⭕ 少年陰陽師★平安幻想異聞録 75
画面が切り替わると数日が経っていた。
惠茜さんが獅東屋敷を訪ねて来た。
その前日には養父の彩志さんと主人公と同様に彩志さんの養子になった眞小呂が内裏から帰宅した。
元服前に彩志さんの養子となった眞小呂は、主人公とは義理の兄弟になる。
本来ならば主人公より歳上の眞小呂が獅東屋敷の当主になる訳だけど、眞小呂は養父である彩志さん専属警護使としてベッタリだ。
眞小呂には獅東屋敷の当主になるつもりが更々無い。
それは彩志さんも承知の上の助で、彩志さんも眞小呂に獅東屋敷の当主を継がせる気は更々無く──、表向きには “ 陰陽師としても優秀で有能な主人公に獅東屋敷の当主を継がせる ” と貴族界で公言している様だ。
彩志さんは実子の子供達には獅東屋敷の当主を継がせたくないと考えている。
暗殺者から子供達の命を守りたいからだ。
子供達の命を守る為に、自分の身を自分で守れるを陰陽師の主人公に白羽の矢が立った。
主人公が性別反転を出来る事を上手く利用して “ 実は養女でした ” って事で、本統の跡取りである弓嘉さんと結婚させて夫婦にする事──。
獅東屋敷の当主の座を弓嘉さんにバトンタッチして、獅東弓千嘉として獅東屋敷の当主にする事──。
獅東屋敷の当主の座から、お役目御免をして隠居生活しながら、残りの余生を眞小呂と一緒に平穏に暮らしながら、主人公に自分と眞小呂の子供を産ませて一緒に暮らす事──。
以上が、彩志さんの願いだったりする。
オレは別に構わないと思っている。
弓嘉さんの実父も本来ならば彩志さんじゃなくて、実子である弓嘉さんに “ 継いでもらいたい ” と思っているからだ。
退魔師になりなくて “ 宕嶌弓嘉 ” と名前を変えて、弓使いの退魔師として好きに生きている弓嘉さんには辛い選択かも知れない。
主人公が弓嘉さんの子供を産んだとしても、平安人として馴染めない現代人の主人公は、何としても現代に帰ってしまうだろう。
だって、このゲームは主人公が現代へ戻る為に平安時代で奮闘しつつ、現代世界へ戻れて初めてめでたしめでたしを迎えるからだ。
主人公が現代世界へ帰る為には、妖魔王の協力が必要不可欠だ。
何が何でも主人公は、妖魔王と出逢って、囲碁を挑んで、対局に勝たないといけない。
仲良くなった妖魔王に現代世界へ帰してもらう為には、“ 時渡りの妖怪 ” の心臓が必要だ。
妖魔王と仲良くなれても、“ 時渡りの妖怪 ” を見付けて心臓をゲットしないと意味が無い。
妖魔王なら “ 時渡りの妖怪 ” の出現する場所を知ってるかも知れない?
現代世界に帰って、主人公を平安時代へ飛ばしやがった陰陽師達をギャフンと言わしてやらないと気が済まない。
そう──、このゲームは主人公が自分を裏切った陰陽師達に復讐して、ギャフンと言わせてざまぁさせる壮大な時超え物語なんだ。
愿縲さんの育ての親であり、陰陽師の師匠でもある占い師の惠茜さんが、3種の神器の鏡を持参して、依頼主である主人公へ会いに来てくれた。
惠茜さんは、皆が集まる居間へ通される。
居間には主人公に協力してくれたキャラクターが勢揃いしている。
獅東屋敷の現当主であり眞小呂と主人公の養父である獅東彩志さん,弓使いの退魔師の宕嶌弓嘉さん,囲碁指南役であり凄腕の陰陽師でもある愿縲さん,鬼人族の獅東千颯と千颯の夫であり亡き超古代人兼蟲師の毘周さん,盲目の退魔師である厦竸挧氤さんと背中に純白の翼を4枚生やしたトトメス,彩志さんの専属警護使で主人公の義兄となった獅東眞小呂──、そして依頼主のである主人公の9名が占い師の惠茜さんの占いの結果を聞く。
惠茜さんは持参してくれた3種の神器の鏡を出し、何かを包んでいる白い布を取り出す。
白い布を捲ると白髪がくるまれていた。
白髪は妖魔王の髪だ。
何で内裏に居る帝が、妖魔王の白髪を持っていたのか気になるし謎だけど、これはゲームだから。
突っ込んだら負けだ。
真相は制作側のみぞ知るってヤツだな。
惠茜さんが3種の神器の上に妖魔王の白髪を乗せると、白髪は鏡の中へ吸い込まれていく。
鏡が光出して、光を放ち始めた。
何処かを指すかの様に光が伸びている。
これで妖魔王の居場所へ行けるって訳か。
惠茜さんが鏡の中へ手を入れて、妖魔王の白髪を取り出すと鏡から指している光が消えた。
彩志さんの一声で準備が整い次第、妖魔王の住み処へ向かう事になった。
で──、此処で問題になのがメンバーの選択だ。
主人公は外せない。
弓嘉さんも外せない。
千颯,毘周さん,挧氤さん,トトメスも外したくない。
強い妖魔王と戦うんだから、頼れる戦力と回復役はキープしときたい。
残り2名だ。
彩志さん,愿縲さん,眞小呂の中から2名を選ばないといけない。
主人公は囲碁が強い。
妖魔王と対局するのはプレイヤーのオレだからだ。
オレの傍にはマオキノが居てくれるし、1階には弓弦さんとセノコンも居る。
妖魔王との戦闘には勝てないかも知れないけど、囲碁なら勝てるかも知れない。
囲碁に勝てれば、妖魔王と戦闘になる事は無いだろう。
妖魔王のモデルはセロらしいから、絶対に囲碁勝負に勝てる保証はない。
だから念の為、少しでも戦闘を有利にする為に戦力を確保しておきたい。
彩志さん & 愿縲さんペアにするか、彩志さん & 眞小呂ペアにするか、愿縲さん & 眞小呂ペアにするかだ。
悩み処過ぎる。
1周目の友愛ルートでは無難に愿縲さん & 眞小呂ペアだった。
2周目の家族愛ルートでは彩志さん & 眞小呂ペアだった。
今、オレが進めてるのは1周目の性愛ルートだ。
未だ選んでない彩志さん & 愿縲さんペアにしようかな?
ぶっちゃけ眞小呂は使えないしな……。
オレをモデルにしてるキャラクターなのに “ 弱くて使えない ” ってのには納得が出来ないけどなっ!!
マオ
「 マオキノ、妖魔王の住み処へ行くメンバーなんだけど── 」
マオキノ
「 マオ様、トトメスは妖魔王の住み処へは行けませんエリ。
回復役は別のキャラクターにさせてくださいませエリ 」
マオ
「 えっ?!
何でトトメスは妖魔王の住み処に入れないんだ? 」
マオキノ
「 トトメスの種族は妖魔王との相性が頗る悪いですエリ。
トトメスは獅東屋敷で留守番になりますエリ 」
マオ
「 マジかよ!?
じゃあ、トトメスを抜いた何時ものメンバーで妖魔王の住み処へ向かう訳だな? 」
マオキノ
「 はいですエリ 」
マオ
「 そっか……。
態々悩まなくて良かった訳だな 」
画面の中では全員の準備が整ったみたいだ。
トトメスはマオキノの言った通り留守番になった。
当然、非戦闘員の惠茜さんも留守番だ。
留守番をするトトメスと惠茜さんに見送られで、主人公達は獅東屋敷を出た。
獅東屋敷を出ると画面が切り替わって、≪ 平安京 ≫の外に出る。
画面には地図が広がっていて、地図の上には〔 check 〕が出ている。
〔 check 〕の場所にドット絵のシュンシュンを動かすと画面が切り替わった。
マオ
「 な……なんか、おどろおどろしい森が現れたな 」
マオキノ
「 妖魔の森ですエリ。
血気盛んで餌に餓えた妖魔が棲息している厄介な森ですエリ。
此処で3種の神器と妖魔王の白髪を使いますエリ。
光を辿れば迷わず妖魔王の住み処へ辿り着けますエリ 」
マオ
「 此処から鏡と白髪が大活躍するんだな! 」
オレはステータス画面を開いて、戦闘メンバーを選ぶ。
主人公,弓嘉さん,挧氤さん,愿縲さんだ。
弓嘉さん,挧氤さんにはガンガン全体攻撃をしてもらう。
愿縲さんには御札を使ってメンバーのサポートに徹してもらう。
主人公の式神は強いから、妖魔の森での戦闘は何とかなると信じたい。
[ セーブ ]もしたし、神器の鏡と妖魔王の白髪も準備OKだ。
妖魔王の住み処を目指して──、いざ、妖魔の森へ!!!!