✒ 禁じられた❌❌❌ 3
──*──*──*── 陰陽師4事務所
──*──*──*── 2階
受けた依頼を終わらせた獅聖幻夢は【 陰陽師4事務所 】へ戻って来た。
階段を使い2階へ上がった獅聖幻夢の視界に入ったのは、左右の壁と天井に付けられた無数の赤い手形と廊下に付いている無数の足跡だった。
手形も足跡も大人サイズではなく、子供を思わせる小さなサイズだ。
獅聖幻夢
「 ──これはまたどうした事でしょう?
随分と派手な模様替えです。
真っ赤な手形と足跡ですか──。
ふふふ(////)
キノコンもおちゃめな事をしますね 」
獅聖幻夢は無数の真っ赤な手形と足跡を見ても気味悪がる事もなく微笑ましそうに笑っている。
可愛い容姿をしているキノコンも所詮は人間を喰らう怪物である。
人間が大好物であり、「 御馳走エリぃ♥️ 」とはしゃいで喜ぶキノコンなのだから、この程度のおちゃめな悪戯ぐらいするだろうと思っているのだ。
獅聖幻夢
「 バレンタインデーとやらが終わり、大したイベントもないですし、暇を持て余しているのかも知れませんね 」
獅聖幻夢は廊下を歩いて事務室の前で足を止める。
獅聖幻夢
「 此処にも有りますか。
周りの手形や足跡と違い、随分と黒ずんでいますね。
何か意味でも有るのでしょうか? 」
首を傾げながら獅聖幻夢は事務室に入る為にスライド式ドアを開けた。
──*──*──*── 事務室
事務室に入った獅聖幻夢の視界に入ったのは洗面器だ。
何故かテーブルの真ん中に洗面器が置かれていた。
洗面器の中には子供用の靴が入っていて、黒ずんだ赤色でグッショリと濡れている。
獅聖幻夢
「 幾ら悪戯だとしてもテーブルの上に洗面器を置くのは宜しくないですね 」
そう呟いた獅聖幻夢の影から獅聖幻夢に似た容姿の複製呪靈が2体、現れる。
1体目が両手で洗面器を持つと壁側の移動させて床の上に置く。
2体目はテーブルの上を清潔な布巾で丁寧に拭く。
その間に獅聖幻夢は自分で玉露茶を淹れるとソファーに腰を下ろして座り、玉露茶を飲み、一息付く。
事務室の壁に浮き出ている黒っぽいシミに気付いた獅聖幻夢は、クスッと微笑む。
壁に浮き出ている黒っぽいシミは幼い子供の様に見える。
良く良く見ると事務室の壁一面に幼い子供を思わせる形の黒っぽいシミが浮き出ている。
獅聖幻夢
「 まるで壁に影が焼き付いた様に見えますね。
これもキノコンの悪戯でしょうか?
色んなポーズが見れて面白いです 」
獅聖幻夢は壁に浮き出ている子供のシミを見ても気味悪がる事はなく、平常心でホットな玉露茶を飲む。
何処かからかっ拐って来た子供達に黒ペンキでも塗りたくり、魚拓を真似て壁に押し当てて付けたのかも知れない。
他所からかっ拐って来た子供達は既にキノコンの腹の中で消化されているのだろう──と獅聖幻夢は思っていた。
キノコン:本体
「 ──幻夢さま、お帰りなさいエリ 」
獅聖幻夢
「 キノコン、ただいま帰りました。
随分と賑やかな模様替えをされましたね 」
キノコン:本体
「 エリ?
模様替えですかエリ?
模様替えなんてしてませんエリ~~ 」
獅聖幻夢
「 それはおかしいですね。
2階の廊下には真っ赤な足跡,左右の壁と天井には真っ赤な手形が付いていますよ。
私はてっきり模様替えをしたのかと── 」
キノコン:本体
「 エリぃ~~!?
真っ赤な足跡と手形ですかエリ??
スライド式ドア付近の手形と足跡しか無いですエリ 」
獅聖幻夢
「 黒ずんでいる手形と足跡ですか? 」
キノコン:本体
「 エリ?
黒ずんでますエリ?
ボクは赤色に見えますエリ。
それに廊下にも壁や天井にも足跡や手形は見えませんエリ 」
獅聖幻夢
「 私には見えています。
では──、事務室の壁に浮き出ている真っ黒い子供のシミは見えますか?
壁一面に浮き出ているんですけど 」
キノコン
「 ………………見えてませんエリ。
事務室の壁に真っ黒い子供のシミなんて見えませんエリ……。
幻夢さまには見えてますエリ? 」
獅聖幻夢
「 ハッキリと見えています。
キノコンには見えないのに私には見えるとは摩訶不思議──、些か奇妙ですね 」
キノコン
「 どうして幻夢さまには見えてボクには見えませんエリ?
ショックですエリぃ~~ 」
キノコンは笠からスマホを取り出すと物凄い秒速で文字を打ち、LINEを送る。
キノコンは「 セロフィート様ぁ~~~~ 」と叫びながら半泣き状態で、セノコンのスマホへLINEを送信している。
獅聖幻夢
「 キノコンと私は何が違うのでしょう?
私は半妖でしたけど、セロフィート殿の能力力でマオ殿の眷属となりました。
その違いでしょうか? 」
キノコン
「 マオ様の眷属ならキノコンもですエリ。
セロフィート様が寿命を終えて作り替えられている間に全てのキノコンはマオ様の眷属になりますエリ。
現役眷属と眷属ではない違いかも知れませんエリ 」
獅聖幻夢
「 玄武殿と弓弦殿には、どの様に見えているのでしょう? 」
キノコン:本体
「 弓弦様なら依頼を終えて戻って来てますエリ。
第1発見者は弓弦様ですエリ。
洗面器の中に入っている子供の靴を見付けた後に── 」
キノコンは厳蒔弓弦が体験した事を獅聖幻夢に話して聞かせた。
獅聖幻夢
「 弓弦殿にはスライド式ドアの手形と足跡しか見えていないという事ですか? 」
キノコン:本体
「 弓弦様は黒ずんで見えてないと思いますエリ。
赤色に見えていると思いますエリ 」
獅聖幻夢
「 同じ現役の眷属でも見えているモノが違う──という事ですか。
弓弦殿も半妖で、天女の血も混ざっているのでしたね。
同じ半妖でも私とは随分と違いますし、見えるモノも違うのかも知れませんね。
玄武殿と霄囹の見え方が気になります 」
キノコン:本体
「 幻夢さまは霄囹ちゃまだけ呼び捨てですエリ? 」
獅聖幻夢
「 おかしいですか?
霄囹に敬称を付けて呼ぶ必要はないでしょう。
此方は霄囹の “ 被害者 ” なのです 」
キノコン:本体
「 幻夢さまは意外とねちっこいですエリ~~ 」
獅聖幻夢
「 ふふふ…。
霄囹は私の人形を壊してくれましたから。
弓弦殿は3階の部屋に居ますか? 」
キノコン:本体
「 はいですエリ 」
獅聖幻夢
「 第1発見者の弓弦殿からも話を聞かせて頂くとしましょう 」
獅聖幻夢は事務室を出ると階段を使い3階へ上がって行った。
キノコン:本体
「 見えている血の色が違うなんて不思議ですエリ~~。
セノコンにLINEしとくエリ 」
キノコンは器用に文字を打ち、セノコンのスマホへLINEを送信した。