⭕ 呪霊退治 13
──*──*──*── 5日後
──*──*──*── 東京都米●市米●町米●横丁
──*──*──*── 犯罪天国都市・米●町
──*──*──*── 裏野ハイツ
──*──*──*── 102号室
──*──*──*── 1階・リビング
マオ
「 ──でぇ?
その人は誰なんだよ、セロ! 」
セロフィート
「 獅聖幻夢さんです 」
マオ
「 獅聖幻夢ぅ??
獅聖幻夢──って言えば、シュンシュンが殺害した眞小呂の兄貴だったよな?
とっくの昔に眞小呂の魂と一緒に輪廻の流れへ還ったんじゃなかったのかよ? 」
セロフィート
「 幻夢さんは眞小呂さんの魂が輪廻の流れへ還ったのを見届けた後、残りの余生を謳歌しています。
幻夢さんの父親は妖魔でしたから、人間の父親を持つ眞小呂さんより長生きしました 」
マオ
「 ………………セロ、シュンシュンが話してた内容と違うんじゃないか?
眞小呂はシュンシュンに殺害されて、魂は天へ昇って逝って──、式神になってた兄貴の獅聖幻夢は姿を維持を出来なくなって眞小呂の魂と一緒に天へ昇って逝った── 」
セロフィート
「 マオ、それはあくまでも霄囹さん視点の話です。
幻夢さん視点は違います 」
マオ
「 ど、どう違うんだよ!? 」
セロフィート
「 抑霄囹さんが “ 殺害した ” と思い込んでいた眞小呂さんは、本物の眞小呂さんではないです 」
マオ
「 はぁ?
どゆことだよ!? 」
セロフィート
「 本物の眞小呂さんは──、本物の幻夢さんと共に獅聖家を出て、人里離れた屋敷で平穏に暮らしてました 」
マオ
「 えっ?!
養子に出されたんじゃなくてか!? 」
セロフィート
「 それは幻夢さんが仕組んだ事です。
幻夢さんが人里離れた安全な屋敷へ引っ越したのは、眞小呂さんの為でした 」
マオ
「 眞小呂の為?? 」
セロフィート
「 眞小呂さんは引っ越し先の屋敷で平穏無事に暮らし、天寿を全うした後、幻夢さんに看取られ、魂は輪廻の流れへ還りました。
眞小呂さんの魂を見送った幻夢さんは、闇呪術の反魂の呪法を使い、用意した器に魂の欠片を憑依させ、複製呪靈を作りました。
幻夢さんが生み出した複製呪靈達が、呪靈達を生み出していました 」
マオ
「 …………じゃあさ、シュンシュンが相手にしてた──シュンシュンが酷い目に遭わせてた眞小呂と獅聖幻夢は何だったんだよ? 」
セロフィート
「 幻夢さんが試験的に初めて作った複製呪靈です。
生きている人間を器に使った複製呪靈ですから、成長しますし、老化もします。
酷い目に遭わされても本物の眞小呂さんも幻夢さんは被害を受けません 」
マオ
「 ……………………じゃあ、シュンシュンはずっと本物の獅聖幻夢が作った試験的な眞小呂の複製呪靈に欲情してたし、ハッスルして喜んでた訳かよ………… 」
とんだカオス展開だ──。
シュンシュンは騙されて踊らされていたピエロだった訳かよ……。
マオ
「 因みにシュンシュンは、その事を── 」
セロフィート
「 知ってしまいました。
霄囹さんは≪ ダンジョン ≫に入ったきり出てきません。
困った霄囹さんです 」
マオ
「 結界が解除されてからシュンシュンの姿を見ないと思ったら、オレの≪ ダンジョン ≫に潜ってるのかよ。
シュンシュン…… 」
セロフィート
「 マオ、心配しなくて良いです。
霄囹さんにも気持ちを整理する為の時間は必要です。
出て来る迄、そっとしといてあげましょう。
待つのも大人の優しさです 」
マオ
「 う、うん……。
そだな……。
シュンシュンだし、放っといても大丈夫だよな? 」
セロフィート
「 はい♪ 」
セロは満面の笑顔で微笑んでくれる。
妙に御機嫌だし、嬉しそうだな~~。
それにしても獅聖幻夢か。
確かに玄武さんに似ている。
髪の長い陰陽師って似て見えるもんなんだな~~。
シュンシュンも大人の姿になって、髪を伸ばしたら似てるかも知れないな。
弓弦さんも髪が長いから、陰陽師の格好をしてもらって横に立ってもらったら、そっくりかも知れないぞ!
陰陽師4人衆なんちゃって!
見てみたいな(////)
そんな事は置いといて──、オレの御世話係りをしてくれているマオキノが何故か獅聖幻夢と囲碁を打っている。
マオキノは白石で獅聖幻夢は黒石だ。
何でマオキノと獅聖幻夢が囲碁を打っているのかというと──、実はオレにも分からない。
マオ
「 セロ、これってどっちが優勢なんだ? 」
因みにセノコンは碁盤の棋譜を記録している。
セロはというと、マオキノと獅聖幻夢の対局に見向きもせず、セノコンが記入し終えた棋譜を見ている。
セロフィート
「 優勢なのはマオキノですけど、劣勢に変わります 」
マオ
「 えっ?
優勢なマオキノが劣勢になる??
どゆことだよ? 」
セロフィート
「 勝負は決着が付く迄分からないものです。
セノコンもマオキノも強いですけど、上には上が居ます 」
マオ
「 マオキノやセノコンより強いのはセロだけだろ? 」
セロフィート
「 マオ、決め付けてはいけません。
セノコンもマオキノも日々成長してます 」
マオ
「 これ以上マオキノとセノコンに強くなられたら困るんだけどな~~ 」
セロフィート
「 ワタシは嬉しいです。
刺激を与え、成長を促してくれる存在は大歓迎です 」
セロ、変わったな~~。
何か嬉しいな(////)
マオ
「 でもさ、何で獅聖幻夢が此処で囲碁をしてるんだよ? 」
セロフィート
「 事務所で暮らしてますし。
所長の霄囹さんが不在でも事務所は〈 器人形 〉が切り盛りしてますから問題ないです。
事務所の1室を幻夢さん用の部屋に変えました。
幻夢さんが現在も使っている拠点と事務所の部屋を魔法陣で繋げてます。
裏野ハイツとも事務所の部屋も魔法陣で繋げてます。
好きな時、自由に往来を出来る様にしてます。
幻夢さんが事務所に住み込んで暮らす事は、玄武さん,弓弦さんも承諾済です 」
マオ
「 自由に往来が出来るのを利用して、囲碁を打ちに来てるって事かよ? 」
セロフィート
「 はい♪
幻夢さんが事務所を空けている時は、幻夢さんの複製呪靈の御2人が、玄武さん,弓弦さんと共に依頼を受けてくれてます 」
マオ
「 セロ…………、数日前には敵だった相手を完全に丸め込んでるな。
でも何で敵だった相手が協力的になってるんだ? 」
セロフィート
「 幻夢さんとは囲碁を通じて “ お友達 ” になりました。
勝負に白黒を付けたい時は、囲碁で親睦を深めるに限ります 」
マオ
「 そ、そうなんだ……。
セロは囲碁勝負で獅聖幻夢を完膚無き迄に負かした訳だな? 」
セロフィート
「 マオ、酷いです。
ワタシは囲碁で幻夢さんと親睦を深めただけです 」
マオ
「 う、うん……。
そだな………… 」
絶対に親睦なんか深めてないと思う。
セロだからな!
どうせ、セロの事だから無理難題な条件を出して、強制的に囲碁勝負を持ち掛けたんじゃないか──って思う。
どんな勝負も無敗勝者のセロに勝てる訳が無いんだからな!
謂わば、どんな勝負もセロが絶対に勝つデキレースって事だ。
それを知らないでセロと囲碁勝負をした獅聖幻夢は “ 不運 ” だったと言わざるを得ない。
南無ぅ~~~~だ!
だけど、セロが結界を解除した後からは、呪靈が異形,怪異,霊的存在を襲う事は無くなったみたいだ。
異形,怪異,霊的存在が関与して人間が襲われる事件が起こるのは相変わらずだけど、呪靈が起こしている話しは聞かない。
全国に在る刑務所内で生活していた受刑者達が原因不明の病で全員死亡した不可解な事件は、お茶の間を賑わせているし、オカルト雑誌を潤わせる原因になっている。
全国に散らばっている犯罪者達も原因不明の病を発症した姿で野垂れ死んでいる。
5日間の間に全国各地で次々に犯罪者達の死体が発見されている。
どんな病なのか病名は不明だけど──、発見されている死体の状態は、痩せ細っていて骨と皮だけの状態で、酷い吐血をした後があって、髪も抜け落ちていて、全身に大きさがマチマチの緑色の斑点が浮き出ているらしい。
手足の爪は真っ黒に変色していて、剥がれてボロボロになっていてるみたいだ。
男性は睾丸が腐っていて、女性は子宮と卵巣が腐っているそうだ。
モザイクをしないといけないレベルの酷い死体なんじゃないかと思う。
絶対に人間の仕業じゃないし、新種のウィルスの仕業でもないと思う。
オレには分かる。
犯人はセロだって、確信してる!!
多くの受刑者が死んでも、多くの犯罪者が死んでも、犯罪が無くならないのが、米●町だ。
新しい犯罪者も湯水が湧く様に次々に現れて来る。
それが犯罪天国の米●町だ。
今更だけど、とんでもない町だよな、米●町って!!
◎ セロフィートと獅聖幻夢(複製呪靈)の囲碁勝負も決着が付いた結末も力尽きて断念しました。
なので、後日談的な感じにして締める事にしました。
◎ 訂正しました。
実父 ─→ 父親
反魂術 ─→ 反魂の呪法