⭕ 明日にはサヨナラ 2
春麗
「 フフン!
マオ──、僕は新しい事業を考えたんだ! 」
苺パフェを頬張りながら、シュンシュン──春麗は自慢気に言う。
マオ
「 ──シュンシュン、新しい事業なんて幾つも始めてるじゃないかよ 」
春麗
「 そう言うなよ。
まぁ、聞けって!
今度はアトラクション系のホラーダンジョンを考えてるんだ 」
マオ
「 アトラクション系のホラーダンジョン?
ダンジョンは大体がアトラクションだろ~~ 」
春麗
「 水を差すなよ。
良いか、心して聞けよ!
僕が考えてる次の事業の名前はだな──【 阿鼻叫喚せよ!! 戦慄キョンシー迷宮★逃亡ミッション 】って言うんだ! 」
マオ
「 ──は??
キョンシー迷宮??
逃亡ミッション??
何だよ、それぇ 」
春麗
「 フフン!
僕は死しても尚動く死体を有効活用した画期的なアトラクションを考えたのさ!
僕の偉大さに言葉も出ないだろう! 」
マオ
「 キョンシーって、あの両手を前に出してピョンピョン飛び跳ねて移動する死体だよな?
人間の首に噛み付いて血を吸って──、首を噛まれた人間もキョンシーになって人間を襲うっていう娯楽ホラー映画の金字塔って言われてるヤツだろ? 」
春麗
「 そうさ!
そのキョンシーで稼ぐんだよ! 」
マオ
「 でもさ、シュンシュン。
コンプなんちゃら──ってのが有るんじゃなかったかな?
無断で利用するとヤバい事になるヤツ 」
春麗
「 マオ、僕達は人間じゃないんだぞ。
律儀に人間の決まりを守る奴が有るかよ。
コンプなんちゃらなんて無視だ、無視!
僕達には完全犯罪の神が付いてるんだぞ。
法を犯したって問題無いんだ。
気にしないでガッポリしようぜ★ 」
マオ
「 シュンシュンの最低さはブレないな~~ 」
オレはハンバーグ月見グラタンを食べながらシュンシュンの話を聞く。
グラタンの上にハンバーグと目玉焼きが乗ってる欲張りランチだ。
春麗
「 おい、幻夢──、如何にも興味無さそうな顔してんなよ!
お前も聞けよな! 」
マオ
「 シュンシュン、幻夢さんに “ お前 ” は駄目だろ!
シュンシュンより人生の先輩なんだからさ、言葉に気を付けろってば 」
春麗
「 マオの眷属になったのは僕の方が先だろ。
僕の方が先輩だ!
幻夢は僕の後輩なんだから良いんだよ! 」
マオ
「 シュンシュン…… 」
春麗
「 この事業はセロフィートに資金を出してもらわないと出来ないんだ。
マオがセロフィートに売り込んで、たんまりと資金を出させるんだからな! 」
マオ
「 何でだよ……。
資金調達をオレにさせるなよな~~ 」
春麗
「 今から説明するから、耳の穴をかっぽじって良く聞けよ! 」
シュンシュンは苺パフェを食べ終えると別の苺パフェに手を伸ばして食べ始める。
明らかに女の子が苺パフェを食べながらする話じゃないんだよな~~。
オレの右隣に座っている幻夢さんは、向き合って話して来るシュンシュンに対して、迷惑そうに “ うんざり ” しているみたいだ。
幻夢さんの気持ち、オレにも分かるよ!!
春麗
「【 阿鼻叫喚せよ!! 戦慄キョンシー迷宮★逃亡ミッション 】はな、キョンシー達を有効活用した娯楽を提供する事業だ。
気軽にハラハラ,ドキドキしながら楽しく遊べる参加型アトラクションゲームにする!
入り口は1階にあり、出口は地下10階にある。
迷宮の中はランダムダンジョンになっていて、入る客に依ってダンジョン内が違う仕様にする。
1階は歩きながら迷宮ダンジョンの説明を聞きながら先へ進む。
1階には露店があり、従業員から必要な物を渡すんだ。
地下1階の迷宮ダンジョンからミッションが始まるぞ 」
マオ
「 ランダムダンジョンなんて明らかにセロじゃないと作れないじゃんかよ。
キョンシーは地下1階から登場する訳だな? 」
春麗
「 そうさ。
フロア毎にプチミッションを用意する。
迫り寄って来るキョンシーから逃亡しながらミッションをクリアし、スタンプ帳にキョンシースタンプを押すんだ。
地下10階でもプチミッションをクリアし、キョンシースタンプをスタンプ帳に押すと、クリア記念として出口の扉を開ける鍵のレインボーダイヤを入手する事が出来るんだ。
出口の扉から出たら、10個のキョンシースタンプを押したスタンプ帳とレインボーダイヤを露店の従業員に渡すと記念品としてスタンプ帳とキョンシー迷宮攻略賞をプレゼントするんだ。
入場料は成人した大人が1.000円,未成年の子供が500円にする予定だ。
キョンシー迷宮攻略者は、次回から半額の値段でキョンシー迷宮を楽しむ事が出来る様にと考えているんだ。
因みにキョンシー迷宮グッズは専門販売店で買える様にする予定だ。
──どうだ、面白そうだろう! 」
マオ
「 シュンシュン──、“ 逃走中 ” って番組からもパクってるよな? 」
春麗
「 フン!
パクリがなんだよ。
パクリが怖くて新しい事業を起こせるか!
パクリ上等だ!
犯罪天国都市なんだから、セロフィートに揉み消してもらえば問題にならないだろ 」
マオ
「 シュンシュン……。
まぁ、セロなら何とでも出来るけどさぁ……。
キョンシーグッズまで作って売り込む気かよ。
完全にアウトじゃんか 」
春麗
「 良いんだよ。
グッズの大半は可愛くデフォルメした物を起用するつもりだ。
リアルなグッズは万人受けしないからな。
上級者向けには、リアルなグッズも販売しようと考えてるぞ。
【 阿鼻叫喚せよ!! 戦慄キョンシー迷宮★逃亡ミッション 】で遊べる対象は、セロカ会員限定にするつもりだ。
セロカ会員になって無い客が、参加前にセロカ会員に登録したら非売品グッズを渡す予定にしてるんだ。
入り口に設置している画面にセロカをタッチさせると翌日に100Pが加算される事にする。
Pが加算された事をチェックしたら、LINEスタンプのキョンシーver.をゲットする事が出来る様にするんだ。
キョンシースタンプは全10種類あって、コンプリートすれば1000Pが翌日に加算される様になるんだ 」
マオ
「 セロカ会員を増やす為の大々的なイベントかよ──。
それならセロも協力してくれるかも知れないな。
で──、肝心のキョンシーはどうするんだ? 」
春麗
「 そんなもん、キョンシーの衣装を着せた〈 器人形 〉に決まってるだろ。
〈 器人形 〉なら人間を襲ってキョンシーにはしないからな 」
マオ
「 〈 器人形 〉を使うなら安心だな 」
獅聖幻夢
「 キョンシーで大成功したら、私の呪靈を利用したダンジョン迷宮のアトラクションも作りましょう。
御札を貼って呪靈を倒し、★の数を競うゲームです。
呪靈の体には★1 ~ 5が刻まれています。
呪靈を倒すと★の数が得点として加算されます。
画面にセロカをタッチをすると獲得した得点がPとして翌日に加算される様にするのは、どうでしょうか? 」
マオ
「 幻夢さんの迷宮アトラクションも面白そうだね。
シュンシュンのはキョンシーから逃亡して、幻夢さんのは呪靈を倒すんだね 」
獅聖幻夢
「 獲得した得点に応じて、式神をゲットする事が出来る様にしても良いかも知れませんね 」
マオ
「 式神??
何で式神が出て来るの? 」
獅聖幻夢
「 式神を集めて式神図鑑をコンプリートする事で、《 セロッタ商会 》で使える10.000円分の商品券を貰える様にしてはどうでしょう? 」
マオ
「 10.000円分の商品券かぁ……。
幻夢さん、冴えてるね!
《 セロッタ商会 》でしか使えない商品券ってのが良いよね! 」
春麗
「 フン──。
面白そうな迷宮アトラクションになりそうじゃないかよ。
呪靈を出すなら、式隷や死乃人を出しても良いんじゃないか?
呪靈は御札でしか倒せないが、死乃人は式神で攻撃しないと倒せないとかな!
式隷は──仲間に出来て、2体の式隷を融合させると “ 式神を作れる ” とかな!
式隷を融合して作った式神を自分好みに鍛えて強くする事が出来る──ってのはどうだ?
育てた式神でないと★6 ~ 9の死乃人を倒す事が出来ない様にするんだ!
どうだ、面白くなるんじゃないか? 」
マオ
「 それは良いけどさ、どうやって式神を鍛えるんだよ? 」
春麗
「 そんなのは──スマホの画面で強くするに決まってるだろ?
迷宮アトラクションのアプリを作れば良いじゃないかよ。
迷宮アトラクションに参加する前にセロカをタッチする画面にスマホもタッチしてもらってさ、自動インストールさせたら良いだろ。
迷宮アトラクションとアプリを連動させて、御客に楽しんでもらうんだよ 」
マオ
「 連動か──。
じゃあ、連動キャンペーンとか必要になるよな?
どんどん風呂敷が広がるなぁ~~ 」
春麗
「 別に構わないだろ。
カモに金を落としてもらってガッポリする為なんだからさ 」
獅聖幻夢
「 そうですね。
資金調達には持って来いなイベントになると私も思います 」
マオ
「 う、うん──。
それに関してはオレも否定は出来ないや 」
美味い料理やスイーツを堪能しながらする話じゃないな。
場違い過ぎる感が半端ないよ。
マオ
「 でもさ、その迷宮アトラクションって何時から始めるつもりなんだ? 」
春麗
「 セロフィート次第に決まってるだろ。
僕の分まで確りセロフィートに売り込めよ! 」
マオ
「 シュンシュンが自分で話したら良いだろ 」
春麗
「 馬鹿野郎!
僕が話してセロフィートが動くかよ!
僕はキノコンから餌認定されてるんだぞ!
セロフィートにとって僕はその程度の存在でしかないんだ。
特別扱いされてるマオとは立場が違うんだよ!
マオからセロフィートに提案した方が、スムーズに起業する事が出来るんだ。
僕の為に一肌脱げよ! 」
マオ
「 ………………分かったよ。
だけど、オレが提案したからって、絶対にセロが協力してくれるとは限らないんだからな?
駄目な時だって有るんだからな!
駄目でもオレを責めるなよ? 」
春麗
「 何言ってるんだ。
責めるに決まってるだろ! 」
マオ
「 シュンシュン、最低ぇ~~ 」
獅聖幻夢
「 マオ殿、私も共にセロフィート殿に話します。
きっと協力してくださいます 」
マオ
「 幻夢さん──、有り難う(////)
心強いよ! 」
幻夢さんは頼りになる。
シュンシュンとは大違いだな!!
幻夢さんが一緒に話してくれるなら、頑張って交渉してみようかな?
◎ 訂正しました。
扉を開ける鍵とレインボーダイヤ ─→ 扉を開ける鍵のレインボーダイヤ
◎ 変更しました。
春舂霄囹:春麗 ─→ 春麗




