✒ 少年陰陽師★平安幻想異聞録 78
妖魔王の住み処の中をドット絵の主人公を動かして先に進む。
平安貴族が暮らしてる豪勢な屋敷や内裏みたいな感じだと思っていたのに全然違っていた。
オレの想像とは掛け離れている。
何か生物の体内の中に居るみたいで、赤身がかっている壁が続いていて、生きているかの様にドクンドクンと脈打っている。
はっきり言って気持ちが悪い。
偶に見掛ける真っ黒な液体の水溜まりみたいなのは何なんだろな??
マオキノの言う通り、出現する妖魔は強い。
妖怪の総大将に匹敵する強さで、全体攻撃ばかりして来やがる。
攻撃力が強いから、夕鶴ちゃんに守護られる主人公以外のキャラクター達は、大ダメージを受けてしまう。
愿縲さんのターンで回復させても、敵のターンで大幅にゴッソリと体力が削られてしまう。
戦闘不能になったまま終わっても経験値が入るなら、戦闘不能のまま放置しとくけど、経験値は生きてないと入らない様になってるから、放置が出来ないのが辛い。
気絶させたまま放置が出来るなら、総大将達を召喚して攻撃させれるのにぃ~~~~!!
頼りになるのは主人公の式神だけだ。
式神をひたすら強化し続けないと勝つのが難しいんだ。
心が折れる戦闘ばかりで嫌気が差す。
コントローラーを床に叩き付けたり、壁に投げ付けたりしたいぐらいイライラしている。
隠行術を使っても意味が無いのも辛い。
マオ
「 マオキノ…………オレ、もう止めたい。
止めて良いかな?
戦闘になる度、辛いよ…… 」
マオキノ
「 マオ様、根性を見せてくださいませエリ。
妖魔王との囲碁勝負が待ってますエリ 」
マオ
「 そうなんだけどさ──、囲碁勝負の前にオレの気力が尽きるよ。
マオキノぉ~~、何とかならないか?
改造データとか無いかな? 」
マオキノ
「 マオ様、そんな改造データは無いですエリ。
地道にコツコツ進めてくださいませエリ 」
マオ
「 えぇ~~~~!! 」
マオキノ
「 マオ様、改造データに頼り過ぎないでくださいませエリ★ 」
はぁ~~~~……。
改造データに頼れないなんて──。
こんな時こそ、改造データに頼らなくてどうするんだよ!
ちくしょうっ!!
そんな訳で、オレは地道にコツコツ攻略しないといけなくなった。
ハードモードは制作者側の悪意が詰め込まれているんだ。
きっとそうに違いない。
抑、データを改造出来る “ ちょんぼマシーン ” を出してくれたマオキノに「 頼り過ぎないでくださいませエリ★ 」なんて、可愛くウインクしながら可愛い声で言われたくない。
改造データに関して、諸悪の根源はマオキノだからな!
何とか気持ちの悪い長ったらしい通路を出ると広い空間に出た。
広い空間には一面に真っ白い曼珠沙華──彼岸花が咲き誇っている。
綺麗だ──。
その奥に一軒だけ立派な屋敷が建っている。
さっき迄ドット絵だった主人公だったけど、画面が切り替わった事で高画質で美麗な3DCGに変わっていた。
コントローラーの方向キーを動かして、リアルになった主人公を屋敷に向かって歩かせる。
一面に咲き誇る真っ白い曼珠沙華──彼岸花が主人公を歓迎している様に揺れている。
3DCGで見る真っ白い曼珠沙華──彼岸花はリアルで見るより美麗だ。
屋敷は上品な造りになっていて、凄く手の込んだ細工が施されている。
一体どんな職人達が上品で美しい屋敷を造ったんだろう。
屋敷の中へ足を踏み入れる。
本来なら履き物は脱いで上がるものだけど、これはゲームだから土足で「 お邪魔しま~~す 」をする。
現実だったら怒られるんだろうな。
屋敷の中では妖魔と遭遇しないみたいだ。
どうやら妖魔は出現しない場所らしい。
良かった~~。
屋敷の中でも戦わないといけなかったら心が折れていた。
あんな強い敵とは戦闘したくない。
まるで何かに導かれる様に主人公は屋敷の奥へ進む。
屋敷の奥にはこれまた立派な扉が付いている。
マオキノ
「 マオ様、この奥に妖魔王が控えてますエリ 」
マオ
「 この奥に?
そっか──漸くか……。
やっと──、セロがモデルになってる妖魔王と御対面するんだな! 」
オレはステータス画面を出して、戦闘になった時の事を考えて準備を万端にさせてから[ セーブ ]した。
【 扉を開けますか? 】って、文字が出る。
オレは〔 はい 〕を選んだ。
「 ギイィィィ~~~~ 」と重たい音が鳴りながら、大きくて立派な扉が開く。
扉の先の部屋も広い。
1番奥には椅子が置かれている。
随分と立派で豪勢な椅子だ。
誰も座っていないし、部屋にも誰も居ないみたいだ。
マオ
「 妖魔王が居ないみたいだけど? 」
マオキノ
「 ちゃんと居ますエリ。
マオ様、妖魔の森でトトメスの同種族から剥ぎ取った翼を出して献上してくださいませエリ 」
マオ
「 献上……。
貢ぎ物を捧げるって事だな 」
マオキノ
「 敵意が無い事を見せる為の友好の証ですエリ 」
マオ
「 友好ね…。
囲碁勝負を受けてもらう為には敵意が無い事を妖魔王に知ってもらう必要がある訳だな… 」
オレはステータス画面を出す。
[ セーブ ]をしてから、アイテム欄を開く。
“ 鮮血の翼 ” を選択したら〔 使う 〕を選ぶ。
立派で豪勢な椅子な前に “ 鮮血の翼 ” が置かれる。
マオ
「 こんなんで妖魔王が現れるのか? 」
マオキノ
「 マオ様、鏡の中から妖魔王の白髪を取り出してくださいませエリ 」
マオ
「 あ、うん… 」
ステータス画面を出して、[ セーブ ]をしてからアイテム欄を以下省略──。
3種の神器の鏡を選択して、妖魔王の白髪を鏡の中から取り出した。
マオ
「 マオキノ、この白髪はどうするんだ? 」
マオキノ
「 椅子の上に置いてくださいませエリ 」
マオ
「 椅子の上に?
兎に角、置いてみれば良いんだな 」
マオキノに言われた通り、椅子の上に妖魔王の白髪を置いて様子を疑う。
「 客人とは珍しい。
確か、誰も来れない様になっていた筈だけれど? 」と美麗な声色の主の台詞。
う~~ん、セロの美声には負けるけど、耳心地の良い声だ。
声を聞くだけで癒されるから不思議だ。
セロの声が聞きたいな(////)
「 貴殿が妖魔王か?
僕は陰陽師の春舂霄囹だ。
貴殿と囲碁をしたくて≪ 平安京 ≫から参った所存だ。
僕と囲碁勝負をしてほしい 」と主人公の台詞。
姿を見せない妖魔王に向かって主人公は毅然とした態度で物申す。
肝が据わっている。
流石は妖怪の総大将達を式隷にするだけはある。
「 ワタシと囲碁勝負をする為には遠路遙々来たと?
ふふふ……、貴殿は随分な変わり者の様だ 」と妖魔王の台詞。
「 貴殿との囲碁勝負で僕が負けたら、僕を好きにすると良い!
煮るなり焼くなり喰らうなり──、傀儡にして遊んでも構わない!!
僕が貴殿に勝てた暁には──、貴殿の真名を教えてほしい 」と主人公の台詞。
「 ワタシの真名を知りたい?
ふむ……ワタシから名を奪い縛るつもりか?
怖いもの知らずな陰陽師だ。
貴殿は囲碁勝負でワタシに勝つつもりでいる様だし── 」と妖魔王の台詞。
「 僕は棋士ではないから無名だが、貴殿の知る棋士より強いと自負している。
天下の妖魔王が人間に負けるのが嫌だから挑まれた勝負を “ 受けない ” とは言うまい?
10本の尻尾を巻いて僕を追い返すか? 」と主人公の台詞。
「 ふむ……。
妖魔王に対して一致ょ前に挑発するとは中々可愛い人間だ──。
良いだろう、貴殿の囲碁勝負を受けよう。
先ずは小手調べをさせてもらう。
貴殿がワタシと対等に対局の出来る棋力を持っているのか確かめさせてもらうとしよう 」と妖魔王の台詞。
「 囲碁勝負を受けてくれるなら願ったりだ。
僕の棋力を貴殿自身の目で確かめてほしい 」と主人公の台詞。
会話が終わると主人公の前に妖魔王が姿を現した。
妖魔王の容姿は──、セロのまんまじゃん!!
着ている衣装は違うけど、真っ白な長髪は緩やかにウェーブしているし、白い狐耳と白い狐の尻尾を付けただけで、まんまセロだった。
声色と口調は違うけど、妖狐のコスプレをしたセロが画面の中に居るぅ~~~~!!
後ろに生えてる10本の白い尻尾が揺れている。
あの尻尾に顔を埋めて頬擦りしたい(////)
画面に【[ セーブ ]しますか? 】と文字が出るから〔 する 〕を選ぶ。
対局専用の画面に切り替わる。
画面の真ん中に碁盤が出ている。
どうやらセロが──じゃなくて妖魔王が小手調べに使う碁盤は11路盤みたいだ。
どうせなら9路盤にしてほしかった。
「 お手並み拝見しましょう。
御願いします 」と妖魔王の台詞。
「 貴殿の期待を裏切らない自信が有ります。
御願いします 」と主人公の台詞。
妖魔王と主人公の囲碁勝負の開始だ!!