⭕ 青白い足を辿れば 2
◎ サブタイトルを変更しました。
──*──*──*── エレベーター
32階のボタンを押すと、静かに扉が閉まる。
エレベーターは静かに32階を目指して上がって行く。
因みにエレベーターの中には赤い足跡が付いている。
チン──と音が鳴り、エレベーターの扉が静かに開く。
──*──*──*── 32階・廊下
絲腥玄武
「 赤い足跡だ。
左側から来ているようだな 」
厳蒔弓弦
「 この階の何処かに犯人が居るのか… 」
春舂霄囹
「 犯人の──いや、犯罪者の顔を拝んでやろうじゃないか!
行くぞ! 」
キノコン
「 いよいよ凶悪犯との御対面が実現しますエリ。
めちゃんこドキドキして来ましたエリ~ 」
厳蒔弓弦
「 凶悪犯ではないのだがな… 」
絲腥玄武
「 どんな輩なのか気になるが、凶悪犯は言い過ぎだ 」
厳蒔弓弦
「 ──あの部屋の前で足跡が途切れているな 」
春舂霄囹
「 どうやら、犯人はこの部屋で暮らしている奴みたいだな 」
絲腥玄武
「 鍵が掛かっているのではないか? 」
厳蒔弓弦
「 そうだな。
米●町は事件,事故が多い町だ。
マンションの中だからと用心を怠ってはいないと思う 」
春舂霄囹
「 陰陽術の前じゃ、頑丈な鍵なんか掛けても無意味なんだよ。
解錠なんか朝飯前だ! 」
絲腥玄武
「 空き巣も真っ青ではないか 」
厳蒔弓弦
「 確かにな… 」
僕は法術を使い、施錠されている鍵を難なく解錠する。
セロフィートの使う古代魔法とやらには敵わないだろうが、陰陽術も使い方次第で大抵の事は出来てしまえる。
便利な術だ。
臨機応変に応用を出来るようになる迄が大変なんだけどな。
春舂霄囹
「 入るぞ 」
キノコン
「 住居不法侵入罪確定ですエリ 」
春舂霄囹
「 褒めるなよ、キノコン! 」
僕はドアを開けると部屋の中へ入った。
──*──*──*── 室内
春舂霄囹
「 ──ん、何だ?
女が居るのか?
犯人は女か? 」
キノコン
「 際どい喘ぎ声が聞こえますエリ 」
春舂霄囹
「 何だよ、お楽しみ中かよ。
真っ昼間から、お盛んだな!
──玄武と弓弦は、どうするんだ?
お楽しみらしいけど、入って来るのか? 」
絲腥玄武
「 我は玄関で待つ 」
厳蒔弓弦
「 私も玄関に居る(////)」
春舂霄囹
「 何だよ、どうしたよ、弓弦ぅ~~。
耳まで真っ赤だぞぉ!
何だよ~~、弓弦は未だ童貞かぁ? 」
厳蒔弓弦
「 う、煩い!(////)」
春舂霄囹
「 へぇ~~ふぅ~~ん。
そうか、そうか!
弓弦は未だ童貞なのかぁ~~!
女の喘ぎ声は耳汚しになるなぁ~~!
アッハハハ! 」
厳蒔弓弦
「 ──っ(////)」
絲腥玄武
「 何も恥ずかしがる事はないぞ、弓弦。
我も童貞のまま暗殺されたからな。
ははは! 」
春舂霄囹
「 マジかよ…。
玄武は生前、モテなかったのか? 」
絲腥玄武
「 陰陽院には女人が居なかったからな。
関わる事が無かった。
陰陽師は男色家が多かったな 」
厳蒔弓弦
「 知り合いの陰陽師もそんな事を言っていたな。
それが嫌で陰陽院から逃げ出したと言っていた。
本当だったのか… 」
春舂霄囹
「 陰陽院は男の園みたいな場所だからねぇ。
( そうか、玄武は童貞のまま──。
だから、僕は玄武が気になっていたんだ!
生前の玄武の童貞を貰いたかったな…。
あぁ──、弓弦の童貞を貰えば良いのか!
弓弦が女を知る前に貰ってしまうとするか! ) 」
絲腥玄武
「 益々声が大きくなって来ているようだが…… 」
厳蒔弓弦
「 さっさと行って邪魔して来たらどうだ? 」
春舂霄囹
「 何だよ、女の喘ぎ声は苦手かぁ?
絶頂を迎える寸前って感じだな~~ 」
絲腥玄武
「 シュンシュン、あまり弓弦をからかうな 」
春舂霄囹
「 分かったよ。
そう睨むなよ、玄武! 」
僕は玄関先に玄武と弓弦を残して、部屋の中へ上がる。
犯罪者の家だからな、靴なんか脱がない。
土足だ。
カメラを回しながらキノコンが付いて来る。
春舂霄囹
「 楽しんでるみたいだし、恥ずかしい最中の映像が撮れるかも知れないな! 」
キノコン
「 盗撮罪確定ですエリ 」
春舂霄囹
「 堂々と真正面から撮るんだ。
盗撮とは言わないぞ 」
僕は女の色っぽい喘ぎ声が聞こえる部屋の前に来た。
閉まっているドアの前に立っているのに、ベッドがギッシギッシと軋んでいる音が聞こえる。
春舂霄囹
「 ベッドが今にも壊れそうな軋みだな 」
キノコン
「 発情期の猿みたいにハッスルしている男の声も聞こえますエリ。
生々しいですエリ~。
バズっちゃいますエリ 」
春舂霄囹
「 鍵が掛かっているな。
まぁ、当然か。
真っ裸で行為の真っ最中だからな 」
僕は法術で鍵を解錠する。
室内の鍵ってのはチョロ過ぎるな。
僕はドアノブを掴むと、力強くドアを開ける。
バタン──と音を立てて、お楽しみ中の室内へズカズカと入った。
春舂霄囹
「 ──おい!
どっちが犯罪者なんだ! 」
女
「 きゃあぁぁぁぁぁ!!!! 」
男
「 うわぁぁぁぁぁぁ!?!? 」
男の●●●●を尻の穴にブッ込んだ状態で、ベッドの上で四つん這いになっている女が悲鳴を上げる。
懸命に腰を動かしていた男が僕とキノコンに気付いて叫び声を上げる。
春舂霄囹
「 黙れよ、犯罪者!
碁会所の前に死霊を置き去りにしたのは、どっちだ?
正直に言えば、事情を聞くだけで勘弁してやるぞ 」
女
「 何で子供が入って来てるのよぉ!! 」
男
「 ──鍵は掛けてた筈だぞ!
な…何で──?? 」
春舂霄囹
「 そんな事はどうでも良いんだよ!
ネタは上がってるんだ!
白状しろ!
──女ぁ!
お前が碁会所に死霊を置き去りにした犯人か! 」
女
「 ご…碁会所なんか行かないわよ!! 」
春舂霄囹
「 そうか!
なら、犯人は男のお前だな! 」
男
「 部屋から出ていけよ!!
警察を呼ぶぞ! 」
春舂霄囹
「 はぁ?
馬鹿かなのか、お前はぁ!!
犯罪者が警察を呼ぶのか?
ふざけるのは顔だけにしとけぇ! 」
キノコン
「 中々大きい逸物ですエリ。
使えないように潰しちゃいますエリ? 」
春舂霄囹
「 それは良いな!
切り取って女にしてやろうか 」
男
「 ひぃぃぃぃぃ!!
勘弁してください!!
許してくださいっ!!
俺は頼まれただけなんですぅ!! 」
春舂霄囹
「 頼まれたぁ?
男ぉ!
詳しく話せ! 」
男
「 はっはいぃぃぃぃぃ!! 」
真っ裸の男はベッドから降りると、床の上に正座をして座る。
男の●●●●は反り返っていてビンビンだ。
春舂霄囹
「 こんな状況で感じてるのか?
お前、とんだ変態だな!
まぁ、良い。
お前に依頼した奴の事を洗いざらい話せ! 」
男
「 はい──!! 」
春舂霄囹
「 ふぅん?
そいつが黒幕か。
まさか、霊能力者の仕業とはな! 」
キノコン
「 霄囹ちゃま、鼕朴圄和音はヤバい噂の絶えない霊能力者ですエリ 」
春舂霄囹
「 へぇ?
鼕朴圄和音って奴は、そんなにヤバい奴なのか? 」
キノコン
「 はいですエリ。
薬物の売人もしてますエリ。
霊能力は亰邊晁子に匹敵しますエリ 」
春舂霄囹
「 へぇ?
亰邊晁子なら、今度の心霊特番で共演する相手だ。
彼女に匹敵するか──。
面白いじゃないか。
よし──、次回の配信動画は鼕朴圄和音に突撃インタビューにしよう! 」
キノコン
「 畏まりましたエリ 」
春舂霄囹
「 君には礼を言わないとねぇ。
だけど、お前がした事に対しての報いは受けてもらうぞ 」
男
「 報い──?? 」
春舂霄囹
「 そうだよ。
悪い事をしたら、別の形に変わり自分に返って来るものさ。
因果応報ってヤツだ。
事故,事件,病気とか──イレギュラーな不運に見舞われて不幸になる。
身から出た錆とか自業自得とも言うかな?
まぁ、そんな事は良いんだ。
お前には相応の罰を受けてもらう 」
男
「 ひいっ!! 」
春舂霄囹
「 キノコン、カメラを止めろ 」
キノコン
「 はいですエリ 」
キノコンは素直に回していたカメラを止めた。
春舂霄囹
「 キノコンに御褒美だ。
コイツ等を喰べて良いぞ 」
キノコン
「 霄囹ちゃま、宜しいですエリ? 」
春舂霄囹
「 当然だ。
正当な報いだからな!
これからも僕のサポートを頼むぞ 」
キノコン
「 はいですエリ!
誠心誠意、サポートさせていただきますエリ! 」
春舂霄囹
「 僕は玄武と弓弦に黒幕──鼕朴圄和音の事を知らせて来る。
喰べ終わったら玄関に来いよ 」
キノコン
「 畏まりましたエリ 」
室内にキノコンを残して、僕は部屋を出る。
ドアを閉めたら、玄武と弓弦が待っている玄関へ向かって歩いた。