✒ 禁じられた❌❌❌ 2
──*──*──*── 陰陽師4事務所
弓弦
「 誰も居ないのか?
キノコンと〈 器人形 〉も居ない様だが──、出掛けているのか? 」
先週、改名したばかりの【 陰陽師4事務所 】に依頼を解決させた厳蒔弓弦が戻って来た。
【 陰陽師4事務所 】に住み込みで家事全般を受け持ち任されているキノコンや事務仕事全般を任されている〈 器人形 〉の姿が無い。
スライド式ドアを開けて事務室に入った厳蒔弓弦は、愛用の魔喰らいの弓を壁に立て掛けると、自分で飲み物を用意してからソファーに腰を下ろして座る。
弓弦
「 雨が降って来たみたいだな。
降られる前に帰って来れて良かった 」
ホット玄米茶を飲みながら、厳蒔弓弦は雨音に耳を済ませていると、ドアが開いた音がした。
弓弦
「 うん?
誰か来たのか? 」
厳蒔弓弦はソファーから腰を浮かして立ち上がり、ドアの方へ歩く。
閉めた筈のドアが開いているのを見ると誰かがドアを開けたのだろう。
弓弦
「 誰か居るのか?
依頼なら入って来てもくれても構わないぞ 」
開いているスライド式ドアを開けた厳蒔弓弦は、廊下に見知らぬ子供用の靴が置かれている事に気付いた。
子供の靴は雨に降られた所為なのかビショビショに濡れており、グッショリしている。
厳蒔弓弦の頭の上には “ ? ” が飛んでいる。
廊下を見ても誰も居らず、子供の姿も見えない。
厳蒔弓弦は首を傾げるしか出来ない。
廊下に置かれている濡れた子供用の靴をどの様に扱えば良いのか悩んでいる。
厳蒔弓弦は取り敢えず、部屋を出ると洗面器とモップを取りに向かった。
持って来た洗面器の中に濡れた子供用の靴を入れ、モップを使い廊下を濡らしている水を丁寧に拭き取る。
洗面器とモップを部屋の中へ入れるとスライド式ドアを閉めた。
弓弦
「 一体何だったんだ?
誰が子供の靴を置いたんだ??
……………………誰かの悪戯か? 」
厳蒔弓弦は考え込みながら再びソファーに腰を下ろして座る。
雨音を聞きながら、中身が空になった湯呑みに新たな玄米茶を注いで飲む。
雨音に耳を傾け、玄米茶を飲みながら寛いでいる厳蒔弓弦の耳に廊下から誰かが歩いて来る足音が聞こえた。
弓弦
「 玄武か幻夢が戻って来たのか? 」
スライド式ドアの前で足音が止んだと思ったら、バタバタと複数の足音が聞こえて来た。
まるで数人の子供がドアの前で走り回っている様な足音だ。
厳蒔弓弦は眉間にシワを寄せるとソファーから腰を浮かせて立ち上がる。
スライド式ドアを開け、廊下を見ると誰も居ない。
誰の姿は見えないが、廊下に真っ赤な足跡が残されていた。
スライド式ドアには真っ赤な手形も残されていた。
弓弦
「 うん?
………………真っ赤な足跡と手形か?
随分と小さいな。
子供の足跡と手形みたいだ。
見えない何かが事務所の中に入り込んでいるのか?
放っておく訳にはいかないな…… 」
廊下に出てスライド式ドアを閉めた厳蒔弓弦は、事務所の中を1人で見回る事にした。
事務所の1階は水回り関係が集まっている。
台所,洗面脱衣室,浴室,化粧室等だ。
2階は事務室,資料室,応接室,給湯室,仮眠室等が在る。
3階には霄囹,玄武,弓弦,幻夢が各々が自由に使える個室があり、裏野ハイツに繋がる魔法陣の部屋がと空き部屋が在る。
4階は完全に空き部屋ばかりで、屋上にはキノコンが丹精込めて手掛けている家庭際菜園が在る。
因みに地下室は食糧庫とキノコン達が手塩に育てている茸の養殖室となっている。
厳蒔弓弦は先ず、2階を見回る。
地下には行かず、階段を使い1階へ下り見回りをする。
地下室はキノコンしか出入りが出来ない仕様になっているからだ。
──*──*──*── 1階
弓弦
「 ──何処にも異常は無い様だな。
3階へ行くか 」
事務所に設置されているエレベーターへ乗り込み、厳蒔弓弦は3階へ移動した。
──*──*──*── 3階
廊下を歩きながら空室の部屋を開け、確認しながら見回る。
とある空き部屋の中からゴソゴソと物音が聞こえて来た。
厳蒔弓弦は空き部屋のノブを掴むとドアを開けた。
弓弦
「 ──キノコン!?
居たのか?
空き部屋で何をしているんだ? 」
キノコンの姿を見て厳蒔弓弦は心の中で安堵する。
キノコン
「 弓弦様!
お帰りなさいませエリ。
お出迎えが出来なくて御免なさいエリ 」
弓弦
「 いや、良いんだ。
キノコンも色々と忙しいだろう。
気にしないでくれ 」
キノコン
「 お心遣い有り難う御座いますエリ。
新しい住居者の為に空き部屋の掃除をしていましたエリ 」
確かにキノコンは分身体と共に空き部屋の掃除をしている。
弓弦
「 住居者が増えるのか。
幻夢を入れたら2人目だな 」
キノコン:本体
「 死神のロリッ子娘ですエリ 」
弓弦
「 あぁ──、確かセロの友達に死神が居たな。
その死神の娘だったか?
戦えないからと事務所へ一時的に避難しに来ていたな。
そうか、事務所に住まうのか 」
キノコン:本体
「 弓弦様は、どうかされましたエリ? 」
弓弦
「 あぁ……実はな── 」
厳蒔弓弦は2階の廊下で起きていた事をキノコンへ話した。
キノコン:本体
「 エリ!?
そんな悪戯をしやがる不逞な輩が事務所に出入りしてましたエリ?
許せませんエリ!! 」
弓弦
「 悪戯なのかは未だ分からないんだが…… 」
キノコン:本体
「 でもおかしいですエリ。
仮に侵入者の仕業だとしても、事務所に怪しい侵入者が入って来たら地下室に居るキノコンや屋上に居るキノコンが察知して知らせてくれる筈ですエリ。
不届きな侵入者の悪戯を許すなんて──、1階と2階に分身体を残さなかったボクの責任ですエリ…… 」
弓弦
「 それは大袈裟ではないか?
別に盗まれた物が有る訳でもないし、私も怪我をしていないしな 」
キノコン:本体
「 エリ~~。
弓弦様ぁ~~~~、お優しいですエリぃ~~~~ 」
弓弦
「 泣かないでくれ……。
1階と2階には誰も居なかった。
3階も此処以外の空き部屋を確認したが、異常はないかった 」
キノコン:本体
「 分かりましたエリ。
4階は分身体に調べさせますエリ。
念の為、1階と2階にも分身体を配置させますエリ。
弓弦様、悪戯現場にはボクも行きますエリ 」
弓弦
「 部屋の掃除は大丈夫なのか? 」
キノコン:本体
「 大体の事情は分身体も把握しましたエリ。
作業を任せても問題ないですエリ 」
弓弦
「 そうか。
忙しいのに手を煩わせて済まない。
来てくれると助かる 」
キノコン:本体
「 犯人の手掛かりを探しますエリ!
セロフィート様の名に懸けて──、エリ! 」
という訳で、厳蒔弓弦はキノコンと共に階段を使い2階へ下りた。
──*──*──*── 2階
厳蒔弓弦はキノコンを連れて、事務室のスライド式ドアの前に戻って来た。
スライド式ドアには真っ赤な手形,廊下には真っ赤な足跡がハッキリと残っている。
弓弦
「 キノコン、これなんだが… 」
キノコン:本体
「 現場の証拠として写メっときますエリ 」
キノコンは笠の中から素早くスマホを取り出すと慣れた手付きで足跡と手形を連写する。
弓弦
「 その前に水浸しの子供用の靴が置かれて居てな──。
今は洗面器の中に入れてあるんだ 」
事務室のスライド式ドアを開けた厳蒔弓弦は事務室の中に置いた洗面器をキノコンに見せる。
弓弦
「 なっ──?!
どうして血塗れなんだ!?
雨で濡れていた筈なんだが…… 」
キノコン:本体
「 血塗れでグショグショしてるエリ。
廊下の水を拭き取ったモップですエリね。
モップにも血がベットリと付着してますエリ 」
キノコンは証拠を保存する為にスマホで子供用の靴とモップも連写する。
キノコン
「 雨に濡れていた靴が、何時の間にか血塗れになっていた──。
奇妙で不可解で妙ちきりんですエリ~~。
原因はボクにも分かりませんエリ 」
弓弦
「 そうなのか?
心霊的な現象なのか、怪奇的な現象なのかも分からないか? 」
キノコン
「 キノコンには分かりませんエリ。
霄囹ちゃまに連絡してみますエリ 」
キノコンはスマホで器用に文字を打ち、春舂霄囹へLINEを送る。
子供用の靴と足跡,手形の写メを貼り付けるのも忘れない。
キノコン
「 セロフィート様宛にセノコンのスマホにもLINEしときますエリ。
血塗れになる前の靴を〈 テフ 〉で構成してもらえないか依頼もしときますエリ 」
弓弦
「 キノコン、有
連絡してくれて助かる 」
キノコン
「 どう致しましてエリ。
それにしても気味が悪いですエリ。
犯人を捕
弓弦
「 せ…折
キノコン
「 はいですエリ。
滅多メタに折
弓弦
「 ………………然
キノコン
「 肉体はセロフィート様に用意して頂きますエリ。
事務所を見回る分身体
何
弓弦
「 そうだと良
キノコン
「 足跡と手
弓
霄
弓弦
「 キノコン……。
分かった。
丸投げしてしまう様
キノコン
「 とんでもないですエリ。
弓
解決したら、お知らせ致しますエリ 」
キノ
階段を使い3階へ上がると事務所に用意されている自室へ向かった。
キノコン
「 何
ボクにはこ
厳
完全に御手上げ状態だった。