表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/424

⭕ プロになる為に 1


──*──*──*── 11月


──*──*──*── 日曜日


──*──*──*── 冬季棋士採用試験会場


 パチン──、パチン──、パチン──、パチン──。

 盤上に碁石が打たれる音が響く。


 8月上旬 ~ 11月下旬まで行われる冬季棋士採用試験に10歳の子供の姿でせいげんげんじのづるも参加していた。

 せいげんげんじのづるは双子の二卵性双生児の兄弟として生活している為、せいげんは “ げんじのげん ” と名乗っていた。


 冬季棋士採用試験は毎週末、プロ棋士と対局をする事が決まっている。

 げんじのげんげんじのづるは、プロ棋士も絶句するほどに負け無しの白星を上げていた。


プロ棋士

「 ………………ありません… 」


厳蒔玄武

「 ──がとう御座いました 」


プロ棋士

「 …………きみほんとうに囲碁が強いんだね。

  まさか、採用試験でプロ棋士が指導碁を打たれるなんて……。

  いやはや……自分の目を疑ってしまうよ… 」


厳蒔玄武

「 …………これでも兄さんにはかないません。

  僕は指導碁を打たれる側なので… 」


プロ棋士

「 こんなに強いのに指導碁を打たれるのかい?

  きみのお兄さんも囲碁のプロ棋士を── 」


厳蒔玄武

「 いえ、兄さんは《 セロッタ商会 》の跡取りなので、囲碁は趣味です。

  今は他県で本屋を経営しています 」


プロ棋士

「 そう、なのか…… 」


厳蒔玄武

「 僕が指導碁を打ってしまうのは、指導碁しか打ってくれない兄さんの所為かも知れません… 」


プロ棋士

「 成る程ね。

  きみおとうとくんの強さの秘密は指導碁しか打たないお兄さんか… 」


厳蒔玄武

「 はい…。

  1番上の兄さんは、5人中1番強いです。

  2番目と3番目の兄さんも囲碁をたしなみます。

  2番目の兄さんは、5人中1番弱いです。

  3番目の兄さんは陰陽師アイドルをしていて多忙なので、囲碁どころではないです 」


プロ棋士

「 えっ!?

  きみのお兄さん、陰陽師アイドルなのかい?

  もしかして──、しゅんしょうしょうれいかい?? 」


厳蒔玄武

しゅんしょうしょうれいは陰陽師アイドルをしているときの芸名です。

  本名はげんじのしょうれいです 」


プロ棋士

「 へぇ~~。

  陰陽師アイドルの身内と打てたなんて、仲間に自慢が出来るよ!

  惨敗したけどね。

  きみは午後の試合が残っているね。

  午後の採用試験も白星を期待しているよ 」


厳蒔玄武

がとう御座います。

 ( ふぅ……。

   だいぶん、標準語にも慣れてたな。

   づるの試合は終わったか? )」


 げんじのげんは盤上の碁石をへ入れて片付けると席を立つ。

 づるが対局している席を探していると、ひとだかりが出来ていた。


厳蒔玄武

「( なんだ?

   あんな後ろでひとだかりだと? )」


 げんじのげんひとだかりの出来ている場所へ向かって歩く。

 ひとみを掻き分けて前に出ると──、試験会場にるセロフィートがプロ棋士と対局をしていた。


厳蒔玄武

「 ──セロ!

  じゃなくて──、セロ兄さん! 」


セロフィート

「 ──げん

  久し振りです 」 


厳蒔玄武

、セロ兄さんが試験会場に? 」


セロフィート

「 可愛い弟達がプロ棋士になる為に採用試験を受けると言うので、どんな場所か見学にました 」


厳蒔玄武

「 …………、プロ棋士と対局を? 」


セロフィート

げんづるの兄だと話したら一局、誘われました 」


厳蒔玄武

「 対局の結果は? 」


セロフィート

「 ワタシの勝ちです。

  ごころを加えた方がかったようです。

  勝負碁ではぐ決着が付いてしまいます 」


厳蒔玄武

ごころとは……ハンデか? 」


セロフィート

「 そうですね。

  彼ならば、40ていの置き碁をするべきでした。

  それでもワタシが勝ちますけど 」


厳蒔玄武

たしかに随分と早過ぎる決着だな… 」


 げんじのげんは盤上に並んでいる碁石を見て溜め息をいた。

 どうやらプロ棋士はセロフィートに秒殺されてしまったようだ。

 プロ棋士の顔色は真っ青になっている。


セロフィート

「 指導碁を断られての勝負碁ですから仕方無いですね。

  づるは対局中です? 」


厳蒔玄武

「 あぁ……多分な。

  マオ……兄さんは一緒じゃないのか? 」


セロフィート

てますよ。

  売店でお菓子を見てます 」


厳蒔玄武

「 マオ兄さんらしいな… 」


セロフィート

げんは午前の試験は済みました? 」


厳蒔玄武

「 あぁ。

  順調に白星を増やしている 」


セロフィート

「 流石、ワタシの弟です。

  午後の試験まで時間があるでしょう?

  お弁当を持ってたので一緒に食べましょう 」


厳蒔玄武

「 分かった 」


 げんじのげんがセロフィートと話していると、プロ棋士と対局を済ませたげんじのづるが近寄ってた。


厳蒔弓弦

「 セロ兄さんか。

  誰かと思った 」


セロフィート

づる、試験はどうです? 」


厳蒔弓弦

「 順調に白星を増やしている。

  さっきの対局も勝った 」


セロフィート

「 午後の試験も勝てそうです? 」


厳蒔弓弦

「 あぁ、余裕だ。

  マオ兄さんでも勝てる相手ばかりだからな。

  負ける気がしない 」


セロフィート

「 それは頼もしいですね。

  午前の採用試験が済んだなら、ちゅうしょくにしましょう 」


厳蒔玄武

「 弁当を持っててくれたようだ 」


厳蒔弓弦

「 それは助かる。

  売店で買う手間が省けた 」


セロフィート

「 売店にるマオをつかまえて休憩所へ行きましょう 」

◎ 訂正しました。

  40石程度 ─→ 40子程度

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ