⭕ 事件を起こせ!
◎サブタイトルを変更しました。
──*──*──*── 月曜日
──*──*──*── セロカ君の本屋
──*──*──*── 3階・居間
春舂霄囹
「 ──と、言うわけだ。
何とかしろ 」
セロフィート
「 ワタシに命令しないでください 」
マオ
「 えぇと──、つまりは黒い靄を消す為に、碁会所の下に埋まってる人骨を掘り起こしたいんだよな? 」
春舂霄囹
「 そうだ。
何度も言わせるな! 」
マオ
「 態々碁会所を取り壊して人骨を掘り起こさなくてもセロなら、古代魔法で転送とか出来るよな 」
セロフィート
「 出来ますけど、地中に埋まっている人骨の転送先を何処にするつもりです? 」
マオ
「 そっか…。
確かにそうだよな……。
この辺に取り壊しても良いような廃屋なんて無いもんな…。
人為的に掘り起こすしかないのかな? 」
春舂霄囹
「 何でも良いさ!
──たく、あの碁会所の持ち主と来たら、頑固で此方の話なんか聞きゃしないんだぞ!
子供の言う事だって、相手にすらしやしない!
腹が立つ 」
マオ
「 そりゃそうだろ。
陰陽師の格好してても子供だし。
コスプレ好きの中学生ぐらいにしか思われてないんじゃないか?
碁打ちって “ 世間に疎い ” って有名だし? 」
セロフィート
「 玄武さんと弓弦さんが通う碁会所ですし、何とかしましょう 」
春舂霄囹
「 セロフィート!
動いてくれるのか! 」
セロフィート
「 霄囹さんは碁会所に警告はしたのでしたね 」
春舂霄囹
「 あぁ。
頭に来たから、『 このまま放置していたら怪奇現象や心霊現象が起きて、怖い思いをするぞ! 』って脅してやった! 」
セロフィート
「 それで行きましょう。
霄囹さん、名刺は渡してます? 」
春舂霄囹
「 名刺?
あぁ、一応な。
怪訝な顔で僕を見ていたから、捨てられたかも知れないぞ? 」
セロフィート
「 霄囹さん、碁会所から連絡が来る迄、陰陽術で怪奇現象,心霊現象を起こしてください 」
春舂霄囹
「 ──は?
何だって? 」
セロフィート
「 ワタシは碁会所の中を見てませんから、黒い靄の状態を知りません。
玄武さんが『 放置で良い 』と言う程度なら、幾ら待っていても怪奇現象,心霊現象は起きません。
霄囹さんが警告した通り、ハインリッヒの法則式に怪奇現象,心霊現象を起こします 」
マオ
「 セロ……、事件を起こすの本当に好きだよな 」
セロフィート
「 待っていても事件は起きません。
事件は起こすものです 」
マオ
「( ──こういう所はシュンシュンと似てるんだよな……。
“ 類は友を呼ぶ ” の体現だな~~ )」
セロフィート
「 先ずは小事故に似せた怪奇現象,心霊現象を細々と起こします。
3週間後に中事故に似せた怪奇現象,心霊現象を起こします。
1ヵ月後は死者が出る大事故を起こします。
怪奇現象,心霊現象が起こり続ける中、死者が出れば流石の持ち主も霄囹さんの警告を思い出し、連絡を入れて来るでしょう。
その後は《 セロッタ商会 》が良い値で碁会所の土地を買い取ります。
碁会所を解体し、人骨を掘り起こせば良いです 」
マオ
「 流石に死者を出すのは、やり過ぎじゃないか? 」
セロフィート
「 マオ、何事も “ やり過ぎ ” が丁度良いものです。
身内が犠牲になれば、頑なに拒否した持ち主も重い腰を上げるでしょう 」
春舂霄囹
「 成る程な。
事件を起こすのは専門分野だ。
小事故に見せ掛けた怪奇現象,心霊現象の類いは式神にさせれば良い。
中事故に見せ掛けた怪奇現象,心霊現象は実際に悪霊,怨霊を使ってみるかな。
メインの大事故は──碁会所の崩落事故はどうだ?
陥没事故でも良いかな? 」
セロフィート
「 陥没事故にして、埋まっている人骨を見付けさせても良いですね。
人骨が見付かれば、警察が動きます。
他の人骨も掘り起こされるでしょう 」
マオ
「 ははは……。
ニュースになりそうだな。
【 手抜き工事か!? 陥没した碁会所の下から8体の白骨死体が発見される!! 】みたいな感じでさ 」
春舂霄囹
「 良いじゃないか!
話題になるのは好都合だ 」
セロフィート
「 人骨が掘り起こされた後の土地は《 セロッタ商会 》で買い取り、碁会所を建てましょう。
“ 陰陽師アイドル ” の宣伝を大々的に出来ます。
12月に発売する【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 】の宣伝も兼ねれます 」
マオ
「 人骨が出て来た場所に碁会所を建てて客が来るのかよ? 」
セロフィート
「 碁会所だけではないです。
2階には飲食の出来る喫茶店を入れます。
掘り炬燵式の座敷も用意します。
3階には囲碁グッズを取り揃えた販売店を入れます。
【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 】関連のグッズも販売します。
1階,2階,3階を繋ぐエレベーターを設置し、移動を楽にします。
健常者だけでなく、障碍者も気楽に囲碁を楽しめるような碁会所に改装します 」
マオ
「 障碍者までカモにする気かよ 」
セロフィート
「 障碍者は金銭的な優遇を受けています。
貰える物は貰う。
抜け道を見付けては、余分に多くの金銭的援助を受け、贅沢な暮らしをしてます。
絶好のカモです。
全ての障碍者を対象にする訳ではないです。
善良で誠実に暮らしている障碍者や障碍者家族には何もしません。
支援制度を悪用し、至福を肥やし、贅沢三昧している障碍者や障碍者家族を対象にします。
既に目星は付けてますし 」
マオ
「 計画的犯行かよ…。
まぁ、良いけど…… 」
春舂霄囹
「 セロフィートは先の事まで考えてるんだな 」
セロフィート
「 ふふふ…。
碁会所の中は現在の碁会所の名残を残して改装します。
常連さんが戻って来てくれると良いですね? 」
春舂霄囹
「 早速、明日から式神を碁会所へ向かわせ、小事故を起こさせよう。
玄武と弓弦には伝えるんだろう? 」
セロフィート
「 そうですね。
玄武さん,弓弦さんにはワタシから話します 」
マオ
「 明日の1ヵ月後には碁会所は崩落事故で死人が出るのか…。
なぁ、やっぱりさ、死人を出すのは止めないか?
全治1ヵ月ぐらいの怪我じゃ駄目なのか? 」
セロフィート
「 それは中事故です。
死者が出るから “ 大事故 ” と言うのです 」
マオ
「 そうかよ……。
──ところでさ、鼕朴圄和音っていう霊能力者だっけ?
そいつとは、どんな感じなんだ? 」
春舂霄囹
「 霊能力者ってのは、免許やライセンスを持ってないからな、質の悪い詐欺師と同じだ。
鼕朴圄和音の霊能力は確かに目を見張るものがある。
だが、奴は生粋の悪人だ。
カモった相手に非合法の薬物を買わせてシャブらせる。
薬物漬けにした後は──。
中々見所はあるねぇ!
何の効果も無い道具を心霊現象や怪奇現象に悩んでる奴等に高値で売り付けてボッタくってるしねぇ。
霊能力を悪用して占いにも手を出しているし、感商法も手慣れたもんだよ 」
マオ
「 何でそんな奴が碁会所の前に死霊を置き去りにさせたりしたんだ? 」
春舂霄囹
「 それは次の配信動画【 突撃インタビュー 】で明らかにしてやるよ。
鼕朴圄和音が今迄に関わっていたあらゆる悪事も動画でバラしてやるつもりさ!
大炎上してバズるんじゃないかな? 」
マオ
「 シュンシュンは大炎上させるのが好きな “ お騒がせ陰陽師アイドル ” だもんな~~ 」
春舂霄囹
「 そうそう、秋の心霊特番で “ 最強の霊能力者 ” こと亰邊晁子と共演するんだ。
生放送だから、ちゃんと見ろよ!
忘れず録画もしとけよ! 」
マオ
「 分かったよ。
生放送中に事件なんか起こすなよ? 」
春舂霄囹
「 生放送に起こる事件なんてのは視聴率を稼ぐ為のヤラセだぞ。
まぁ、死人でも出れば、ヤラセじゃなくなるけどな!
僕の式神としてキノコンも出るから、便乗してキノコングッズも売れるかもな! 」
セロフィート
「 確り番宣してください。
身に付けられるセロカ君グッズも用意しときます。
然り気無くアピールするのを忘れずに 」
春舂霄囹
「 分かってるよ。
全国版の生放送だからな。
確りと売り込んでやるよ! 」
セロとの話を終えたシュンシュンは、ソファーから腰を浮かせて立ち上がるとドアを開けて裏野ハイツへ戻って行った。
マオ
「 セロ……、事件を起こすの止めないか? 」
セロフィート
「 はい?
何故です?
玄武さんと弓弦さんが囲碁界を引っ張るプロ棋士となる前に、碁会所を増やします。
先ずは建物の下に人骨が埋まっている土地を探しましょう。
人骨を掘り起こし、供養した後は3階 ~ 5階建ての碁会所を建てます。
障碍者を対象にした囲碁大会も大々的に開催します 」
マオ
「 目星の土地を見付けたら、今回みたいに事件を起こして──、《 セロッタ商会 》で買い取るのかよ… 」
セロフィート
「 これから楽しくなりますね♪ 」
マオ
「 何も知らずにとばっちりを食らう犠牲達を不憫に思うよ… 」
此処は名高い “ 犯罪天国都市の米●町。
人間が起こす事件や事故も多いけど、人間の肉眼では見えない存在が起こす事件や事故も多い町だ。
事件を起こすのが好きなセロやシュンシュンが自重しないと今まで以上に事件や事故が増える。
流石に【 尻牛蒡事件 】は起きてないけど、また何時セロが【 尻牛蒡事件 】を復活させるか分からない。
お巡りさん、犯人は此処に居ますよ!!
◎ リアルで事件を起こすと、警察に逮捕されて刑務所に入れられちゃいますけど──、物語の中で事件を起こしても所詮は妄想の産物。
良いストレス発散法を見付けれたと思っています。
色んな事件を起こして、沢山ストレス発散させますよ★