──*──*──*── 事務所
キギナ・メグド・ナール
「 ──あはっ★
この映画、面白そうじゃない?
ホラー映画を観るなら、やっぱり冬よね! 」
霄囹
「 おい、死神の娘ぇ!!
一体何時まで僕の事務所に居座ってるんだ?
とっとと自宅に帰れ! 」
キギナ・メグド・ナール
「 別に良いじゃん。
此処、居心地が良いのよね。
家賃払うから住まわせなさいよ 」
霄囹
「 家賃だと?
毎月100万も払えるのかよ? 」
キギナ・メグド・ナール
「 はぁ?
死神を馬鹿にしないでくれる?
金なんて盗み放題なのよ。
何の問題も無いわ! 」
霄囹
「 盗むって強盗でもしてるのかよ? 」
キギナ・メグド・ナール
「 馬鹿ねぇ~~。
死神よ、し・に・が・み!
人間に見えない異形なのよ。
強盗なんかしなくても簡単にちょろまかすなんて朝飯前・な・の★
まぁ、流石に〈 ゴデッセルロド形ぎょうール様さま 〉みたいに欲しいだけ金カネを出すなんて出来ないから、人間から頂戴するしかないんだけどぉ~~ 」
霄囹
「 とんだ死神だな。
死神ってのは、お前みたいなイカれた思考をした奴ヤツ等らばっかなのかよ? 」
キギナ・メグド・ナール
「 イカれてないわよ。
此こ処こは “ 犯罪天国パラダイス都市 ” なのよ。
犯罪は起きて当然、当たり前なの。
不可解で不可思議な犯罪や事件が日常茶飯事に起きる町よ。
貯めてる金カネが減る事件なんて、耳糞以下の事件なの!
表おもてに出して堂どう々どうと使えない金カネなんて、後ご生しょう大事に持ってたって仕方無いでしょ。
金カネの価値なんて使って回してナンボなのよ! 」
霄囹
「 どっかで聞いた様ような台詞だな。
まぁ、良いい。
家賃が払えるなら、1部屋貸かしてやるよ。
家賃は1ヵ月分で1.100万円だ。
100万は1ヵ月の水道代,電気代,ガス代だ。
1千万は部屋代だぞ 」
キギナ・メグド・ナール
「 OKオッケー。
1ヵ月に1.100万円を支払えば良いいのね。
チョロいわよ! 」
霄囹
「 交渉成立だな。
毎月何なにもしなくてもタダで1.100万円が入はいって来くるとはラッキーだ。
死神様さま々さまだな! 」
キギナ・メグド・ナール
「 そう言えば、アンタは事務所の所長なのよね。
仕事しないで何なにしてんのよ? 」
霄囹
「 仕事なら僕の代わりに従業員の玄げん武ぶ,弓ゆ弦づる,幻げん夢むがしてるだろ。
所長ってのはな、報酬額の報告を聞くのが仕事なんだ 」
キギナ・メグド・ナール
「 アンタ、最低な所長ね~~。
流石は〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉とつ・る・ん・で・る・だけあるわね~~ 」
霄囹
「 黙れ、ロリッ子こ娘むすめ!
それより、其そ処こに散らかしてる雑誌を片付けろ。
全まったく──、だらしないな…… 」
キギナ・メグド・ナール
「 一寸ちょっと、勝手に触さわらないでよ。
魂たましいの狩り場を選んでるんだからね 」
霄囹
「 はぁ?
魂たましいの狩り場だって?
お前、何なに言ってるんだ?
死神は死期の近い人間の魂たましいを狩っては回収してるんだろうが 」
キギナ・メグド・ナール
「 はぁぁぁあ?
アンタこそ何なに言ってんの?
それは創作話ばなしが好きな人間が勝手に作った死神の設定でしょ。
死期の近い死者の魂たましいなんて態わざ々わざ狩らないし、回収もしないわ。
放っときゃ勝手に輪廻の流れへ還るんだもの。
死神はね、担当地区別にノルマがあるのよ。
ノルマを達成させる為に魂たましいを狩って、回収してんの 」
霄囹
「 ノルマだって? 」
キギナ・メグド・ナール
「 そうよ!
私が配属されてる担当地区に振り分けられてるノルマは、毎月30個の魂たましいを回収する事なの。
ちまちま回収するのは私の性分じゃないから、人間が集まる場所で一気に30個の魂たましいを回収してるのよ 」
霄囹
「 その場所が映画館──って事か? 」
キギナ・メグド・ナール
「 そゆこと~~。
映画館って魂たましいを狩るのに持って来こいの場所なの★
但し、上映中には狩らないわよ。
映画って各それ々ぞれに開始時間が有るじゃない?
10時20分に開始した映画を見てる観賞者の中から適当に30人を選ぶのよ。
30人を選んだら、上映中の館内で鎌を振り下ろすの。
後あとは帰宅してから10時間20分後に魂たましいを自動で回収しちゃえるって訳よ。
待ってるだけで時間になったら魂たましいの回収が完了するなんて簡単でしょ★ 」
霄囹
「 映画館で対象者ターゲットを適当に選んで、鎌を振り下ろすだけで、時間になったら魂たましいの回収が済む──か。
とんだ体ていたらくな死神も居いたもんだな 」
キギナ・メグド・ナール
「 あのねぇ、死神の役目は魂たましいの帳ちょう尻じりを合わてバランスを保たもたせる事なの!
星が誕生すると、地上に存在する魂たましいの数かずが決まるのよ。
地上に存在する魂たましいの数かずってのは星に依って違うの。
この星地球テッラでも地上に存在する魂たましいの数かずは決まっていて、世界中に配属されている死神達が日にち夜や、魂たましいの帳ちょう尻じり合わせに奮闘しているのよ!
フフン、知らなかったでしょう! 」
霄囹
「 地上に存在する魂たましいの数かずが決まっている?
それは本ほん当とうなのか? 」
キギナ・メグド・ナール
「 事実よ。
〈 大自然の法則 〉──と言うよりも〈 宇宙の法則 〉って言った方が良いいかしら?
信じられないなら〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉に聞いてみたら。
知らない筈は無いと思うわよ。
──まぁ、そんな訳で、何ど処こかで産まれ過ぎたら、帳ちょう尻じりを合わす為に何ど処こかで魂たましいを狩って回収するの。
魂たましいを狩る方法なんて幾いくらでも有るから難むずかしくは無いわね 」
霄囹
「 どうやって魂たましいを狩るんだ? 」
キギナ・メグド・ナール
「 それこそ色いろ々いろね。
自然天災害災や人為人的災害災は勿論、事故,事件,病気,伝染病,飢饉,戦争──とか、利用の出来る事物現象は何なんでも利用するわ。
死神にとっては基本中ちゅうの基本よ。
1度に多くの魂たましいを狩らないといけない時ときには重宝してるわね。
多くの魂たましいを楽ラクに回収が出来てちゃうから!
便乗する時ときも有るし、敢えて起こしちゃう時ときも有るわね。
豪華客船の沈没とか──、飛行機の落下とか──、電車の脱線事故とか──、巨大ビルの倒壊とか──、ウィルスの拡大感染とか──。
まぁ、流石に異形,怪異,霊的存在なんかを利用する事は出来ないけどね 」
霄囹
「 人間が知ったら激怒しそうだな 」
キギナ・メグド・ナール
「 人間の都合なんて死神には関係無いわ。
死神の使命は “ 魂たましいの帳ちょう尻じりを合わせて、バランスを保たもつ ” って事だもの。
“ ノルマ達成 ” っていう使命が何なによりも最優先なの。
回収した魂たましいは輪廻の流れへ還るし、宇宙の何ど処こかに存在している魂たましいの数かずが足たりてない別の星の生物に生まれ変わるのよ。
今世このよで人生が終わっても、来世あのよが待ってるの。
魂たましいは常つねに輪廻を流転しながら輪廻で転生を繰り返しているの。
それが誰にも変える事の出来ない永遠不変,永久に続く〈 宇宙の法則 〉なのよ。
回収する魂たましいの対象者ターゲットが、子供だろうと若者だろうと年寄りだろうと──、善人だろうと悪人だろうと──、狩る側の死神には関係無いのよね 」
霄囹
「 死神を美化してる人間達に聞かせてやりたい言葉だな 」
キギナ・メグド・ナール
「 あら、死神のする事なんて可愛いもんよ。
死神より質タチの悪い存在が、星には居いるんだから! 」
霄囹
「 セロフィートか? 」
キギナ・メグド・ナール
「 当ったりぃ~~★
〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉の使命は、星の寿命を縮める原因を排除する事。
簡単に例えると、星専属の “ お掃除屋さん ” かしらね。
誕生した星には寿命が与えられるのよね。
寿命を全まっとう出来ずに消滅しちゃう星って意外と多いらしいのよ。
寿命を迎える前に消滅しちゃう大半は、生物が生息している星が対象ね。
それも急速に過剰な進化を遂げた生物が星の寿命を削って縮めちゃうの。
与えた寿命を星が全まっとう出来る様ように──ってな理由で、星の寿命を維持する為に “ お掃除屋さん ” 曰いわく〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉が誕生したんですって!
そんな訳だから、〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉には容赦がないの。
星が寿命を全まっとうさせる事が最優先事項の使命だから、星の寿命を縮める立場の生物に対しては駆除したり、排除したり、絶滅させたり、根絶させたり、色んな事をするのよ。
一国を丸ごと潰したり、≪ 大陸 ≫を海底に沈めちゃったりね!
〈 皇コウ 〉が≪ 大陸 ≫に居いて治おさめていても〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉には関係無いのよね。
人類は星の寿命を縮める1番の原因で、有害生物だから──。
なもんだから〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉と〈 皇コウ 〉は水と油の様ように反発し合っているし、解わかり合えない存在なの。
〈 皇コウ 〉の方が一方的に〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉を敵視しているだけなんだけど── 」
霄囹
「 壮大な話はなしだな。
セロフィートにと・っ・て・人類が代えの効く使い捨ての玩具おもちゃだって理由は分かったよ。
駆除したり、排除する対象なら玩具おもちゃにして遊びもするよなぁ 」
キギナ・メグド・ナール
「 〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉のする事を止とめる事は誰にも出来ないわ。
あの “ マオ ” って子は、異例中ちゅうの異例ってヤツだわね。
今の〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉が比較的に大人しくてフレンドリーでも、次代の〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉も同じとは限らないのよね。
〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉は作り替えられると、外見は変わらないけど、中身が変わってしまうから──。
次代の〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉が気き紛まぐれで死神族を〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換しちゃう事だって有り得るのよ。
だから、死神族は〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉を信用なんてしないのよ。
〈 ゴデおッセ人にんルロド形ぎょうール様さま 〉に寿命が有る以上、信用したくても出来ない存在なの── 」
霄囹
「 ふぅん……。
やっぱり、この星のラスボスはセロフィートになるんだな 」
キギナ・メグド・ナール
「 ラスボス?
良よく分からないけど、人類から見たら完全に敵ね。
人類の敵なのは死神も同じだけどぉ~~ 」
霄囹
「 フン、それがどうした!
人類の敵なんて結構じゃないか。
人類が恐くて非人道的で非道徳的な実験が出来るかよ!
僕は自分の実験を成功させる為なら、幾いくらでも人類を実験台モルモットに使ってやるさ!
実験台モルモットの魂たましいなんか、お前に幾いくらでもくれてやるよ!!
あ~~はっはっはっはっはっはっはっ~~~~~~ぁ!!!! 」
キギナ・メグド・ナール
「 ラジャー♥️
言げん質ちは取ったからね! 」
霄囹
「 さてと──、僕は実験用のモルモットを捕獲して来くるとようか。
ゲスいクズ共どもが集まる場所でモルモットを乱獲するぞ!! 」
キギナ・メグド・ナール
「 アンタ、楽しそうね~~。
私も映画館に行って来こよう~~と 」
春しゅん舂しょう霄しょう囹れいと死神の娘──キギナ・メグド・ナールは、各おの々おのの目的の為に意気揚よう々ようと事務所を出て行った。