⭕ プロになる為に 2
──*──*──*── 休憩所
休憩所では採用試験を受ける院生以外の外来選手達,院生達が食事を取る場所だ。
外来予選を勝ち抜き、プロ試験合同予選を勝ち抜き、プロ試験本戦に勝ち残った猛者達が集まっている。
その一角には、長身で白髪の美成年,低身で黒が髪の可愛い青年,黒髪の二卵性双生児がテーブルを囲み、重箱の弁当を食べている。
重箱の中身は可愛いキャラクターや和,洋,中の料理が美しく詰め込まれている。
重箱の弁当の具は全てマオキノの手作りだ。
マオ
「 11月も後3週間か。
毎週日曜日になる度に此処まで通うのも3回なんだな。
6勝したらプロ棋士になれるの? 」
厳蒔玄武
「 そうだな。
晴れてプロ棋士の仲間入りを果たす事になるな 」
セロフィート
「 ふふふ。
世間の話題になります。
10歳のプロ棋士が2名も誕生しますから 」
厳蒔弓弦
「 世間では小学校に通っている事になっているが、記者が小学校に来たらどうするんだ? 」
セロフィート
「 その心配はないです。
10歳の玄武さん,弓弦さんに似せた〈 器人形 〉に4月から通わせてます 」
マオ
「 えっ?!
何だよ、それ!
オレ、初耳だよ! 」
セロフィート
「 はて?
話してませんでした? 」
マオ
「 初耳だって! 」
セロフィート
「 幼稚園 ~ 大学院までエスカレーター式に通えるマンモス校に通わせてます。
大学院を卒業した後は、学士,修士,博士,研究員,准教授,教授にもなれます。
高級リムジンで登下校させてますから、記者に捕まる事もないです 」
マオ
「 じゃあ、玄武さん,弓弦さんは、表向きは小学4年生として私立に通ってる金持ちのボンボンって事になってるんだな 」
セロフィート
「 そうです 」
厳蒔玄武
「 学校へ通っている間は大人の姿で自由に過ごせるのは有り難い 」
厳蒔弓弦
「 プロになると県外の対局が増えようだ。
大人の姿であれば観光を楽しめる 」
マオ
「 プロ棋士になったら何をするんだ?
県外に対局しに行くだけ? 」
セロフィート
「 囲碁の研究をしたり、囲碁教室で先生をして指導をしたり、TVで対局の解説をしたり、イベント出演をしたり、対局をしたりするそうです。
有名な棋戦は三大タイトル戦ですね。
棋聖戦,名人戦,本因坊戦…等に出て対局料を稼ぎます 」
マオ
「 へぇ……。
結果ハードそうだな~~ 」
セロフィート
「 国内では7大棋戦が行われます。
先程の三大タイトル戦に王座戦,天元戦,碁聖戦,十段戦が加わります。
様々な企業が開催する大会にも出場が出来ます 」
厳蒔玄武
「 セロは詳しいのだな 」
セロフィート
「 ふふふ…。
パンフレットに書かれている記事を暗記しただけです 」
厳蒔弓弦
「 三大タイトル戦,7大棋戦,様々な大会に出れば、より多くの棋士と対局が出来るのか。
プロ棋士になるのが楽しみだ 」
セロフィート
「 囲碁教室の先生として生徒に指導碁をしたいなら、玄武さん専用の碁会所,弓弦さん専用の碁会所用意します。
必要な時はワタシに教えてください 」
マオ
「 小学生にはTVの囲碁解説やイベント出演は難しそうだな? 」
セロフィート
「 金銭的に余裕があるなら態々受ける必要はないです。
棋戦を優先して稼ぐと良いです 」
マオ
「 プロ棋士になったら、顔を会わせる機会も減っちゃいそうだな~~ 」
セロフィート
「 プロ棋士とはそういうものです。
マオにはワタシが居るでしょう 」
マオ
「 そうだけど…… 」
厳蒔玄武
「 他県に行った時はマオへ土産を買おう。
自宅へ送るから食べてくれ 」
厳蒔弓弦
「 そうだな。
ご当地商品を探したり、買ったりすれのは楽しいだろうな 」
マオ
「 じゃあ、ご当地商品を期待して待ってるよ! 」
セロフィート
「 そろそろ休憩時間が終わりますね。
玄武さん,弓弦さん午後の試験も白星を勝ち取ってください 」
厳蒔玄武
「 うむ、そのつもりだ 」
厳蒔弓弦
「 ──玄武、試験会場へ行こう 」
マオ
「 行ってらっしゃい! 」
厳蒔玄武と厳蒔弓弦は、セロフィートとマオに見送られながら休憩所を出た。