⭕ 少年陰陽師★平安幻想異聞録 81
で──、何とか妖怪との戦闘を30回終えたら、ステータス画面を出して[ セーブ ]した。
かなり時間が掛かって、オレの心はグロッキーだ。
マオキノ
「 マオ様、中庭へ移動してくださいませエリ 」
マオ
「 中庭?
戻るのかよ…… 」
という訳で、ドット絵の主人公を動かして中庭へ向かった。
途中で妖怪の大群が押し寄せて来た!
まさかの不意討ちを食らってピンチだ!!
その時、勝手に動いて主人公が転移陣を発動させた。
黄色の光で召喚されたのは誰でもない妖魔王だった。
マオ
「 何で主人公は妖魔王を召喚したんだ? 」
マオキノ
「 隠しイベントだからですエリ 」
マオ
「 隠しイベントに妖魔王が関係あるのか? 」
マオキノ
「 進めてみれば分かりますエリ 」
という訳で、オレは隠しイベントを進める事にした。
主人公に召喚された妖魔王は、一瞬で妖怪の大群を消し去った。
強いっ!!
それからも妖怪の大群が次々に襲い掛かって来るけど、主人公の前を歩く妖魔王が悉く瞬殺してくれる。
戦闘しなくても良いから超楽だぁ~~♥️
どんどん先に進めて、「 あっ! 」と言う間に中庭へ到着した。
話が進んでしまう前にステータス画面を出して[ セーブ ]をしとく。
画面が中庭の中央へ移動する。
中庭には人物が3名居た。
1人はどんなに探しても見当たらなかった惠茜さんだ。
残りの2名は見知らぬ相手だな。
「 あれは誰なんだ?
惠茜さんは誰と話してるんだ? 」と主人公の台詞。
「 主、あれは妖狐の総大将の九尾の狐と各妖怪の総大将を束ねる妖怪王の “ ぬらりひょん ” だ 」と妖魔王の台詞。
「 九尾の狐と妖怪王??
妖魔王のお前が総大将を束ねる妖怪王ではないのか? 」と主人公の台詞。
「 ワタシは異形であって怪異の類いではない。
妖怪ではないし、妖狐に似た容姿をしてはいるが、厳密には妖狐でもない。
ワタシは “ 亜人種 ” と呼ばれる人獣族の一種だ。
種族は白狐族だな 」と妖魔王の台詞。
マオ
「 ──そ、そう言えば……妖魔王は “ 人獣族 ” って説明を聞いた様な聞いてない様な…………。
亜人種でも式隷に出来るんだな…… 」
マオキノ
「 ゲームですエリ。
可能ですエリ★ 」
マオ
「 あ、うん……そだな………… 」
「 各妖怪の総大将を束ねる妖怪王ぬらりひょん……。
妖魔王、ぬらりひょんは強いのか? 」と主人公の台詞。
「 強い事は強い。
式隷にしている総大将達の様に真名を奪えば、式隷に出来るだろう。
ぬらりひょんと九尾の狐の真名を奪うか? 」と妖魔王の台詞。
「 先ずは惠茜さんの身を確保したい。
“ 時渡りの妖怪 ” の居場所を探せるのは惠茜さんだけだ。
何が何でも衛らないといけない!
惠茜さんの無事が何より最優先だ! 」と主人公の台詞。
「 主、それは無理だ。
あの占い師は、ぬらりひょんを裏切った。
裏切り者は死して償うものだ 」と妖魔王の台詞。
「 どういう事だ!?
惠茜さんがぬらりひょんを裏切ったって──。
惠茜さんは人間じゃないのか?! 」と主人公の台詞。
「 占い師は人間に姿を変えた怪異だが?
主は見抜けなかった様だな 」と暢気に妖魔王の台詞。
「 惠茜が人間じゃない……。
怪異の類い……。
人間に姿を変えていた妖怪…………。
──関係無い!
惠茜の正体が人間じゃなくても構わない!
今迄、僕達に協力をしてくれていた。
惠茜さんには恩がある!
此処で恩を返せなかったら何時返すって言うんだ!
妖魔王、僕に協力しろ!
ぬらりひょんと九尾の狐を退けて惠茜さんを助ける!! 」と主人公の台詞。
惠茜さんが人間じゃなかった。
酷いカミングアウトだ。
じゃあ、何か?
主人公は人間に姿を変えてた妖怪を相手にパオパオしてた──って事になるじゃないかよ!!
親として愿縲さんを育てて、師匠として愿縲さん鍛えたのは何でだ??
妖怪の惠茜さんが態々人間の姿で人間の子供を手塩に掛けて── なのか、どうかは知らないけど ──面倒を見たのは何でだよ?
愿縲さんは意外な形で明らかになった惠茜さんの正体を知って、何を思うんだろう??
だけど、此処で惠茜さんを助けて生かさないと、“ 時渡りの妖怪 ” の居場所を探せなくなる!!
それは困る!
非常に困る!!
折角、妖魔王が “ 時渡りの妖怪 ” の手掛かりになる羽根をくれたってのに無駄になってしまう!!
何が何でも惠茜さんを無傷で助けないとだ!!
「 主の願いなら叶えよう 」と妖魔王の台詞。
主人公より早く、妖魔王が独断で動く。
惠茜さんの前に立ちはだかった妖魔王は、対峙する九尾の狐とぬらりひょんへ先制攻撃をした。
妖魔王の攻撃に九尾の狐とぬらりひょんが距離を取る。
「 惠茜さん! 」と名前を呼びながら駆け寄る主人公の台詞。
「 …………霄囹殿…………ワタシはもう生きれません……。
どうか…………ワタシの息子を…………彼等から衛ってください…………。
彼等に愿縲を──渡さないで………… 」と意味あり気に惠茜さんの台詞。
「 どうして愿縲さんを?? 」と主人公の台詞。
「 御師様──!! 」と困惑気味の愿縲さんの台詞。
「 …………愿縲…………今迄、黙っていて御免なさい……。
貴方を妖怪ではなく人間として育てた事を許して……。
貴方を陰陽師として育てる事にしたのは…………あの人の希望だったから………… 」と申し訳なさそうに惠茜さんの台詞。
「 御師様?
何を言っているんですか?
私が人間として育てられた妖怪とは──。
御師様は何を知って…… 」と更に困惑気味の愿縲さんの台詞。
いや、本当に困惑するカミングアウトだ。
人間だと思って接していた愿縲さんが「 実は妖怪でした~~ 」ってぇ!!
主人公は人間として育てられた妖怪と何度もパオパオしてた──って事かよ!?
衝撃的ぃ~~~~。
「 愿縲──、貴方の父親は妖怪王ぬらりひょんの息子です。
産んだのはワタシ…………。
貴方は妖怪王ぬらりひょんと九尾の狐の2つの力を受け継いだ妖怪……。
2人に貴方の存在を知られてしまったら……。
どうか隠し通して…………今迄通り人間として生きてほしいの…… 」と弱々しい声で惠茜さんの台詞。
マオ
「 ………………愿縲さんが人間じゃありませんでした。
愿縲さんは妖怪でした。
愿縲さんの父親は妖怪王ぬらりひょんの息子で、母親は九尾の狐の娘です。
妖怪王ぬらりひょんが祖父で、九尾の狐が祖母で、2つの力を受け継いだ妖怪です。
何だよ、この展開は!?
愿縲さんが陰陽師として誰よりも優れていた理由がコレなのか??
別に知りたくはなかったけどぉ! 」
マオキノ
「 隠しイベントですエリ。
本来は簡単に発生しませんエリ 」
マオ
「 そ、そだな……。
隠されたイベントなんだもんな……。
惠茜さんが九尾の狐の娘だったとはな…… 」
主人公は人間に姿を変えていた九尾の狐の娘と何度もパオパオをしていたと──。
複雑な心境なんだけど!!
惠茜さん、身籠ってないよね!?
主人公の子供を妊娠してないよね!?
「 愿縲──貴方には妖怪世界のいざこざに巻き込まれてほしくないの……。
平穏に暮らしてほしいの…………霄囹殿…………どうか息子を衛ってください。
愿縲と幸せな家庭を── 」と惠茜さんの台詞。
惠茜さん……主人公は男なんだけど!!
もしかして主人公が性別反転の術を使える事を知ってるのか?!
色んな相手と子作りしないといけない主人公とは幸せな家庭は築けないと思うんだけどな~~。
愿縲さんは、それで良いのか?!
「 霄囹殿──、妖怪王ぬらりひょんと九尾の狐が現れたのは──、歴戦の総大将達が人間の陰陽師に式隷にされた事を知ったからです。
人間の陰陽師に協力をしたワタシを2人は決して許さないでしょう。
ワタシは2人から逃げる訳にはいきません。
勝てる見込みが無いと分かっていても挑まなければなりません。
どうか妖魔王を下がらせてください。
裏切り者のワタシを裁ければ2人は去る筈です 」と惠茜さんの台詞。
「 御師様──!?
みすみす殺されに行くと言うのか?!
勝てないと分かっている相手に!! 」と愿縲さんの台詞。
「 これは必要な事なのです。
これはケジメなのです。
愛しい我が子と霄囹殿の存在を2人に知られない為には避けてはならない事なのです。
分かってください 」と惠茜さんの台詞。
そんな訳で、既に覚悟を決めている惠茜さんを主人公と愿縲さんには止められる筈もなく──、主人公は1人で妖怪王ぬらりひょんと九尾の狐の相手をしてくれていた妖魔王を下がらせた。
人間の占い師の容姿をしていた惠茜さんは転身をして、本来の姿に戻る。
7本の尻尾を生やした妖狐の容姿になった惠茜さんは、たった1人で義父の妖怪王ぬらりひょんと実母の九尾の狐に立ち向かった。
決着は一瞬だった。
妖魔王にダメージを与えられていても流石は妖怪王ぬらりひょんと九尾の狐なだけはある。
惠茜さんは2人に挑んで負けた。
裏切り者の惠茜さんにトドメを刺して息の根を止めた妖怪王ぬらりひょんと九尾の狐は妖怪の大群を引き連れて屋敷から出て行った。
中庭には地面に横たわる惠茜さんの遺体が残された。
言葉を発しない冷たくなった惠茜さんの身体を抱き起こして、抱きしめながら愿縲さんは泣いた。
育ての親で師匠だけど赤の他人だと思っていた占い師の惠茜さんが、自分を産んで育ててくれた実母だった訳だし、自分の命を懸けてでも息子の愿縲さんと主人公を衛る為に勝てない相手に立ち向かったんだ。
男だって泣く時は泣くよな。
マオ
「 マオキノ──。
随分と後味の悪い隠しイベントだったな。
妖怪王ぬらりひょんと九尾の狐が現れた理由が、歴戦の総大将達が人間の陰陽師に式隷にされた事を知ったから──って惠茜さんが言ってたよな。
これってさ、完全に主人公の所為なんじゃないのか?
この悲劇を起こした切っ掛けって間違いなく主人公だよな?? 」
マオキノ
「 はいですエリ。
十中八九、主人公が原因ですエリ。
真名を奪って式隷にしたのは明らかにやり過ぎでしたエリ~~ 」
マオ
「 だよな……。
頼りの惠茜さんが死んじゃったしさ、“ 時渡りの妖怪 ” の居場所を探せなくなっちゃったじゃんか。
どうすりゃ良いんだよ…… 」
画面に【[ セーブ ]しますか? 】って文字が出たから〔 する 〕を選んだ。
マオ
「 主人公……愿縲さんに恨まれたりしないかな……。
諸悪の根源が主人公だって愿縲さんに知られたら、各総大将を式隷にした事を責められそうだな…… 」
マオキノ
「 マオ様、ドンマイですエリ★
それでも主人公は前進するしかないですエリ。
今更後退は出来ませんエリ 」
マオ
「 そだな…… 」
取り敢えず、オレはスイーツを食べて気持ちを落ち着けたい。
今だけはスイーツに逃げたい!!
◎ 訂正しました。
しょうかんされたのは ─→ 召喚されたのは