✒ 呪霊退治 11
──*──*──*── 厳蒔弓弦side
キノコンB:本体
「 弓弦様、此方に人型の特級呪靈が近付いて来ますエリ! 」
キノコンB:分身体
「 陰陽師の格好をしてますエリ!
一杯ゾロゾロと引き連れてますエリ! 」
キノコンB:分身体
「 弓弦様──、あの特級呪靈、玄武様に似てますエリ 」
弓弦
「 特級呪靈が玄武に似ている?
どういう事だ?
何故、特級呪靈が陰陽師の格好をしているんだ?? 」
キノコンB:本体
「 分かりませんエリ。
向かって来る特級呪靈から悪意も敵意も殺意も感じられませんエリ 」
弓弦
「 悪意,敵意,殺意を感じない??
( ──髪の長い陰陽師は大体が似て見えるモノなのだな… )
戦う意志が無いと言うのか?
敵対する気の無い相手に矢先を向ける訳にはいかないな。
キノコン、攻撃を中断してくれるか? 」
キノコンB:本体
「 畏まりましたエリ。
皆~~、弓弦様が玄武様似の特級呪靈と対話をさるエリ。
一旦、釘バットを仕舞うエリ! 」
キノコンB:分身体
「「「「「 エリ!! 」」」」
キノコンB:分身体
「「「「「 エリ!! 」」」」
分身体のキノコン達は両手に持っていた釘バットを笠の中へ素早く入れる。
反発も無く素直に従ってくれるキノコン達に対して、弓弦の心は妙にザワついた。
丸腰になったキノコンは盾の如く、バリケードの様に弓弦の前に立ちはだかり衛る。
弓弦
「 キノコン、あれは本当に特級呪靈なのか?? 」
キノコンB:本体
「 はいですエリ。
セロフィート様から頂いた呪靈レーダーにビンビン反応してますエリ!
あれは間違いなく呪靈ですエリ 」
弓弦
「 呪靈レーダー??
セロは何でも用意しているんだな 」
特級呪靈:赫髪
「 ふむ──、異形でもなく怪異でもない不思議な生物が居ますね 」
弓弦の前に立ちはだかり、バリケードとなっているキノコン達を見詰めながら、陰陽師の姿をした特級呪靈が呟く。
茸の姿をした不思議な生物──に興味津々の様だ。
弓弦
「( 不思議な生物か──。
この特級呪靈は怪物を知らないのかも知れないな。
キノコンは茸の姿をした生物ではなく怪物だからな── )」
特級呪靈:赫髪
「 貴殿は人間──では無さそうですね。
………………妙に懐かしさを感じます 」
弓弦
「 …………………………懐かしい??
私は呪靈の知り合いは居ないのだが? 」
特級呪靈:赫髪
「 ふふふ……そうでしょうね。
私も人間の振りをしている異形の知り合いは居ません。
ですが──、貴殿を見ていると懐かしさが込み上げで来るのです 」
弓弦
「 …………………… 」
特級呪靈:赫髪
「 武器を収めてくださり、感謝します。
私は嘗て陰陽師だった獅聖幻夢です。
今は呪靈と姿を変え、生き長らえています 」
弓弦
「 獅聖幻夢…………聞いた事がある。
陰陽師だった眞小呂の兄だったか── 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 私を御存知でしたか。
故郷と異なる他国で弟と私を知る人に出逢えるとは──。
貴殿とは並々ならぬ縁を感じてしまいますね 」
弓弦
「 ………………貴方は何故、呪靈を使い、この国から平穏を奪おうとするのか? 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 平穏を奪う??
私は呪靈に何も命じてはいません。
呪靈には意思があります。
各々で思う節が有るのでしょう 」
弓弦
「 それは── “ 放置している ” という事か? 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 私は呪靈達の自主性に任せているだけです 」
弓弦
「 自主性か。
物は言い様だな。
( 何故かセロと重なって見えるな…… )」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 貴殿は弓使いなのですね。
弟も私も弓道を嗜んでいました。
1つ、私と勝負してみませんか? 」
弓弦
「 此処でか? 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 はい、此処で。
離れた場所に立てた扇子を射るのです。
この扇子は普通の扇子より小さく、弓道の的に使える仕様となっています。
貴殿の腕前を拝見したいのです 」
弓弦
「 ……………………然し……今はそんな事をしている場合では── 」
キノコンB:本体
「 弓弦様、準備しますエリ。
御待ちくださいませエリ。
キノコンが責任を持って勝負の邪魔はさせはしませんエリ! 」
キノコンの分身体は獅聖幻夢から2枚の小さな扇子を受け取ると離れた場所に扇子を設置する。
扇子を安定させる長い棒はキノコンが笠の中なから出した物だ。
弓弦
「( キノコンの笠の中はどうなっているんだ??
摩訶不思議だな…… )」
キノコンB:本体
「 弓弦様、準備完了しましたエリ! 」
弓弦
「 随分と早い。
流石キノコンだな 」
キノコンB:本体
「 お前は弓を持ってるエリ?
無ければ貸すエリ 」
弓弦
「 キ、キノコン──?! 」
特級呪靈である獅聖幻夢に対して “ お前 ” 呼ばわりしたキノコンに弓弦の肝が冷える。
特級呪靈:獅聖幻夢
「 御心遣い感謝します。
私は持参している弓矢を使います 」
キノコンの失礼極まりない “ お前 ” 発言に対して、獅聖幻夢は腹を立てず,怒りもせずに笑顔で答えると、後ろに控えている呪靈から弓矢を受け取る。
特級呪靈:獅聖幻夢
「 それでは勝負を始めましょう 」
弓弦
「 分かった。
交互に射るのか? 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 構えるのは同時に。
射り時は自分で判断しましょう 」
弓弦
「 分かった 」
弓弦と獅聖幻夢は弓矢を同時に構える。
弓弦は扇子を見据えて弓矢を引く。
的の中心を射ぬく為に集中していると、獅聖幻夢が先に矢を射った。
弓弦は矢を射る姿を美しいと思う。
獅聖幻夢が射った矢は、小さな扇子の中心を見事に射ぬいていた。
キノコン達が拍手喝采する。
続いて弓弦も矢を射った。
弓弦を射る年月が長い弓弦も扇子の真ん中に見事に命中させた。
キノコン達が拍手喝采する。
キノコンB:本体
「 お見事ですエリ。
どちらも大した腕前ですエリ 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 あの扇子の中心を射ぬける者は中々居ないのです。
貴殿の腕前は師範級ですね。
弟子は取らないのですか? 」
獅聖幻夢は弓弦の見事な腕前を見て嬉しそうだ。
弓弦
「 弟子か…………。
私は教えるのが苦手の様でな…。
弓矢を射るのも自我流なんだ。
弟子を取る気は無いな… 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 そうですか…。
それだけの腕が有るのに残念ですね…。
自我流であの命中率は素晴らしいです。
実に勿体無い…… 」
弓弦
「 命中率だけだ(////)
私は正しい作法も所作も知らない。
貴方の所作は洗練されているし、無駄な動きも無く美しいと思う。
………………初めて見た筈なのに、初めて見た気がしない……。
貴方の所作を見たら、生涯忘れないと思うのだが── 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 貴殿は嬉しい事を言ってくれますね。
はやり対話は大事ですね。
貴殿は陰陽師──でも無さそうですね。
何をされているのでしょうか? 」
弓弦
「 私は故郷で退魔師をしていた。
この≪ 島国 ≫ではプロ棋士として囲碁を打っていた。
現在は再び退魔師として活動をしている。
この≪ 島国 ≫にも異形,怪異,霊的存在が実在しているからな。
仕事には困らない 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 そうなのですね。
貴殿は退魔師でしたか。
退魔師でも囲碁を嗜むのですね。
私の生前では、囲碁は貴族や陰陽師が嗜むモノでしたが、時代は変わったのですね 」
弓弦
「 囲碁は覚えれれば平民でも気兼ね無く打てる。
この≪ 島国 ≫では子供も幼い頃から囲碁に接している。
子供棋士も誕生する程に囲碁のレベルは高まっているんだ 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 ほほぅ──、子供棋士ですか。
大したモノです。
陰陽師だった事もあり私も囲碁を嗜みます。
是非とも貴殿と囲碁勝負もしてみたいものです 」
弓弦
「 私では貴方の相手にはなれないかも知れないな 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 未だ打ってもいないのに決め付けるのですか? 」
弓弦
「 私は未々弱い方だからな。
玄武に1度も勝てた事がないんだ。
その玄武もキノコンには敵わないし、キノコンはセロに勝てない。
囲碁で1番の強者はセロだ 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 ほほぅ──、セロですか?
その御人はそれほど強いのですか? 」
弓弦
「 あぁ、誰にもセロには勝てない。
セロの棋譜を見れば、セロの凄さが分かる。
この結界を張ったのもセロだ。
セロは大抵の事ならば何でも出来てしまうんだ 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 成る程──、この結界を張った者ですか。
呪詛師が生み出した呪靈達をこの結界内へ転移させた者は、この結界内には居るのですか? 」
弓弦
「 それもセロがした事だ 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 転移陣を使えるとは──。
その御人は陰陽師なのですか? 」
弓弦
「 陰陽師ではないな。
≪ 大陸 ≫から≪ 大陸 ≫を渡り、旅している吟遊詩人だ。
私が故郷に帰省している道中で出逢ってな、それからの付き合いだ。
この≪ 島国 ≫に来たのもセロに誘われたからだ── 」
キノコンB:本体
「 弓弦様、大事な事を忘れてますエリ!
-100点ですエリ!
セロフィート様は “ 吟遊大詩人 ” ですエリ!
“ 大 ” を忘れないでくださいませエリ! 」
弓弦
「 す…すまない、キノコン!
セロは吟遊詩人ではなくて、吟遊大詩人だ 」
キノコンB:本体
「 弓弦様、バッチリですエリ。
今回はおまけして+-0にしときますエリ★ 」
弓弦
「 有り難う、キノコン…… 」
特級呪靈:獅聖幻夢
「 吟遊大詩人……ですか?
異国の人ならば聞いた事が無いのも当然ですね 」
キノコンB:本体
「 ボク達、キノコンはセロフィート様に生み出されたエリ。
セロフィート様はキノコンの創造主様ですエリ!
動かなくなった呪靈を〈 テフ 〉へ変換しているのもセロフィート様の能力
セロフィート様に牙を剥いたら、お前達も其
コレは脅
セロフィート様の忠誠を誓い、忠義を尽くすエリ!! 」
弓弦
「 キノコン!?
突然何
キノコンB:本体
「 選択肢を与えているエリ。
セロフィート様の敵として立ちはだかるか──、セロフィート様に命
弓弦
「 キノコン?!
言葉遣
キノコンB:本体
「 弓
セロフィート様に敵
弱
この特級呪
弓弦
「 キノコン!!
言葉が過ぎないか?
相手に喧嘩を打って、どうするんだ?! 」
キノコンB:本体
「 弓
どうもしませんエリ。
セロフィート様が〈 テ
皆
セロフィート様にはそ
特級呪靈:獅聖幻夢
「 ………………………………一旦、持ち帰り話し合いをしたいと思います。
私の一存では決めれませんので。
今はこ
キノコンB:本体
「 お前の主
それなら── 」
?
「 キノコン、そのくらいにしときなさい 」
キノコンB:本体
「 エリ!?
セ…セロフィート様ぁ!! 」
弓弦
「 セロ?!
マオと一緒に居
セロフィート
「 弓
キノコン、弓
彼とはワタシが話をしましょう 」
キノコンB:本体
「 畏
直
キノコンの本体と分身体
厳
──*──*──*── セロフィートside
自
キノコン達からの報告を聞きながらだ。
玄
セロフィート
「( ふぅん?
玄
玄
やれやれ…………ゆっくり読書もさせてくれないみたいだねぇ。
全
折角だし、挨拶ぐらいはしてあげようかな )」
セロフィートは手に持っていた本を魔法
セロフィートの足下に魔法
魔法