⭕ 少年陰陽師★平安幻想異聞録 79
11路盤の上に交互に碁石を打つ。
ちゃんとパチ,パチ,パチ──って、本当に碁石を打っている様な気分になるリアルな音が聞こえる。
打つ場所に依って、キャラクターの表情がコロコロと変わるのを見ながら打てるのは面白い。
リアルで打つ時は相手に表情を読まれない様にポーカーフェイスで打つのが一般的だから、相手の表情が変わる事に関しては遊び心が有って良いと思う。
マオキノの話では、キャラクターの表情が変わるのは囲碁の未経験者を対象にしているらしい。
真剣に囲碁を打ちたいプレイヤーには2周目以降がお薦めみたいだ。
キャラクターの表情に対しても自由にON,OFFを選べる様になるらしい。
スマホ専用アプリでは、更にパワーアップした囲碁で遊べる様になってるしな!
対局している妖魔王は確かに強い。
今は “ 小手調べ ” ってので主人公の棋力を確認している状態だから、手を抜いてくれている可能性も有る。
油断は出来ない。
だからなのか、オレの棋力でも余裕で相手が出来る。
“ 小手調べ ” では間違いなくオレが勝てるだろう。
「 ──ありません。
ふむ……、ワタシは少々貴殿を見誤っていた。
貴殿は十分、強い。
棋士では無いのが惜しいくらいだ。
棋士になるつもりはないのか? 」と妖魔王の台詞。
小手調べで打っていたのに妖魔王から褒められた?!
一寸嬉しいぞ(////)
「 僕は陰陽師だ。
棋士になるつもりは無い。
陰陽師を引退したら選択肢に入れても良いかな 」と主人公の台詞。
「 勿体無い事だ。
では碁盤を変えて打とう。
次は21路盤で打とうか 」と嬉しそうに妖魔王の台詞。
マジで止めてほしい!
オレはデカい碁盤で打つのが苦手なんだ!
本番も11路盤で良いじゃんかよぉ!!
「 あまり大きな碁盤で打った事はないんだ。
人間は大きくても19路盤で打つ。
19路盤は無いのか? 」と主人公の台詞。
良く言った!
だけど、19路盤もオレにはデカいんだよ!!
もっと小さい数で言ってくれよぉ!!
マオ
「 マオキノぉ~~!
オレ、19路盤なんかで打てないよ…… 」
オレはマオキノに抱き付いた。
マオキノにヘルプを所望したい!!
マオキノなら勝てるって信じてるよ!
何せ相手はセロをモデルにしてる妖魔王だ。
初心者を対象にしているなら、セロに勝てないマオキノでも勝てる筈だ!!
マオキノ
「 マオ様、先ずは御自分を信じて打ってくださいませエリ。
無理だと思ったら交代しますエリ 」
マオ
「 最初から打ってくれないんだな…… 」
マオキノ
「 大どんでん返しを見せ付けますエリ★ 」
マオ
「 分かったよ。
限界まで自分で打ってみるよ。
負けると思ったら代わってくれよ!
絶対だからな! 」
マオキノ
「 はいですエリ 」
という訳で、19路盤を使って本番の対局が始まった。
画面に出ていた11路盤が19路盤に変わる。
「 貴殿に格の違いを見せよう。
御願いします 」と妖魔王の台詞。
「 受けて立つ。
勝負に勝つのは僕だ!!
御願いします 」と主人公の台詞。
主人公の命と妖魔王の真名を賭けた対局が開始した。
──意外にも打てるもんだ。
これなら余裕で勝てるんじゃないかと思う。
だって妖魔王は弓弦さんより弱いんだ。
“ 小手調べ ” で打った時より幾分かは強くなってるけど、苦戦する強さじゃない。
マオ
「 マオキノ、これならオレでも勝てるかもだ! 」
マオキノ
「 マオ様は夕鶴の対局に勝ってますエリ。
十分に勝てますエリ。
本来ならば、彩志にも愿縲にも勝てませんエリ 」
マオ
「 そ…そう言えばそうだった!!
確かに主人公は囲碁指南役の愿縲さんに弟子入りをして、棋力を上げてから妖魔王に挑むんだったよな!
愿縲さんが検非違使の眞小呂と一緒に駆け付けてくれて、妖魔王と囲碁勝負をして勝ってくれるんだった!!
オレ、2回もクリアしてるのに忘れてたよ!」
ハードモードでは、囲碁指南役の愿縲さんが主人公の弟子なんだ!!
──うん、妖魔王に勝てる!!
どう考えても余裕で勝てるじゃんかぁ~~♥️
妖魔王の真名ゲットするぞぉ!!
俄然、やる気が出て来た。
マオキノにヘルプしなくても勝てる気がする!!
マオキノ曰く、盤上ではオレ──じゃなくて、主人公が有利に運んでいるみたいだ。
指導碁になっているらしい。
指導碁か──。
オレは自分より弱い相手に対して指導碁を打ってしまうのが癖だ。
鯔のつまり、画面の妖魔王はオレより弱いって事が証明された!!
負ける気がしないし、怖くなんかないぞ!!
──ってな訳で、オレは──じゃなくて主人公は、妖魔王に挑んだ囲碁勝負で勝利を飾った。
妖魔王は自分が人間の子供に負けるとは思っていなかったんだろう。
自分が投了する立場だと悟った時の妖魔王は白い狐耳をヘタッと下げて残念そうな表情をしていた。
雨に濡れて震える仔犬みたいで可愛かった(////)
妖魔王を囲碁で負かせば何時でも見られるのかな~~(////)
ゲームだけど、セロに勝てた気がして嬉しいぞ♥️
約束通り、妖魔王は勝者の主人公に真名を教えた。
妖魔王も律儀だな。
主人公は妖魔王から真名を奪うと躊躇いもせず、式隷にした。
容赦がない。
主人公の式隷になった妖魔王は、主人公の命令を受けて知っている “ 時渡りの妖怪 ” に関する情報を詳細に話した。
主人公は嘘偽りのない情報を知りたかったから総大将達や妖魔王から真名を奪って式隷にしたんだ。
それだけ主人公の「 現代世界に帰りたい 」って気持ちは、本物だし強いんだと思う。
「 僕が召喚した時には力を貸してほしい。
それ以外は今迄通り、好きに過ごしてくれて構わない。
邪魔をした── 」と素っ気無い主人公の台詞。
「 主、“ 時渡りの妖怪 ” の行方を探している様だが──、当てはあるのか? 」と妖魔王の台詞。
「 知り合いに占い師が居る。
彼女の占いに頼るしかないのが現状だな… 」と煮え切らない表情で主人公の台詞。
「 主は献上品だけでなく、ワタシの白髪も返してくれた。
ワタシは主への恩に報いたい。
──この羽根を使うと良い。
“ 時渡りの妖怪 ” が落として行った羽根だ 」と妖魔王の台詞。
まさか、こんな形で “ 時渡りの妖怪 ” の手掛かりをゲット出来るなんて!!
羽根を鏡の中に入れたら、妖魔王の時みたいに居場所を探せるって事かよ!?
「 “ 時渡りの妖怪 ” の羽根──。
どうして僕に? 」と主人公の台詞。
「 2度も言わせないでほしいのだが?
主の屋敷と此処を繋ぐが良いな。
主は “ 好きにして良い ” と言っただろう 」と妖魔王の台詞。
「 人間と揉め事を起こしたり、危害を加えないなら良い。
一々妖魔の森やダンジョンを抜けないと辿り着けないのは不便だからな 」と意外にも理解のある主人公の台詞。
「 ふむ……善処はするとしよう。
お前は囲碁指南役の愿縲だな。
ワタシと囲碁友になれ。
お前もだ 」と愿縲さん,彩志さんを指名する妖魔王の台詞。
「 私は春師殿の弟子なのだが── 」と困った様に愿縲さんの台詞。
「 良いのではないかな?
ワタシは獅東彩志と言います。
愿縲とは旧知の友です。
ワタシも囲碁を嗜みます。
逸その事、春の弟子となり、3人で切磋琢磨しながら “ 神の一手 ” を追求するのも楽しいかも知れません 」と意外にも乗り気な彩志さんの台詞。
父親の彩志さんが息子の囲碁弟子になるって?!
何を考えてるんだよ、彩志さんは~~!!
「 ふむ、それは良い案だ。
主よ、ワタシは今から主の囲碁弟子になる。
良いな 」と嬉しそうに妖魔王の台詞。
些か強引だけど、尻尾がメッチャ揺れてるぅ~~(////)
余っ程嬉しいんだな~~。
囲碁が好きみたいだから、もしかしたら純粋に囲碁友が欲しいだけなのかも知れない。
「 ………………父上も僕の囲碁弟子になるつもりですか? 」と主人公の台詞。
「 今から宜しく、春師殿♥️ 」と楽しそうに彩志さんの台詞。
彩志さんは自由人だなぁ~~。
囲碁の強い妖魔王と囲碁友になれるんだし、嬉しくてテンションが爆上がりしてるのかも知れない。
「 ………………分かりました。
弟子1は愿縲さん,弟子2を眞小呂,弟子3を父上,弟子4を妖魔王とします。
喧嘩しないで囲碁友として仲良く “ 神の一手 ” とやらを追求してください 」と何かを諦めたかの様に主人公の台詞。
「 妖魔王殿、良ければ獅東屋敷で暮らしてください。
そうすれば何時でも囲碁の相手を出来ます 」と彩志さんの台詞。
「 それは有り難い。
人間の世に出るのは久しい。
世話になるとしよう、兄弟子よ 」と嬉しそうに妖魔王の台詞。
眞小呂が困惑気味に笑っている。
そうだよな、勝手に妖魔王の囲碁友の仲間に入れられちゃったんだもんな。
養父の彩志さんと妖魔王が弟弟子になっちゃったら困惑もするだろう。
頑張れ、眞小呂!!
応援してるぞ★
マオ
「 妖魔王と戦闘する事もなく無事にイベントが終わって良かった!
最後は意外と平和的に丸く収まって安心したよ 」
マオキノ
「 はいですエリ。
賄賂を渡して正解でしたエリ 」
マオ
「 賄賂……。
確かに賄賂かもな~~~~。
よし、獅東屋敷に戻ったら、惠茜さんに “ 時渡りの妖怪 ” を探してもらおう! 」
マオキノ
「 いよいよ終盤に差し掛かってますエリ 」
マオ
「 ハードモードは長いな~~。
早く終わらせたいよ… 」
オレはステータス画面を出して[ セーブ ]をした。
獅東屋敷に戻る選択をすると、主人公は妖魔王の豪邸と獅東屋敷を繋げる転移陣を発動させる。
美しく咲き誇る満開の曼珠沙華を眺めながら立派な橋を渡った先に転移陣が定着している。
「 此処から獅東屋敷の一室に繋げた。
転移陣を使えるのは限られた人物に限定している。
無関係な人間は転移陣を使えないから安心して良い 」と主人公の台詞。
主人公を動かして転移陣の中に入ると画面が切り替わった。
◎ 訂正しました。
小手調べて打っていたのに ─→ 小手調べで打っていたのに




