主人公と弓嘉さんの姿が画面から消えると真っ暗になる。
【 [ セーブ ]しますか? 】って文章が出たから、何時も通りに〔 する 〕を選ぶ。
画面が切り替わると獅東屋敷に到着していた。
流石はゲームだ。
こういうショートカットは有り難いよ。
獅東屋敷の敷地内に入ると彩志さんが出迎えてくれた。
千里眼がん眼通つうが有れば、弓ゆみ嘉かさんと主人公シュンシュンが徒歩で獅しし東とう屋敷を目指している状況を見れる筈だ。
迎えの牛ぎゅう車しゃでも寄越してくれたら良いいのに……。
彩さい志しさんの千天てん里眼がん眼通つうは見える範囲が短距離なのかも知れないな。
彩さい志しさんに式隷の事を打ち明ける必要ないかもだ。
「 お帰りなさい、弓ゆみ千ち嘉か,春しゅん。
その赤あか子ごは…… 」と主人公シュンシュンが抱っこしている赤ちゃんに気付いて彩さい志しさんの台詞。
赤ちゃんを連れ帰って来きた2人を不思議そうに見ている。
「 …………弓ゆみ千ち嘉か……。
紫陽花の姫ひめ君ぎみの屋敷で、春しゅん麗れいに何なにをしました? 」と笑顔なのに怖い雰囲気を漂わせる彩さい志しさんの台詞。
「 私は何なにもしていない!
夕ゆう食げの時ときに顔は合わせたが、話しもしてない! 」と彩さい志しさんからの疑いを晴らそうと必死に否定する弓ゆみ嘉かさんの台詞。
「 父上、紫陽花の姫ひめ君ぎみの屋敷で、弓ゆみ嘉かとは何なにもなかったのは本ほん当とうです!
この子を良よく見てください。
額に小さな角つのが生はえています!
この子は──、人間の赤ちゃんではないと思います! 」と弓ゆみ嘉かさんを庇かばう為、必死に証言する主人公シュンシュンの台詞。
「 詳しい話はなしは中で聞きくとしましょう。
赤あか子ごは私が預かります。
2人は先ず、入浴して来きなさい 」とさ・っ・き・とは打って変わって柔らかい笑顔で彩さい志しさんの台詞。
彩さい志しさんは主人公シュンシュンから赤ちゃんを受け取ると器用に抱っこする。
えぇ~~~~、彩さい志しさんも赤ちゃんを抱っこするのに慣れてるんだ……。
何なんでだよ?
ドット絵の3人は中庭を通とおって玄関から屋敷内へ入はいる。
主人公シュンシュンと弓ゆみ嘉かさんは彩さい志しさんと別れて浴室へ向かって歩いて行く。
画面が切り替わって、居間の様子が映し出される。
居間に誰かが入はいって来きて、座すわる音おとがする。
「 紫陽花の姫ひめ君ぎみの屋敷で、鬼き人じん族の赤あか子ご……。
一体何なにがあったと言うのでしょう……。
厄介な事にならなければ良よいのですが…… 」と姿の見えない声の主ぬしの台詞。
どう考えても彩さい志しさんだよな。
彩さい志しさんって、鬼き人じん族を知ってるんだ…。
これも千天てん里眼がん眼通つうの力ってヤツなのかな?
「 さて……この子を今後、どうするか……。
未まだ赤あか子ご。
鬼き人じん族の両親が、この子を探しているかも知れません 」と困った様子の彩さい志しさんの台詞。
暫くすると入浴を済ませた主人公シュンシュンと弓ゆみ嘉かさんが居間に入はいって来きた。
座すわる音おとがする。
「 随分と長い入浴でしたね。
汚よごれは綺麗に落とせましたか? 」と意味あり気げに彩さい志しさんの台詞。
「 あぁ、確しっかり落として来きた。
何ど処こにも血は付いてないぞ 」と自信満まん々まんに弓ゆみ嘉かさんの台詞。
「 父上……、紫陽花の姫ひめ君ぎみの事なのですが…… 」と言い難にくそうに主人公シュンシュンの台詞。
「 構いません。
紫陽花の姫ひめ君ぎみの屋敷へ着いてから、此獅しし東とう処屋敷へ帰って来くる迄の経緯を聞かせてください 」と彩さい志しさんの台詞。
主人公シュンシュンと弓ゆみ嘉かさんは、美み加かとの屋敷で過ごした様子や起きた出来事を交互に話して彩さい志しさんに聞かせる。
流石さすがに弓ゆみ嘉かさんの前で事実を話す事は出来ないから、主人公シュンシュンは巧みに嘘を織り混ぜて話している。
シュンシュン、陰陽師を廃業しても詐欺師でやって行けるんじゃないか?
「 そうでしたか──。
紫陽花の姫ひめ君ぎみの事は残念でなりません……。
2人が無事で何なによりです。
苦労を掛けましたね 」と申し訳なさ気げに彩さい志しさんの台詞。
「 貴族の若者達が行方不明になっていた事件の犯人が、妖怪の化ばけ物もの蜘ぐ蛛もだと判明し、退治が出来た。
良よかったじゃないか。
屋敷を出ると沼地にになっていた。
それだけ強力な妖術を使う妖怪だったのだろう 」と弓ゆみ嘉かさんの台詞。
本ほん当とは倒してなくて、式隷にしてるんだけど、言えないよな~~。
美み加かとも生きてるんだけどな……。
それにしたって、弓ゆみ嘉かさんが、彩さい志しさんから別の依頼を受けていて、美み加かとの屋敷に来きてたのは知らなかった。
彩さい志しさんも教えてくれたら良よかったのにな!
「 弓ゆみ千ち嘉かと春しゅんが倒したから妖怪の中から現れたと言う、この赤あか子ごの事を話しましょう。
この赤あか子ごは見た目の通とおり、人間ではありません。
額から見える小さな角つのは、鬼き人じん族の証あかしと言われています。
鬼き人じん族については文献に “ 遥か昔に絶滅した ” と書かれています。
“ 絶滅した ” とされている鬼き人じん族の赤あか子ごの存在が、良よからぬ事を企たくらむ者達に知られると大変な事へ発展し兼ねません。
この子の角つのは陰陽術で隠し、獅しし東とう屋敷で育てます 」と彩さい志しさんの台詞。
「 彩さい志し、育てると言っても赤あか子ごの育て方等など、私は知らないぞ 」と弓ゆみ嘉かさんの台詞。
「 父上──、恥ずかしながら僕も赤ちゃんの育て方は…… 」と不安そうに主人公シュンシュンの台詞。
「 弓ゆみ千ち嘉か,春しゅん──、何なにも難むずかしく考える事はないです。
構え過ぎる必要もありません。
私達の “ 妹 ” として育てれば良よいのです 」と彩さい志しさんの台詞。
「 妹…… 」とバツが悪そうに呟つぶやく弓ゆみ嘉かさんの台詞。
「 そうです。
兄姉弟妹きょうだいに年齢差があるのは珍しくありません。
片親が違う事も貴族では珍しくありません。
父親が同じでも母親が違えば、弓ゆみ千ち嘉かと私の様ように似てない異母兄姉弟妹きょうだいは多いです。
春しゅんは私の養子になりましたけど、歳としの離れた弟の様ようにも思っています 」と笑顔で彩さい志しさんの台詞。
彩さい志しさんの言葉は嬉しいけど──、弟だと思ってる主人公シュンシュンに対して、パオパオしたり「 子供を産んでね 」ってのは、どうかと思うよ…。
「 弓ゆみ千ち嘉かには妹が居いますね。
私にも可愛い妹が居います。
接し方なら分かっていますし、見方を変えて “ 妹として ” ならば、難むずかしくはないでしょう? 」と考えを覆くつがえす気の無なさそうな彩さい志しさんの台詞。
「 …………彩さい志しは頑固だからな……。
現当主は彩さい志ししだからな。
彩さい志しの考えに従おう 」と弓ゆみ嘉かさんの台詞。
「 分かりました。
僕も赤ちゃんを自分の妹だと思って接します 」と主人公シュンシュンの台詞。
とまぁ3人の話し合い(?)を経へて、両親不明の鬼き人じん族の赤ちゃんは3人の妹として獅しし東とう屋敷で育てる事に決まった。
因ちなみに名前は “ 獅しし東とう千ち颯はや ” と名付けられた。
本来の名前が分からないから “ 仮か名めい ” ってヤツだ。
新しい家族を迎えた獅しし東とう屋敷は賑やかになりそうだな。
主人公シュンシュンも弓ゆみ嘉かさんも退魔師だから退魔仲介所へ通かよって依頼を受ける事が多いから、千ち颯はやの相手は中なか々なか出来ないかも知れないな。
言い出しっぺは彩さい志しさんだし、任せても大丈夫だろう。
千天てん里眼がん眼通つうだって持ってるんだからな!
取り敢えず、一ひと通とおりのイベントは終わったかな?
次は式神と弓ゆみ嘉かさんのLVレベル上げを集中的にしないとだ!