⭕ 呪霊退治 1
──*──*──*── 5日後
──*──*──*── 裏路地
マオ
「 ──シュンシュン、そっちに行ったぞ! 」
霄囹
「 任せろ!
龕鷲──、来い!! 」
シュンシュンが御札を依り代に使って、使役している式神を召喚する。
出現した式神は龍なのか鷲なのか分からない姿をしている。
オレの故郷風に言えば、合成獣って所かな。
シュンシュンが召喚した合成獣──じゃなくて式神は、化物を容赦なく攻撃してコテンパンに叩きのめしている。
まるでシュンシュンに対する溜まりに溜まった怨恨を思う存分にぶつけているかの様にすら見える。
式神から放たれてる殺気が半端ない気がする……。
マオ
「 シュンシュン、あの式神だけどさ──、めちゃくちゃ殺気立ってるじゃんか。
使役する時、何したんだ?
あの化物、完全に修復の出来ないボロ雑巾状態だよ…… 」
霄囹
「 覚えてる訳ないだろ。
何千年も前の事だぞ。
使役してる式神の数だって忘れたのに使役した時の事なんか覚えてるかよ。
根深い奴だ、全く…… 」
マオ
「 …………相当酷い方法で使役したんだな… 」
霄囹
「 若気の至りってヤツだ★ 」
マオ
「 …………………。
それより、あの化物は何なんだろうな?
怪物ではないし、異形の類いでもなければ、怪異の類いでもないだろ。
気味が悪いよ 」
霄囹
「 僕もあんなのは初めて見た。
長生きはするもんだな!
捕獲してセロフィートに調べてもらおう。
彼奴、ヤバい実験とか解剖とかするの好きだろ 」
?
「 霄囹ちゃま、-1000点ですエリ 」
霄囹
「 キノコン!
今のは言葉の綾だ!
──っていうか-1000点って多過ぎるだろ?! 」
キノコン
「 キノコン達の創造主様に対して●イ●発言は禁句ですエリ。
-10000点でも少ないですエリ 」
霄囹
「 キノコン、しれっと9000点も増やすなよ! 」
キノコン
「 増やしてませんエリ。
霄囹ちゃまの気の所為ですエリ 」
霄囹
「 そんな訳あるかよ! 」
マオ
「 シュンシュン、そろそろ式神を戻さないと化物の捕獲が出来なくなるんじゃないか? 」
霄囹
「 そうだったな。
もういい──、戻れ龕鷲! 」
シュンシュンが術を解くと式神の姿が消える。
式神の依り代に使っていた御札がヒラッ──とシュンシュンの手の中へ戻って来た。
マオ
「 キノコン、あの化物を捕獲してくれ 」
キノコン
「 はいですエリ。
めちゃんこ虫の息のですエリ 」
キノコンは頭の笠に手を近付ける仕草をする。
肉眼では見えない程の素早さで手を動かしたキノコンの手には透明な球体が有った。
どうやら笠の中には色んな物が入っているみたいだ。
キノコンの生態は未だに解明の出来ないミステリーの宝庫だ。
キノコンは手に持っている透明な球体を瀕死状態の化物へ向かって投げる。
透明な球体は化物を入れるとキノコンの手に戻った。
キノコン
「 捕獲完了ですエリ 」
透明な球体の中には今にも息絶え絶えな化物が入っている。
マオ
「 弱らせないと吸い込めないのが不便だよな。
だけどさ、何で某アニメで使われてるボール型なんだよ? 」
霄囹
「 良いじゃないか。
小さくなるし、ガチャ機に入れて遊べるだろ 」
マオ
「 オレは遊ばないからな!
シュンシュン、この化物は使役しないのか? 」
霄囹
「 駄目な。
何度も試してはみたが、コイツ等を使役する事は出来ないんだ。
式隷にも出来ない。
やはり、異形,怪異とは違う存在みたいだな 」
マオ
「 セロの玩具確定か。
コイツ等、人間だけじゃなくて異形や怪異まで襲って喰らうんだろ?
流石に放っとけないよな… 」
霄囹
「 依頼者が死神ってのが厄介だ。
セロフィートめ、厄介な依頼者を寄越しやがって!
僕が暇人じゃないって事は知ってるくせに! 」
キノコン
「 霄囹ちゃま、セロフィート様への暴言として-1000点しますエリ 」
霄囹
「 キノコン!
今のは暴言じゃないぞ!
厳しくないか? 」
キノコン
「 キノコンは何時でも何処でも公平で正当に査定しますエリ。
霄囹ちゃまの気の所為ですエリ 」
霄囹
「 とても公平な査定じゃない気がするんだが…… 」
マオ
「 キノコン達にとってセロは、創造主で絶対主として崇めてる信者だぞ。
評価が厳しいのは仕方無いって。
諦める勇気を持とう 」
霄囹
「 他人事みたいに言うなよ、マオ! 」
マオ
「 キノコンがセロに対して贔屓目なのは仕方無いんだって。
オレ達は諦めて素直に受け入れるしかないんだ 」
霄囹
「 セロフィートめぇ~~~~ 」
マオ
「 良いじゃないか。
陰陽師アイドルの方はシュンシュンに瓜二つの容姿をした〈 器人形 〉が活動してくれてるし、動画配信だってシュンシュンに瓜二つの容姿をした〈 器人形 〉がキノコンと一緒に活動してくれてるじゃんか。
シュンシュンは本職の陰陽師活動に集中が出来てるだろ 」
霄囹
「 だったら初めから僕と瓜二つの容姿をした〈 器人形 〉に活動させれば良かったじゃないかよ!!
イベント,カレンダー,ポスター,写真集,週刊誌や雑誌のインタビュー,TVオファー,ドラマ撮影,CM撮影,ゲームソフトの宣伝だって、今みたいに〈 器人形 〉にさせてれば良かっただろ!! 」
「 セロにも考えが有ったんだよ。
オレ達には分からない考えがさ 」
霄囹
「 そうかよ。
それにしても、キノコン!
何でコイツ等は喰べないんだ? 」
キノコン
「 セロフィート様から『 得体の知れないモノは味見してはいけません 』と、お達しが出てますエリ 」
霄囹
「 お達しって……。
美味そうだとは思わないのかよ? 」
キノコン
「 見た目が不味そうですエリ。
きっと味もゲロ不味ですエリ。
美味しい霄囹ちゃまが居ますエリ。
キノコンはマオ様みたいに浮気しないエリ♥️ 」
マオ
「 浮気ぃっ!?
オレが何時浮気したんだよ!
オレは毎日セロに一途だし、セロ一筋だからな!! 」
キノコン
「 そういう事にしときますエリ。
キノコンはマオ様の守秘義務を守りますエリ! 」
キノコンはキリッとさせた顔でビッシッと敬礼のポーズをしてくれるけど、全く以ても信用が出来ない。
キノコンは口が軽いからな~~。
賄賂を渡して買収しても無駄だって事は既に検証済みだから、オレはキノコンの言葉は信じない事にしている。
霄囹
「 どうでも良いけど、僕を見て涎を垂らすのを止めろぉ!!
僕を “ 餌 ” として見るな! 」
キノコン
「 霄囹ちゃまを “ 餌 ” として見てませんエリ!
“ 至高の御馳走 ” として見てますエリ♥️ 」
霄囹
「 言い方を変えただけで同じだろが!! 」
マオ
「 シュンシュン、一々カッカッするなよ。
弓弦さんと玄武さんから連絡が来てるよ 」
オレは持っていたスマホのLINE画面をシュンシュンに見せる。
霄囹
「 ──本当だな。
一旦、事務所へ戻って合流しよう。
キノコン、返信しといてくれ 」
キノコン
「 お任せですエリ 」
オレからスマホを受け取ったキノコンは、慣れた手付きで返信をしてくれる。
マジで器用過ぎて助かる。
霄囹
「 よし、事務所に転移するぞ。
玄武も事務所に転移してる筈だ 」
マオ
「 はぁ…………。
早く裏野ハイツに帰って【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 】の続きをしたいよ。
愿縲さんが頑張って “ 時渡りの妖怪 ” の居場所を突き止めてくれてさ、『 これからだ!! 行くぜ! 』って処だったんだ。
後少しでクリア目前だったってのにぃ~~~~!! 」
霄囹
「 何だよ、未だクリアしてなかったのかよ? 」
マオ
「 仕方無いだろ!
ハードモードなんだからさ! 」
キノコン
「 セロフィート様に見付かったらメモリーカードを〈 テフ 〉へ変換されちゃいますエリ。
失ったデータを復活させれるのはセロフィート様だけですエリ。
また1つ弱味を握られますエリ 」
マオ
「 ……………………そだな。
今回もマオキノが早目に気
霄囹
「 データを消されるだけで済めば良
マオ
「 脅すなよ、シュンシュン! 」
キノコン
「 マオ様,霄
霄囹
「 そうか。
なら僕等
シュンシュンが転移陣を発動してくれる。
気が付けば、事務所の中に戻っていた。
◎ 訂正しました。
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