⭕ 少年陰陽師★平安幻想異聞録 58
翌日の夕暮れ時に、魔喰らいの弓の調整をする為に魔具屋へ出掛けていた弓嘉さんが獅東屋敷に帰宅した。
皆で夕食を済ませた後、彩志さんから話が切り出された。
話の内容は主人公の事,千颯の事,陰陽院の奥にある “ 試練の洞窟 ” の最深部の祠に奉納されている3種の神器の事だ。
千颯の妖刀が神器扱いされてる事には驚いたけど、神器って呼ばれている物が他にも2つ有る事にも驚いた。
残りの2つが気になるかもだ。
主人公の事情を知らなかったのは、愿縲さんだけだったけど──、主人公が故郷の時代へ帰る為の手掛かりを独断独自で探していた事や “ 時渡りの妖怪 ” についての情報を得る為に独断独自で妖怪の総大将に囲碁勝負を挑んでいた事が、弓嘉さんと愿縲さんにバレてしまった。
流石に囲碁勝負に負けた総大将達から名前を奪って式隷にしている事は上手く隠せているけど、何時かはバレてしまうんじゃないかって内心ヒヤヒヤしてしまう。
怒られるのは仕方無い事だと思う。
幾ら最強の陰陽師とはいえ、主人公は未成年だ。
未成年が1人で妖怪の住処に赴いて総大将達と囲碁勝負を挑むなんて無茶振りをしていたんだから、怒られても文句は言えないし、反論や言い訳をする資格もないだろう。
御説教を甘んじて受け入れる義務があるわけで…………。
弓嘉さんと愿縲さんが主人公の事以上に驚いたのが、千颯の正体についてだ。
千颯自身は良く分かってないみたいだけど、鬼人族の総大将である可能性が高い事は、十分に驚く要素がある。
然もだ、千颯の愛刀でもある妖刀が “ 試練の洞窟 ” の最深部にある祠の中に奉納されている事も加わるのだから、驚く要素が高過ぎるってもんだ。
妖刀を取り返す事が出来れば、千颯は膨大で強力な妖力が戻るし、失っていた記憶も戻る可能性がある。
そうなると、千颯にとって、陰陽師,貴族,帝だけじゃなく、人間が敵になる可能性も出て来る。
最悪、記憶を取り戻した千颯と戦わないといけない事になり兼ねない。
戦いたくはないよな…。
彩志さんは “ 試練の洞窟 ” の最深部には3つの祠がある事を教えてくれた。
1つ目の祠に奉納されている3種の神器は、妖刀だと分かった。
2つ目の祠に奉納されている3種の神器は、鏡らしい。
何で鏡なのかは分からないけど、神器の鏡は未来を映し出して見せてくれるんだとか。
こればっかりは実際に試してみないと分からないな。
嘘かも知れないし!
最後の3つ目の祠に奉納されている3種の神器は、虹色に輝く勾玉らしい。
虹色に輝く勾玉…………現代の陰陽院で書庫の金庫の中に入っていた勾玉じゃないよな??
まぁね、仮に主人公が現代でゲットした勾玉が3種の神器の1つだったとしてもだ、平安時代の3種の神器は無事な筈だ。
うん、勾玉の件は黙っといた方が良いよな?
彩志さんは何時でも好きな時に顔パスで陰陽院に入れる立場の人らしい。
ねぇ、何でぇ!?
彩志さんって何者なの!?
無実の疑いを掛けられた愿縲さんは、疑いが晴れた事もあって陰陽院に顔パスで入れるみたいだ。
陰陽師として凄い人だから、愿縲さん専用の部屋があって、何時戻って来ても構わない様に現在もそのまま残されているらしい。
ねぇ、どんだけ凄い陰陽師なの??
オレは──じゃなくて、主人公は陰陽師だし、彩志さんの養子だから問題なく陰陽院に入れるだろう。
弓嘉さんは退魔師として、彩志さんの護衛として陰陽院に入れる様にするみたいだ。
占い師の惠茜さんは戦えない。
足手まといにならない様、獅東屋敷に残って留守番するみたいだ。
神器として奉納されている妖刀の持ち主でもある千颯は主人公達と同行しないといけない。
だけど、陰陽師でもない未成年の子供を陰陽院の中へ入れる事は出来ない決まりになっている。
退魔師の弓嘉さんが陰陽院の中へ入る事すら異例中の異例なんだから、子供なんて論外だろう。
そんな訳で、千颯に関しては、主人公の陰陽術──隠行で姿と気配を消す事にした。
千颯が迷子にならない様に傍には夕鶴ちゃんを付ける事にすれば大丈夫だろう。
陰陽院へ行く日は、明日になった。
善は急げって事かな。
彩志さんの話が終わる前に千颯が駄々を捏ねる。
どうやら千颯は夕鶴ちゃんが嫌みたいだ。
夕鶴ちゃんも子守りは嫌みたいだったからなぁ……。
夕鶴ちゃんよりも惠茜さんが良いって駄々を捏ねる千颯が子供らしくて可愛い。
彩志さんさんも千颯には甘いみたいで、戦えない惠茜さんも同行する事になった。
主人公の隠行で惠茜さんの姿と気配を消す事になった。
千颯は嬉しそうに惠茜さんに抱き付いて喜んでいる。
惠茜さんはと言うと、顔が見えないから分からない。
陰陽院へ行って、“ 試練の洞窟 ” へ入るのは──、主人公,弓嘉さん,彩志さん,愿縲さん,惠茜さん,千颯の6人だ。
戦力にならないのは、占い師の惠茜さん,子供の千颯の2人。
主人公は夕鶴ちゃんに守護ってもらえるから敵からのダメージは受けないけど、弓嘉さん,愿縲さん,彩志さんは敵のダメージを受ける事になるだろう。
弓嘉さんのLVは頑張って上げたから、戦力になるけど……、愿縲さんと彩志さんのLVが気になる所だ。
マオキノ
「 マオ様、“ 試練の洞窟 ” に入ったら、[ キャンプ地 ]でパーティ編成が出来ますエリ。
戦闘中の陣形も決めれますエリ。
最深部へ行く前に仲間のLV上げを優先してくださいませエリ 」
マオ
「 普通はLV上げを最優先するだろ?
何か有るのか? 」
マオキノ
「 10階毎にボスが出現しますエリ。
3つの祠が在るのは最深部の101階ですエリ。
100階に付いたら隠し通路を塞いでいる扉の窪みに黄金の鍵を嵌め込んでくださいませエリ 」
マオ
「 黄金の鍵?
現代の陰陽院で食堂のおばちゃんから貰った黄金の鍵か?
書庫にあった金庫を開ける時に使った黄金の鍵? 」
マオキノ
「 はいですエリ。
現代で入手していない場合は、一旦 “ 試練の洞窟 ” を出て、陰陽院でイベントを発生させる必要がありましたエリ 」
マオ
「 うわっ、戻らないといけないのかよ?
現代で入手しといて良かった~~。
100階に着いたら、直ぐに101階に行ける訳だな。
皿洗いを頑張っといて良かったな~~ 」
そんな訳で、彩志さんの話が終わって解散になったけど──、主人公は弓嘉さんと愿縲さんに捕まった。
正座をさせられた主人公は、弓嘉さんと愿縲さんから、こっぴどく御叱りと御説教を受ける事になった。
真剣に怒られる──って事は、それだけ “ 心配してもらえてる ” って事なんだろうな。
うん、そう思いたい。
そう思う事にしよう!!
画面の絵は御説教している弓嘉さんと愿縲さんを前にして、正座姿でて項垂れている主人公の後ろ姿が描かれている。
一寸笑える絵だったりする。
◎ 訂正しました。
内心ヒヤヒヤしてします。─→ 内心ヒヤヒヤしてしまう。