフィート
「 区別はキノコンに任せてください。
仮にキノコンが見み逃のがしたとしても悪質な吸血鬼ヴァンパイアはアジトに張っている結界から出ると〈 テ原質フの源みなもと 〉へ変換され、輪廻の流れへ還る様ようにしてます 」
玄武
「 それなら安心して誘導する事が出来るな 」
セロフィート
「 問題なのは避難誘導中ちゅうに攻撃を仕掛けて来くる吸血鬼ヴァンパイアの存在です。
弓ゆ弦づるさんは安全地帯へ避難する吸血鬼ヴァンパイアさん達を衛まもりながら、襲い掛かる吸血鬼ヴァンパイア達を撃退してください 」
弓弦
「 広範囲で複数攻撃を出来る私に向いているな。
手加減はした方が良いいのか? 」
セロフィート
「 駆除に手加減は不要です 」
弓弦
「 そうだな。
骨も残らぬ様よう、仕し留とめるとしよう 」
霄囹
「 セロフィート、僕は何なにをしたら良いいんだ? 」
セロフィート
「 霄しょう囹れいさんは式隷を地上へ放ち、吸血鬼ヴァンパイア達をアジトを目指して逃げる様ように誘導してください 」
霄囹
「 アジトへ向かわせるんだな。
その最中に式隷が吸血鬼ヴァンパイアを殺ころすのは有りなのか? 」
セロフィート
「 不可抗力なら致し方無いです。
可能な限り死なせない様ように努つとめてください 」
霄囹
「 無茶な注文するなよ…… 」
セロフィート
「 米●町から逃げる吸血鬼ヴァンパイアも居いる筈です。
幻げん夢むさんは米●町に張った結界内ないに新種の呪じゅ靈れいを配置してください。
米●町から逃げる吸血鬼ヴァンパイアを捕獲し、追い返してください。
米●町から “ 出られない ” とまれば、吸血鬼ヴァンパイア達は大人しくアジトを目指すでしょう 」
獅聖幻夢
「 何なにかの手違いで吸血鬼ヴァンパイア達を喰たべてしまうかも知れません。
その場合は良いいですか? 」
霄囹
「 良いい訳ないだろ! 」
セロフィート
「 大目に見るとしましょう 」
霄囹
「 一寸ちょっと待てよ!
何なんで僕の式隷には大目に見てくれないんだよ!
不公平だぞ! 」
弓弦
「 普段の行おこないの違いではないか? 」
霄囹
「 普段の行おこないだと?
僕は何い時つも優等生だろうが!! 」
春しゅん舂しょう霄しょう囹れいの言葉に対し、絲し腥せい玄げん武ぶ,厳げん蒔じの弓ゆ弦づる,獅し聖せい幻げん夢むは「 どの口が言うんだ 」という様ような呆あきれた顔で春しゅん舂しょう霄しょう囹れいを見ている。
霄囹
「 おい、そんな残念な奴を見る様ような顔で僕を見るなよ! 」
玄武
「 幻げん夢むの作った新種の呪じゅ靈れいとやらはど・ん・な・感じなのだ? 」
獅聖幻夢
「 今回の呪じゅ靈れいは、ぼでいびるだーとやらを参考にして筋肉質にしてみました 」
霄囹
「 ぼでいびるだーじゃなくて、ボディビルダーな! 」
弓弦
「 筋肉質な呪じゅ靈れいとはど・ん・な・姿をしているんだ? 」
獅聖幻夢
「 1体だけ召喚しますね 」
そう言った獅し聖せい幻げん夢むは陰陽術を発動させると、召喚陣から新種の呪じゅ靈れいを1体だけ召喚した。
霄囹
「 こ…コイツは──っ!!
全身が筋肉ゴツ盛りの呪じゅ靈れいじゃないかよ!!
………………北斗◯拳や範馬◯牙でも意識してるレベルでヤバいぞ!!
抱きしめられたら骨が粉こな々ごなに粉ふん砕さいされそうだ!!
なんて凶器を作りやがったんだよ!! 」
獅聖幻夢
「 ほくと──とか、はんま──とかは知りませんけど、更に改良を重かさねて特級呪じゅ靈れいを作りたいと思っています。
今回の吸血鬼ヴァンパイア殲せん滅めつ作戦は呪じゅ靈れいの出来を見るのに丁度良いい最適な機会です 」
セロフィート
「 新種の改良型がた特級呪じゅ靈れいの完成が楽しみです 」
獅聖幻夢
「 私も胸が躍ります♪ 」
霄囹
「 この2人……同どうレベルでヤバい!! 」
弓弦
「 何な故ぜシュンシュンは自分を入いれない? 」
玄武
「 シュンシュンも数かずに入はいっているんだが? 」
霄囹
「 僕をセロフィートと幻げん夢むの仲間に入いれるな!
僕は2人よりも常識と良識を持ち合わせているんだ!
カウントするなよ! 」
「 どの口くちが言うんだ 」という顔をして絲し腥せい玄げん武ぶ,厳げん蒔じの弓ゆ弦づるは春しゅん舂しょう霄しょう囹れいを見るのだった。
セロフィート
「 そろそろ配置に付きましょう。
ワタシは此こ処こから結界を張ります。
準備が整ったら花火を上げてください 」
セロフィートは前い以ぜん作っていた花火を春しゅん舂しょう霄しょう囹れい,絲し腥せい玄げん武ぶ,厳げん蒔じの弓ゆ弦づる,獅し聖せい幻げん夢むへ1本ずつ手渡す。
弓弦
「 この花火に火を付つければ良よいのか?
セロフィート
「 下の紐を引っ張れば花火が上がります。
火傷をしない安全な花火です。
安心して使ってください 」
弓弦
「 クラッカーとやらに似にているのだな 」
霄囹
「 バトンと同じ大きさで下から紐が付いている花火か。
また変なの作りやがって── 」
セロフィート
「 便利道具アイテムと言ってください。
転移魔法で配置場所へ転移させます。
配置場所へ着いたら準備を始めてください 」
セロフィートは古代エンシェント魔法マジックを発動させ、転移魔法で春しゅん舂しょう霄しょう囹れい,絲し腥せい玄げん武ぶ,厳げん蒔じの弓ゆ弦づる,獅し聖せい幻げん夢むの4人を転移させた。
セロフィート
「 さて──、米●町全域に結界を張るとしましょう。
米●町に張った結界に触ふれた吸血鬼ヴァンパイアは〈 テ原質フの源みなもと 〉へ変換され、輪廻の流れへ還ります。
本ほん当とうに良よいのですね、アノスベルドさん 」
アノスベルド
「 はい…………構いません。
僕は…………双子の兄を──カイリエンルを許せませんから……。
カイリエンルは……僕達の幼馴染み──リグイサリィを殺ころしたんです……。
父様も母様も……お祖父様もお祖母様も…………カイリエンルが── 」
セロフィート
「 君きみアノスベルドのお兄さんに協力している吸血鬼ヴァンパイア達は生いかす事なく死に絶える事になります。
それでも構いません? 」
アノスベルド
「 はい──、構いません!
吸血鬼ヴァンパイアの始祖の末裔として──、始祖から代だい々だい受け継いで来きた血を穢けがす事は出来ません…… 」
セロフィート
「 未まだ迷いが有る様ようですね。
迷いが取れない内ないは止やめた方が良よいでしょう。
今なら未まだ引き返せます 」
アノスベルド
「 ………………セロフィート様、僕は……謀む叛ほんを犯おかした兄を──カイリエンルの暴走を止やめたい!
だけど……今の僕にはカイリエンルを止やめる能力ちからは無いんです……。
カイリエンルに取られてしまったら──。
僕の能力ちからを手に入いれたカイリエンルは強敵で──、僕は足あし下もとにも及ばない……。
けれど、純血種の吸血鬼ヴァンパイアの存在すらも超越したセロフィート様と皆みなさんなら──、カイリエンルの暴謀む走叛ほんを止とめる事も容よう易いです── 」
セロフィート
「 その通りです。
本来ならばワタシが夜明け前にでも〈 テ原質フの源みなもと 〉へ変換してしまえば済む事です。
然しかし、今回は皆みなさんにも大おおいに活躍していただく形を取りました。
マオの新あらたな眷属に加わった君きみアノスベルドの想いを汲んでです。
花火が上がってしまったら後あと戻もどりは出来ません。
アノスベルドさんが、新あらたな吸血鬼ヴァンパイアの王となり、善ぜん良りょうな吸血鬼ヴァンパイアさん達を率ひきいてもらう事になるでしょう 」
アノスベルド
「 はい──。
それは覚悟の上です。
花火は僕の決意表明です!! 」
セロフィート
「 アノスベルドさんなら、頼もしい王になりそうです。
キノコンを通つうじて《 セロッタ商会 》が全面的に支援,援助をします。
安心してください 」
アノスベルド
「 有あり難がとう御座います。
セロフィート様に助けて頂いた命いのちが続く限り、マオ様の眷属としてマオ様に尽くします 」
セロフィート
「 心こころ強づよいです。
( 吸血鬼ヴァンパイアの始祖の末裔は稀少な存在純血種だからね。
1体くらいは生いかして眷属にしといて損はないかな。
何なんかと役に立つ日ひも来くるだろうし。
アノスベルドを生いかすも殺ころすもマオ次第だね── )」
セロフィートは古代エンシェント魔法マジックを発動させ、米●町を包み込む様に巨大な結界を張る。
結界を抜け米●町から出た吸血鬼ヴァンパイアを〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換してしまうと・ん・で・も・な・い・結界である。
次に吸血鬼ヴァンパイア達のアジト周辺にも同様の結界を張る。
結界を張り終えたセロフィートは用意していた花火をアノスベルドへ手渡す。
セロフィートから花火を受け取ったアノスベルドは頷くと花火の下から出ている紐を引っ張った。
星が瞬またたく夜よ空ぞらには美しい大たい輪りんの花が咲き乱れる。
アノスベルドの上げた花火を合図に4ヵ所からも花火が上がり、夜よ空ぞらを美しく彩いろどる。
アノスベルド
「 始まるんだ……。
約1000年振ぶりに、“ ヴァンプルの宴うたげ ” が── 」
パン屋にて重傷を負おい、命いのちを尽き掛けていたアノスベルドだったが、セロフィートに命いのちを助けられ、マオの知らぬ所でマオの眷属となっていた。
マオがアノスベルドと対面し、新あらたな眷属として紹介されるのは、約1000年振ぶりに行おこなわれる “ ヴァンプルの宴うたげ ” の切りが付き、アノスベルドが吸血鬼ヴァンパイアを統すべる新あらたな王として即位した後あととなる────。