⭕ 明日にはサヨナラ 5
飲食店での騒がしい食事を終えて、町中を歩いていると通行人──主に男性達から声を掛けられた。
飲食店では女性客から声を掛けられて、「 写メを撮らしてください! 」って頼まれたけど、「 一般市民だから 」って事を伝えて、丁重に御断りをして諦めてもらったんだよな……。
中々、引き下がってくれない人に対しては、シュンシュンが悪態を吐きながら生意気な態度と強気で断ってくれた。
こういう時のシュンシュンは頼りになるし、心強かったりするんだよな~~(////)
セロなら笑顔を振り撒いて、写メを撮らせるんだけど──、後から古代魔法を使ってスマホ自体を初期化しちゃって、入ってるデータを全消去しちゃうからな~~。
セロは色々と好き放題やり過ぎるんだ。
今回はあんまりにもしつこい人に対して、幻夢さんが、「 呪靈の餌にして良いですよね? 」なんて耳打ちして来たから背筋に悪寒が走ったよ……。
春麗
「 ──全く、美少女は辛いな!
歩いてるだけで、アイドルにスカウトされるんだからさ! 」
マオ
「 凄い名刺の数だよな。
でもさ、アイドルのスカウトとは限らないんじゃないのか?
ヤバい商売のスカウトだって入ってるかも知れないぞ? 」
春麗
「 そんなの芋蔓式に僕のカモにしてやるよ。
カモが増えたらガッポリ出来る!
名刺は金の卵だ! 」
マオ
「 善良な会社には手を出すなよ? 」
春麗
「 善良な会社ねぇ。
少ないと思うぞ 」
マオ
「 幻夢さんも名刺が沢山だね 」
獅聖幻夢
「 複製呪靈に行かせるとします。
怪しい会社なら霄靈に譲りますよ。
好きなだけカモりなさい 」
春麗
「 何で上から目線なんだよ!
お前は僕の親じゃないだろが!! 」
マオ
「 まぁまぁ、喧嘩しない!
ほら、シュンシュンにはオレが貰った名刺をやるからさ。
これで機嫌を直してくれよ 」
春麗
「 セロフィートが居たら、マオに名刺を渡した会社は確実に潰されてたな 」
マオ
「 そゆこと言うなよ。
何処でセロに聞かれてるか分からないぞ 」
春麗
「 そうだな……。
失言だったよ 」
3人でブラブラと歩いていると、シュンシュンがゲームセンターに入りたがった。
オレはあんまりゲームセンターが好きじゃない。
何でかと言うと音量が煩いからだ。
だけど、シュンシュンは入りたがって駄々を捏ねるから困った。
「 ゲームセンターに入らないと大声で叫んで、お巡りさんを呼ぶ! 」って脅して来るから、立ち寄る事にしたんだ。
幻夢さんはオレとは違って、ゲームセンターに興味が有るみたいだ。
煩い音量は気にならないらしい。
羨ましいよ!
──*──*──*── ゲームセンター
ゲームセンターに入れてシュンシュンは御機嫌だ。
子供みたいに瞳をキラッキラッと輝かせて楽しそうにはしゃいでいる。
春麗
「 ──マオ、これやりたい!
手始めに500円を10枚、寄越せ! 」
シュンシュンはオレの金で遊び倒す気らしい。
全くもう……。
マオ
「 ゲームに5.000円も注ぎ込むつもりかよ? 」
春麗
「 初めて挑戦するんだ、当たり前だろ!
第一、マオの金を使う訳じゃ無いんだ。
別に構わないだろ。
裏金は── 」
マオ
「 使ってナンボだろ?
分かったよ。
レジで用意してもらうから座って待ってろ。
どっか行くなよ 」
オレは優しいから、シュンシュンの為に5.000円分の500円を用意する為にレジへ向かった。
セロから貰っている魔法のブラックカードを提示して、現金を引き出してもらう。
この魔法のブラックカードを使うと、何処かの誰かが不正な手段で溜め込んでいる手付かずの裏金を好きなだけ使えてしまう夢の様に素晴らしいカードだ。
誰にも怪しまれずに他人が溜め込んでいる “ いけない金 ” で贅沢な生活が出来てしまうんだから、これが素晴らしくなかったら、何が素晴らしいんだろうな??
オレはレジに居る従業員に5万円分の現金を引き出してもらって、500円と100円に両替してもらう。
裏金だからな、一寸奮発してみた。
マオ
「 御待たせ、シュンシュン。
ほら、5.000円分の500円だぞ 」
春麗
「 サンキュー、マオ! 」
オレから金を受け取ったシュンシュンは、いそいそと嬉しそうに目を付けていたUFOキャッチャーの元へ駆け出して行った。
全くもう……、はしゃぎ過ぎだぞ?
獅聖幻夢
「 マオ殿──、あれば何でしょうか? 」
そうだった!
ゲームセンターに興味を持った幻夢さんも居たんだった。
マオ
「 えぇと──、あれは確か…………コインを入れて、お菓子を下に落とすゲームだよ 」
獅聖幻夢
「 お菓子を落とせば良いのですか?
簡単そうですね 」
マオ
「 う~~ん、そうでもないみたいだけど…… 」
獅聖幻夢
「 マオ殿、あれは何でしょう? 」
マオ
「 えぇと──、あれは “ レーシングカー ” ってヤツかな? 」
獅聖幻夢
「 れーしんぐかー……ですか?? 」
マオ
「 えぇと──、このシートに座って、ハンドルを握って、下にある2つを交互に踏み込むと、画面を見ながら車が走っている感じを楽しめるっていうゲームかな?
アクセルを踏んで加速して、ブレーキを踏んで加速を弱めたり、止まったりするんだ。
ハンドルを右に回すと画面が右に動くし、ハンドルを左に回すと画面が左に動くんだ 」
獅聖幻夢
「 ほぅほぅ……成る程── 」
マオ
「 実際の車みたいに横転はしないけど、高い運転技術とテクニックが必要なゲームかな? 」
獅聖幻夢
「 マオ殿、あれは何でしょう? 」
マオ
「 あれは── “ モグラ叩き ” ってゲームだよ。
穴から出て来るモグラをコレで叩いて得点を競うんだ。
慣れると結構楽しいよ 」
獅聖幻夢
「 マオ殿、あれは何でしょう? 」
マオ
「 あれは “ 太鼓の達人 ” っていうゲームだよ。
バッチを持ったら、楽に合わせて、バッチで太鼓を叩くんだ。
えぇと──、赤い丸が出たら、太鼓の白い部分を叩いて──、青い丸が出たら太鼓の横を叩いて──、黄い丸が出たら、太鼓の白い部分を連打して叩くんだったかな?
色んな曲で遊べて、強さも変えられるんだ。
かなり白熱して楽しいゲームだよ。
音感とリズム感が鍛えられるかな? 」
獅聖幻夢
「 ほぅほぅ──、そうなのですね。
マオ殿、あれは何でしょう? 」
マオ
「 あれは “ アイスホッケー ” って言って── 」
ゲームセンターを珍しがる幻夢さんと一緒に歩き回ってゲームの説明を繰り返す。
幻夢さんは初めて見るゲームに興味津々みたいだ。
獅聖幻夢
「 マオ殿、あれは何でしょう? 」
マオ
「 あれは “ スロットマシン ” だよ。
3つの絵柄が揃うとコインが出て来るんだ。
コインはレジへ持って行けば、両替してもらえるよ。
1枚100円だったかな。
幻夢さんも気になるゲームが有れば遊んでみたら良いよ。
此処に5.000円分の500円が有るから。
ゲーム機は大体が100円を入れて遊ぶんだけど、500円を入れれるゲーム機も有るよ 」
獅聖幻夢
「 マオ殿、囲碁のゲームは無いのですか? 」
マオ
「 ゲームセンターで囲碁ゲームは見た事ないかな? 」
獅聖幻夢
「 そうですか……。
折角ですし、私も挑戦してみます 」
マオ
「 うん。
オレはレジ横のベンチに座ってるから、お金が無くなったら来てくれたら渡すよ 」
獅聖幻夢
「 分かりました 」
幻夢さんもいそいそとゲームで遊ぶ為に行ってしまった。
幻夢さんがゲームセンターにハマっちゃったらどうしような??
オレはレジ横のベンチに腰を下ろして座る。
煩い音量を遮断する耳栓が欲しいな──。
明日以降には、オレに憑いてる奴の所為で、このゲームセンターも大惨事に見舞われる事になるんだよな……。
オレが立ち寄った時間帯に来ている人間達がバタバタと死ぬんだ。
死因は今迄と同様に “ 原因不明 ” なんだろうな。
まさか、オレに憑いてる奴の呪いに殺されるなんて、一体誰が思うって言うんだ。
また、お茶の間を騒がせちゃう事になるんだよな……。
セロとは県外へ行って食事をしたり、遊びに行たりしているから──、実は全国各地で【 原因不明の大量突然死事件 】が起きていたりする。
やらかしてるよ……。
オカルト業界は水を得た魚の様に全国で頻発している【 原因不明の大量突然死事件 】で盛り上がっていて、潤っているみたいだ。
今や書店では、飛ぶ鳥を落とす様な勢いで嘘みたいにオカルト雑誌が売れまくっているらしく、再入荷待ちのオカルト雑誌も多いらしい。
今が稼ぎ時ってヤツかな。
歌って踊れる陰陽師アイドルのシュンシュンが取材を受けた特集が組まれたオカルト雑誌の売れ行きは鰻登りらしいし。
陰陽師ブームの再来とも言われているぐらいだ。
シュンシュンの式神をしているキノコンの付録が付いてるから売れてるだけかも知れないけどな~~。
シュンシュンのインタビュー記事に関しては、雑誌の目玉らしいから、どのオカルト雑誌でも袋とじが当たり前なんだとか。
購入して鋏で切らないとシュンシュンのインタビューも読めないし、キノコンの付録も手に入らない様になってるみたいだ。
商売上手だよな~~。
シュンシュンが監修している心霊スポット特集が掲載されるオカルト雑誌の月刊UAなんて、売り上げが凄いみたいだしな。
何で “ UA ” って書いて “ ウー ” って読むのか分からないけど、オカルト雑誌の中でも古い歴史を持つ雑誌みたいだ。
そう言えば、月刊UAの編集者の中に面白い人が居る──ってシュンシュンが言ってたっけ。
名前は知らないけど、本当にヤバい場所に行くと “ お漏らし ” しちゃう体質の編集者が居るとか何とか??
本当なのか怪しい眉唾ものだと思うけど、シュンシュンが面白がっていたから実際に居るのかも知れないな。
シュンシュンの玩具にされたりしないか不安かも──。
春麗
「 マオ──、探したぞ!!
1万円分の500円をくれ! 」
マオ
「 シュンシュン、さっきの5.000円は? 」
春麗
「 もう無い!
だから、早く寄越せ! 」
マオ
「 シュンシュン──、無駄遣いするなよ。
大事に使ってくれよ 」
オレはシュンシュンに1万円分の500円を手渡した。
オレって優しいよな!
春麗
「 何言ってるんだ?
ゲームセンターは無駄遣いを楽しむ為の天国じゃないかよ。
無駄遣いしてナンボだろうが。
折角来たんだから、マオも楽しめよ!
明日以降には入店が出来なくなるんだからさ! 」
そう言うとシュンシュンは駆け出して行った。
マオ
「 元気だなぁ…… 」
シュンシュンは羨ましい程に無邪気だ。
オレだって、セロが居てくれたら今のシュンシュンみたいにはしゃいでるよ!
セロが居てくれたら、煩い音量だって結界を張って聞こえない様にしてくれるし、オレが子供みたいにはしゃいでも、セロが見守ってくれるんだ。
セロが居ないから、オレがセロの代わりになって、はしゃいでるシュンシュンと幻夢さんの見守りをしないといけないんだ。
幻夢さんもあんなに楽しそうにはしゃいでる訳だしな。
春麗
「 マオ──、あっちにプリクラを撮れる機械があるぞ!
プリクラ、撮ろう! 」
マオ
「 は?
急に何だよ?
プリクラぁ~~? 」
春麗
「 プリントクラブって言うらしい。
略して “ プリクラ ” だ。
小さな写真が撮れるんだ 」
マオ
「 それは分かったけど、撮りたきゃ1人で撮れば良いだろ?
何でオレも撮らないといけないんだよ? 」
春麗
「 良いじゃないか。
減るもんじゃないんだ。
僕は十分過ぎる程1人で撮ったぞ。
セノコンとマオキノに見せ付けて自慢してやるんだ! 」
マオ
「 シュンシュン……。
そういう所じゃないかな?
マオキノとセノコンから逆恨みされちゃうぞ。
唯でさえ餌認定されてるってのに…… 」
春麗
「 マオの眷属になったんだから大丈夫だろ? 」
マオ
「 そうとは限らないと思うけどな~~ 」
春麗
「 良いじゃないかよ。
ほら、行くぞ! 」
マオ
「 シュンシュン── 」
全くもう、強引だなぁ~~。
シュンシュンに手首を掴まれて引っ張られる。
まぁ……偶には良いかな?
どうせならセロとプリクラってのを撮りたい。
今度、セロを誘ってみよっと!
春麗
「 よしよし、空いてるぞ!
マオ、見ろよ。
ホラー仕様のプリクラ機が有るんだ!
イカしてるだろ 」
マオ
「 うわぁ~~~~マジかぁ~~……。
ホラー版プリクラを撮るのか? 」
春麗
「 当たり前だろ。
僕は陰陽師だからな!
こういう仕様のは大歓迎なんだ! 」
一寸安心したな。
これならシュンシュンと一緒に撮ってもセロやマオキノに誤解されたりしなさそうだ。
春麗
「 本当だったら女装したマオと撮りたかったんだけどな…… 」
マオ
「 嫌な事、言う~~。
そんな事を言うなら撮らないからな! 」
春麗
「 冗談だ。
真に受けるんじゃない!
ほら、撮るから此方に来いよ 」
プリクラ機の中へ入ったシュンシュンが手招きする。
オレは溜め息を吐いてからプリクラ機の中へ入る。
シュンシュンと一緒にポーズを取るけど、恥ずかしいっ!!
マオ
「 ──こんな感じで良いのかな? 」
春麗
「 マオ、もっとはっちゃけろよ 」
マオ
「 無理言うなよ(////)」
シュンシュンとポーズを考えてから、シャッター音が鳴る。
違うポーズで3回も撮った。
春麗
「 よし、次は “ 書き書きタイム ” だぞ、マオ。
好きなスタンプを押したり、好きな太さのペンを選んたら、色を決めて文字を書くんだ 」
マオ
「 初めてだらか上手く出来ないよ… 」
春麗
「 慌てるなよ、時間は未だ有るんだ。
ほら、フレームも決めれるんだぞ 」
マオ
「 全部ホラーなんだな… 」
春麗
「 ゾンビにも出来るんだ。
凄いだろ 」
マオ
「 ゾンビは止めてほしい…… 」
“ 書き書きタイム ” とやらはシュンシュンに任せる事にした。
暫くすると完成したプリクラが出て来た。
春麗
「 マオ、見てみろよ。
面白い出来だぞ! 」
マオ
「 それ、誰にも見せないでくれよ。
恥ずかしいし(////)」
春麗
「 何言ってんだ。
見せびらかすに決まってるだろ!
よし、次のプリクラ機に行くぞ! 」
マオ
「 未だ撮るのかよ?!
今ので良いじゃんか── 」
春麗
「 駄目だ!
次のプリクラ機は── 」
全くもぅ……。
まぁ、偶には良いか。
性別反転したシュンシュンは、性格が悪くて生意気で口調も乱暴だけど、可愛いからな。
傍から見たら付き合ってる様に見られてそうだ。
セロにバレたら恐いな……。
◎ 訂正しました。
性別転換 ─→ 性別反転
◎ 変更しました。
春舂霄囹:春麗 ─→ 春麗