⭕ 仁義なき戦い 2
幻夢さんに見られながら、オレはマオキノ,セノコンと一緒にセロに渡す為のチョコを作っていた。
マオ
「 ふぅ──。
こんなもんかな? 」
セノコン
「 上出来ですエリ 」
マオキノ
「 流石、マオ様ですエリ。
手際が良いですエリ 」
マオ
「 まぁな!
伊達に料理してないよ!
料理もセロに鍛えられたからな~~ 」
獅聖幻夢
「 チョコレートとはこの様に作るのですね 」
マオ
「 後は冷凍庫で固めたら完成だよ。
溶かしたチョコレートに温かい紅茶を注いだら美味しいよ 」
セノコン
「 幻夢さま、どうぞエリ。
御賞味くださいエリ 」
獅聖幻夢
「 有り難う御座います 」
マオ
「 玄武さんと弓弦さんにも飲んでほしいな。
何処に居るのかな? 」
セノコン
「 帰宅してますエリ 」
マオ
「 えっ、マジ?
じゃあ、呼んで来る! 」
オレは102号室のドアを開けて外に出たら、右隣の101号室のドアをノックして開けた。
──*──*──*── 102号室
──*──*──*── 1階・リビング
マオ
「 また負けたぁ~~~~!! 」
セノコン
「 マオ様、弱いですエリ~~。
チロルチョコ、8個の没収ですエリ 」
マオ
「 う゛ぅ゛~~~~。
後は3個しか無い~~~~!! 」
玄武
「 マオキノ、マオを手伝ってはどうだ?
こうも負けてばかりではな…… 」
弓弦
「 そうだな……。
連敗は流石にな…… 」
獅聖幻夢
「 マオ殿は少々素直過ぎますね。
勝負には向いていないのでは?
出せるカードを全て出していては勝てませんよ 」
マオ
「 でもさ、出せるカードを出さないと他の人が出せないじゃんか 」
弓弦
「 マオ、7並べは敢えて出さずに相手を止め、パスを使わせる事も必要なんだ 」
玄武
「 うむ。
6や8を持っていたなら、敢えて出さず、他のカードを出し、相手にパスを使わせドボンへ追い込まなければ勝てないぞ 」
マオ
「 そんな……持ってるのに出さないで相手をドボンさせるなんて、そんなの酷くないかな? 」
獅聖幻夢
「 カモですね 」
弓弦
「 カモだな… 」
玄武
「 鍋を背負ったカモだ 」
マオ
「 何でオレの事をカモカモ言うんだよぉ~~~~ 」
セノコン
「 マオ様は7並べには向きませんエリ~~ 」
マオキノ
「 7並べでマオ様と組むの嫌ですエリ…… 」
マオキノはソッポを向いてオレに背中を向ける。
マオ
「 何でだよ、マオキノぉ~~~~。
オレの御世話係りじゃないかよ~~ 」
マオキノ
「 嫌なモノは嫌ですエリ!
7並べに関しては断固拒否させて頂きますエリ! 」
マオ
「 セノコン~~ 」
セノコン
「 ………………………………御免なさいですエリ。
7並べでマオ様と組むのはボクも御遠慮させて頂きますエリ 」
マオ
「 何でだよぉ~~~~ 」
マオキノ
「 そうですエリ!
霄囹ちゃまが居ますエリ!
霄囹ちゃまに押しつ──丸な──頼りますエリ!! 」
マオ
「 シュンシュンは未だ≪ ダンジョン ≫の中だろ。
≪ ダンジョン ≫は広いし、シュンシュンを探すのは大変だぞ 」
セノコン
「 心配ないですエリ。
セロ様がミニマムキノコンを霄囹ちゃまの烏帽子に忍ばせてますエリ。
居場所の把握はバッチリですエリ 」
マオ
「 セロらしいな。
そりゃ、ミニマムキノコンを忍ばせてたら、放っといても安心だよな 」
セノコン
「 他のキノコンが霄囹ちゃまを連行して来てくれますエリ。
7並べを再開しますエリ 」
マオ
「 次、負けたらオレのチロルチョコが無くなっちゃうよ! 」
セノコン
「 霄囹ちゃまが来たら、新しいチョコを追加しますエリ 」
という訳で、玄武さん,弓弦さん,幻夢さん,オレの4人で勝負する7並べが再開した。
セノコンとマオキノはカードを切って配ったり、負けた相手のチロルチョコを没収して勝った3人へ配分する役。
マオキノが切り終わったカードを配ってくれる。
ダイヤの7を出した弓弦さんから時計回りで始まる。
弓弦さん ─→ 玄武さん ─→ オレ ─→ 幻夢さんの順だ。
こんどこそ勝ちたい!
弓弦さんがクラブの6を出して、玄武さんはハートの8を出す。
だからオレは弓弦さんと玄武さんを真似てスペードの6を出す。
幻夢さんはハートの9を出す。
弓弦さんはスペードの5を出す。
玄武さんはハートの5を出す。
オレはダイヤの6を出す。
幻夢さんはスペードの4を出す。
弓弦さんはハートの10を出す。
玄武さんはハートの11を出す。
オレは出せないからパス1だ。
幻夢さんはダイヤの5を出す。
弓弦さんはハートの4を出す。
玄武さんはダイヤの4を出す。
オレはダイヤの3を出す。
幻夢さんはダイヤの2を出す。
弓弦さんはハートの12を出す。
玄武さんはダイヤの1を出す。
オレは出せないからパス2だ。
幻夢さんはハートの13を出す。
弓弦さんはダイヤの8を出す。
玄武さんはスペードの3を出す。
オレはダイヤの9を出す。
幻夢さんはスペードの2を出す。
弓弦さんはスペードの1を出す。
玄武さんはダイヤの10を出す。
オレはダイヤの11を出す。
幻夢さんはハートの3を出す。
弓弦さんはスペードの8を出す。
玄武さんはダイヤの12を出す。
オレはハートの2を出す。
幻夢さんはダイヤの13を出す。
弓弦さんは出さない。
初めてのパス1だ。
玄武さんはスペードの9を出す。
オレはハートの1を出す。
幻夢さんはクラブの8を出す。
弓弦さんはクラブの9を出す。
玄武さんはクラブの10を出す。
オレは出せないからパス3だ。
幻夢さんはスペードの10を出す。
弓弦さんはスペードの11を出す。
玄武さんはクラブの11を出す。
オレは出せないからパス4だ。
幻夢さんはクラブの6を出す。
弓弦さんはクラブの5を出す。
玄武さんはクラブの4を出す。
オレは出せないからパス5だ。
幻夢さんはクラブの12を出す。
弓弦さんはクラブの13を出す。
玄武さんはクラブの4を出して上がりだ。
オレはパス6回目でドボンだ。
スペードの13とクラブの1と3を出した。
幻夢さんはスペードの12を出して上がりだ。
弓弦さんはクラブの2を出して上がる。
玄武さんが1位,幻夢さんが2位,弓弦さんが3位,オレは4位だ。
マオ
「 また負けたぁ~~~~ 」
セノコン
「 マオ様のチロルチョコを没収しますエリ 」
マオ
「 パス5でドボンなんて……。
今回はカード運が悪かったな… 」
弓弦
「 玄武と幻夢の接戦だったな 」
玄武
「 弓弦がパスをしなければ我は負けていたな 」
弓弦
「 幻夢は強いな 」
幻夢
「 今回もカード運が良かっただけです 」
玄武
「 マオはカード運が良くても悪くても負けるな…… 」
弓弦
「 そうだな… 」
幻夢
「 セロフィート殿と組めば勝てそうですね 」
弓弦
「 そうでもないんだ 」
玄武
「 うむ。
カードを持つのがセロなら間違いなく圧勝だろうが、カードを持つのがマオだとセロでも負ける様だ 」
幻夢
「 ほほぅ……そうなのですか?
それは不思議ですね? 」
弓弦
「 セロ自身が直接勝負をする訳ではないかららしいな 」
幻夢
「 流石のセロフィート殿も7並べではマオ殿に手を焼いてしまうのですね 」
マオ
「 セロは酷いんだ!
オレに❌が書かれたマスクを付けさせて、『 一言も喋るな 』って言うんだ! 」
玄武
「 気持ちは分かるがな…… 」
弓弦
「 マオは正直過ぎるからな…… 」
マオ
「 えぇ~~~~。
玄武さんも弓弦さんもセロの肩を持つんだ…… 」
マオキノ
「 セロ様でも7並べに関しては御手上げされてますエリ~~ 」
セノコン
「 新しく淹れたチョコレートティーですエリ。
紅茶葉を変えてみましたエリ 」
玄武
「 セノコン、有り難う 」
弓弦
「 茶葉を変えると味も変わるのか? 」
幻夢
「 香りが違いますね 」
マオ
「 違いが分かるの?
幻夢さんは嗅覚が良いんだね 」
セノコンが淹れてくれたチョコレートティーを飲みながら寛いでいると、別のキノコンが2階から下りて来た。
実は≪ ダンジョン ≫への出入り口は2ヵ所あるんだ。
セロとオレの寝室になっている2階とシュンシュン達の部屋の1階だ。
オレ達が102号室に集まっているから、セロとオレの寝室から出て来たみたいだ。
キノコン
「 御待たせ致しましたエリ。
霄囹ちゃまを捕獲して連行──お連れしましたエリ! 」
キノコンはビシッと敬礼をすると、引き摺って来たであろうシュンシュンを前に出した。
シュンシュンは目隠しをされていて、口には “ いけないプレイ ” に定番で使われてそうな猿轡をされていて、両手と両足に手錠が掛けられていて、全身を縄でグルグル巻きにされている。
随分と荒い方法で捕獲されたみたいだ。
何か痛々しいな……。
マオ
「 キノコン、有り難な。
取り敢えず、手足の手錠と全身の縄をほどいてくれないかな? 」
キノコン
「 畏まりましたエリ 」
敬礼を解いたキノコンはシュンシュンをグルグル巻きにしている縄を丁寧にほどいてから手錠を外してくれる。
シュンシュンは何かを言いたいのか「 ウーウーウー 」と言っている。
猿轡も外してやらないとだ。
玄武
「 ず…随分と手荒い方法だな… 」
弓弦
「 あ、あぁ……そうだな…… 」
幻夢
「 まるで犯罪者の様な扱いですね 」
玄武さんと弓弦さんがドン引きしてるぅ~~~~。
オレはシュンシュンの目隠しを取ってやる。
物凄い目でシュンシュンから睨まれた。
「 目隠しよりも猿轡を先に外せよ! 」とでも言われているみたいに感じる。
キノコン
「 反抗的な目ですエリ!
マオ様、反抗的な目を抉っちゃっても良いですかエリ? 」
マオ
「 駄目に決まってるだろ!
可愛く言っても駄目だからな! 」
キノコン
「 残念ですエリ~~ 」
マオ
「 ほら、シュンシュンを連れて来てくれた御礼だよ!
チロルチョコだけど…… 」
キノコン
「 エリ?!
頂いても宜しいですかエリ?
エリぃ~~~~(////)
マオ様、有り難う御座いますエリ♥️
これはボクの家宝にしますエリ! 」
マオ
「 市販のチョコだし、食べてほしいんだけど…… 」
キノコン
「 ボクは失礼しますエリ 」
マオキノ
「 有り難うエリ 」
キノコン
「 どう致しましてエリ 」
セノコン
「 お父さん,お母さんに宜しくエリ 」
セノコン,マオキノ,キノコン
「「「 エリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリ── 」」」
キノコンの共鳴って何度見ても怖いな…………。
マオキノ,セノコンと共鳴という名の挨拶を済ませたキノコンは器用に階段を上がって2階へ向かった。
≪ ダンジョン ≫に入って≪ キノコン王国 ≫へ帰るみたいだ。
セノコンがシュンシュンの口を塞いでいる猿轡を外してくれる。
マオキノ
「 お帰りなさいませ、霄囹ちゃま。
傷心家出は楽しかったですエリ? 」
霄囹
「 誰が傷心家出をしたよ!
僕は家出をした覚えは無いぞ!
誰にも邪魔されない場所で闇呪術の実験をしてたってのに邪魔しやがってぇ!! 」
マオ
「 え?
≪ ダンジョン ≫に潜ってヒッキーしてたんじゃないのか? 」
霄囹
「 コラ!
誰がヒッキーだよ!
何で僕が≪ ダンジョン ≫に引き隠らないといけないんだ!? 」
マオ
「 そっか~~。
シュンシュン、傷心してなかったんだな。
良かった~~! 」
霄囹
「 はぁ?
僕が “ 傷心 ” って何だよ? 」
マオ
「 いや──、だってセロが…… 」
という訳で、オレは17日前にセロから言われた事をシュンシュンに話した。
霄囹
「 ──全く!
マオ──、お前はセロフィートの言う事を真に受け過ぎだぞ!!
何で僕がそんなくだらない理由で≪ ダンジョン ≫に引き隠るんだよ!! 」
マオ
「 だって──、あんな事情を聞いたらオレじゃなくっても勘違いするよ! 」
霄囹
「 セロフィートの言う事なんて、90%は嘘だと思えよ!! 」
マオ
「 セロはそんなに嘘は言わないぞ! 」
シュンシュンの言う事は大体が当たっている。
“ 90%は嘘 ” ってのは言い過ぎだけどな!!
人形でも嘘を言ったり冗談を言ったりもするもんだ。
其処等辺は人間と変わらないんだよな~~。
だけど、シュンシュンの話で≪ ダンジョン ≫に潜っていた本当の理由が知れて良かった。
まぁ、それも何処迄が本当かオレには分からないけどな!
何はともあれ、シュンシュンが元気で良かったよ。