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⭕ 呪物クリアランス 3


春麗

此方こっちのテーブルにまとめてあるじゅばこが、しきおにまもられていたじゅぶつはいっている 」


マオ

「 キノコン達が分けてくれたよな 」


春麗

「 式隷を使い、これを更に仕分けする。

  マオはで座ってろ 」


 シュンシュンは式隷にした怪異──妖怪あやかしたぐいを呼び出す。

 シュンシュンが使役している式隷は、シュンシュンから名前──しんめいを奪われた不憫な妖怪あやかしばかりだ。

 シュンシュンに目を付けられて使役されくらいだから、どの式隷も強いんだと思う。


 主人あるじのシュンシュンに絶対服従をいられている式隷達の目には殺意がもっていているように見られる。

 まるで『 ()()を奪われてもたましいだけはお前(春舂霄囹)くっしはしない! 』って訴えているようだ。

 主人あるじに対して、反抗的な目をしてる──って事だな。


マオ

「 シュンシュンさ、式隷達から相当うらまれてないか?

  シュンシュンに向けて殺気を放ってるよな? 」


春麗

「 それがどうした。

  けっさかんな方がコキ使い易いだろ。

  大事な()()を無理矢理に奪って式隷にしてるんだ、ギラギラしてない方がねぇ 」


マオ

「 無理矢理に奪う以外に方法は無かったのか? 」


春麗

「 武力行使で格の違いを見せ付けつつ、負かせて服従させるんだ。

  それでもこばんだら強引に()()を奪う。

  きょうしゃが支配し、じゃくしゃは支配されるのは当然だろ。

  自然の摂理ルールじゃないか。

  強大なちからすべてを手にれ、蹂躙する権利を得るんだ 」


マオ

「 それを言われるとなぁ……。

  式隷に対して、“ 思い遣る ” とか “ いたわる ” とか気持ちは無いのか? 」


春麗

「 有るわけ無いだろ。

  僕は自分より弱い奴に優しくなんかしない!

  付け上がるし、調子かせる事になるからな。

  しいたげるくらいが丁度いのさ 」


マオ

「 後ろから襲われたりしないのか? 」


春麗

「 する訳が無いだろ。

  ()()は僕が握ってるんだぞ。

  僕のまぐれで()()を消す事が出来るんだ。

  ()()を失った式隷は消滅するんだ。

  分かるか、マオ。

  僕が式隷のいのちぎゅうってるんだ。

  なによりもプライドよりいのちを優先する自分ファーストなヤツが僕に逆らう訳が無いんだよ 」


マオ

「 ………………そだな。

  プライドを捨て去って、セロに尻尾振りながら必死にいのちいしてるシュンシュンが言うんだもんな。

  説得力は有るよ 」


春麗

「 そういう言い方をするな!

  僕のけんと威厳に響くだろうが! 」


マオ

「 なぁ、シュンシュン。

  式隷達に()()を返すって選択肢は無いのか?

  式神だって使役してるんだし、式隷なんて必要ないだろ?

  式神が雑用だってしてくれる訳だしさ 」


春麗

なんで奪った()()を返さないといけないんだ。

  あのなぁ、僕は怪異や異形が持ってる便利な特殊な術や技を使う為に使役してるんだよ。

  ()()を返したら使えなくなるだろが!

  ちなみに名前を奪われた状態で死んだ場合、術や技は()()を持ってる僕が使える仕様だ。

  奪った()()をガチガチに縛って保管してるからな! 」


マオ

「 怨まれたり、殺意,殺気を向けられる筈だよ。

  式隷達が気の毒過ぎる…… 」


春麗

「 気の毒なもんかよ。

  さん(ざん)暴れて悪さをし尽くして妖怪あやかしばっかなんだぞ。

  僕の方が強くて、弱いコイツは最強の僕にくだっただけの事さ 」


 シュンシュンは自慢に胸を張って言う。

 まったく……調子ががいんだよな、シュンシュンも。

 セロがないと態度がデカくなるんだから──。


獅聖幻夢

「 情けない限りですね。

  ()()を奪わなければ使役が出来ないとは──。

  じつに低レベルな使役手段です 」


春麗

「 フン!

  悪かったな!

  低レベルな使役しか出来なくて! 」


マオ

「 そう言えば──、げんさんが使役してる式隷を見た事ないね 」


獅聖幻夢

「 私に式隷はませんよ。

  式神,式だけでなく、優秀つ有能な複製じゅれいますし、知能が高い特級じゅれいましたから── 」


マオ

「 セロが複製じゅれい以外のじゅれいと特級じゅれいを〈 (原質)(みなもと) 〉に変換しちゃって御免ね、げんさん…… 」


獅聖幻夢

「 そんな事は気にしてません。

  じゅれいも特級じゅれいも必要ならでも培養が出来ますから 」


マオ

「 ば…培養?? 」


獅聖幻夢

「 実験者の常識です 」


マオ

「 そ、そうなんだ…… 」


獅聖幻夢

「 仮に私が妖怪あやかしを使役し、式隷とするにしても()()を奪ったりはしません。

  妖怪あやかしとは()()を預かり受ける盟約を交わします 」


マオ

「 盟約?

  契約じゃなくて?? 」


獅聖幻夢

「 盟約は “ 御互いが対等な立場で、契約を交わす ” という事を指します。

  御互いが対等な立場なので、相手を尊重し合います。

  強引でもなく無理矢理ではなく、御互いに納得した上で盟約を交わします 」


マオ

「 そうなんだ。

  シュンシュンより至極とうな対応なんだ。

  シュンシュン、げんさんを見習えよ 」


春麗

「 誰が見習うかよ!

  僕には僕のが有るんだ!

  盟約なんて面倒な契約、わざ(わざ)するかよ 」


 シュンシュンは御機嫌斜めになってしまったみたいだ。

 両頬を膨らませて拗ねるシュンシュン──しゅんれいは可愛い。

 見た目だけじゃなくて中身も女の子だったら、モテるんだろうけどな~~。


マオ

「 シュンシュンってさ、いろ(いろ)と残念だよな 」


春麗

なんだとぉ?

  僕のが残念だってぇ!! 」


獅聖幻夢

しょうれい──。

  仕分けが済んでますよ 」


春麗

に?!

  おい、済んだなら『 済んだ 』と教えないか!

  ()()を消されたいのか! 」


マオ

「 シュンシュン、せよ。

  些細な事で怒ってたら、威厳が無いぞ。

  それに──『 ()()を消すぞ 』なんて脅すのはカッコ悪いからめよう。

  だろ? 」


春麗

「 僕に意見を求めるなよ 」


獅聖幻夢

しょうれい、マオ殿どの主人あるじですよ。

  マオ殿どのに逆らうのですか? 」


春麗

「 うぐ…… 」


マオ

「 シュンシュン…… 」


春麗

「 ……………………はぁ……。

  分かったよ。

  脅すのはめてやるよ。

  脅さなきゃいんだろ!

  まったく── 」


マオ

「 シュンシュン、がとな! 」


春麗

「 フン!(////)

  仕分けが済んだなら、かたけるぞ 」


マオ

しきおにまもられていたじゅばこばっかりなんだよな?

  どうやってのろいを無効化するんだ? 」


春麗

「 陰陽陣を使う 」


マオ

「 陰陽陣? 」


春麗

「 そうだ。

  ただの陰陽陣じゃないぞ。

  しきおにまもられていたじゅばこは今迄のような方法で無効化させる事は出来ないんだ 」


マオ

しきおにはキノコン達が倒してくれたのに駄目なのか? 」


春麗

「 倒しても駄目だから特殊な陰陽陣を使うんだ。

  特殊な陰陽陣と言っても使い捨てになる。

  1枚80万もするんだぞ、ちゃんと支払えよ! 」


マオ

「 支払う?

  それってオレが? 」


春麗

「 当たり前だろ。

  ほかに誰がるんだよ!

  いか、僕はげんみたいにタダ働きはしないんだ。

  セロフィートから貰った(魔法の)ブラックカードから裏金を引き出せよ 」


マオ

「 分かったよ。

  ──でもさ、無断で裏金を使ってたら、裏金を隠してるヤツを助ける事にならないのかな? 」


春麗

なんだよ急に 」


マオ

「 裏金疑惑で突入されたときにさ、隠してる裏金が金庫のなかに無かったら、逮捕が出来ないだろ? 」


春麗

「 マオ──。

  お前、なにも知らないんだな。

  セロフィートが用意した(魔法の)ブラックカードで使った裏金は、偽札にれ替わってるんだぞ 」


マオ

「 はっ?

  偽札ぅ?? 」


春麗

「 そうさ。

  裏金を隠してる大事な大事な厳重な金庫から大量の偽札が発見されたら、おおごとになるんじゃないか?

  なにせ大量の偽札をだ、大事に大事に厳重な金庫のなかで保管していた事になるんだぞ。

  偽札に必要な原版とガッツリ偽札製造に関わってる証拠書類まで出てたら──、立派な犯罪者の仲間りさ 」


マオ

「 脱税して裏金を貯めてる時点で十分、犯罪者の仲間だろ…。

  それにしても、偽札を作るのに必要な原版と偽札製造に関与していた証拠書類??

  オレ、なにも聞いてないけど!?

  それって、やっぱりセロが── 」


春麗

「 当たり前だろ。

  あのセロフィートが裏金を使いたいだけ使うだけで終わらすかよ。

  仕込んでるに決まってるだろ。

  まぁ、偽札の原版と偽札製造の証拠資料は僕の案だけどな!

  折角、イカしたアイディアを提供してやったのに、1日3万しか使えないんだぞ!

  セロフィートの奴、2万しかアップしてくれなかったんだ。

  ひどいだろ! 」


マオ

「 十分じゃんか。

  2万も上げて貰えてかったじゃないか。

  文句じゃなくて、感謝しろよ 」


春麗

「 フン!

  10万の価値は有ったアイディアの筈だぞ!! 」


マオ

「 それにしても、この(魔法の)ブラックカードで使った金額ぶんが偽札に替わって戻ってるなんてな……。

  くバレないな 」


獅聖幻夢

「 マオ殿どのは知らないのですか?

  ニュースで報道されてますよ。

  全国各地で偽札製造に関与している疑いで政治家,医師,だいがいしゃの社長などが逮捕されています。

  セロ殿どのが仕込んでいたとは知りませんでした 」


マオ

「 オレ──、見た事ないんだけど…… 」


春麗

「 マオはニュースなんて見ないだろ。

  時代劇ばっか見てるじゃないか。

  僕もニュースなんて見ないけどな! 」


マオ

るなよぉ~ 」


春麗

ってなにが悪いんだ? 」


 シュンシュンは腰に付けているポーチのチャックをけると、ポーチのなかから “ なにか ” を取り出す。

 折り畳まれた1枚の紙みたいだ。

  シュンシュンが紙を広げると魔法マジカルサークル──じゃなくて、陰陽陣がえがかれている。


 シュンシュンはじゅばこを赤い墨でかれている陰陽陣の中央に置く。

 コトリ──と置かれたじゅばこは陰陽陣の上で、コトコト──と動いている。

 なんか、怖っ!!


マオ

「 シュンシュン、なんじゅばこが動いてるんだ? 」


春麗

「 僕が知るかよ。

  そういう仕組みなんだろ 」


マオ

「 仕組みって──。

  じゅじゅぶつを作った事が有るのに分からないのか? 」


春麗

「 僕はしきおにまもらせるような手の込んだじゅじゅぶつを作った事が無いからな 」


 シュンシュンは腰に付けているポーチのチャックをけると、ポーチのなかから “ なにか ” を取り出した。

 赤色の御札だ。


マオ

「 シュンシュンも赤色の御札を使うんだな 」


春麗

「 あぁ、これも特殊な御札で高いんだ。

  1枚100万するからあとで支払えよ 」


マオ

「 シュンシュン、がめついな… 」


春麗

「 この御札が赤いのは、特殊な墨にひたして作ったからだ 」


マオ

「 特殊な墨って? 」


春麗

「 異形の血だよ 」


マオ

「 異形の血!?

  シュンシュン、異形を襲ってたのかよ 」


春麗

「 怒るなよ。

  悪さをして事件や事故を誘発させるような傍迷惑なあくどい異形の血だよ。

  依頼を受けたときに退治するついでに抜き取っていたんだ。

  厄介なじゅばこを無効化するには人間の血を使うより異形の血を使った方がいんだ。

  ほうじゅつが馴染んで相性がいんだ 」


マオ

げんさんも血を使うし、シュンシュンも血を使うし──、やみじゅじゅつって血を使う事が多いんだな…… 」


春麗

「 そりゃそうだろ。

  じゅじゅつだからな。

  ──あかふだじゅばこの上に貼り付けたら、3色の米を御札の上に乗せる 」


マオ

「 3色の米? 」


春麗

「 血にひたしたせきまい,墨にひたしたこくまいはくまいの3色だ。

  これをしっかり混ぜたのを使う 」


 シュンシュンは混ざった3色の米をあかふだの上に盛りじおみたいに乗せる。


春麗

「 次にしっかり混ぜた3色の塩をじゅばこの周りに──。

  あとは、燃やすだけだ 」


マオ

「 燃やす?!

  なんで燃やすんだ? 」


春麗

「 炎の力で浄化するんだ。

  結界を張るから家事にはならない。

  安心しろ。

  綺麗な色で燃えるから見物だぞ。

  燃え尽きる迄の時間はじゅばこに依って違うんだ。

  これをほかじゅばこにもするから、マオも手伝えよ 」


マオ

「 シュンシュンと同じ手順ですればいんだな? 」


春麗

「 一式をに置いとくから手分けしてするぞ 」


 そんな訳で、オレはシュンシュンを手伝う事になった。

 結構なかずが有るから大変な作業になりそうだ。

 なんで式隷にさせないんだ??

◎ 訂正しました。

  滞納 ─→ 脱税


◎ 変更しました。

  春舂霄囹:春麗 ─→ 春麗

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