✒ 少年陰陽師★平安幻想異聞録 35
テキトーに打てば負けれるかと思って、テキトーに打っていても結局は指導碁で勝ってしまう。
どうしよう…………負けれない……。
弓弦さんと打てば負けれるのに──、ゲームキャラの愿縲さんは弓弦さんより弱いから──負けれないぃ~~~~!!
負ける事がこんなにも難しい事だなんて思いもしなかった。
誰か助けてくれ!!
これじゃあ、何時まで経っても先には進めないよ……。
マオ
「 マ……マオキノ──ヘルプぅ~~~~!! 」
──*──*──*── 1時間後
囲碁なんて嫌いだ……。
もう囲碁なんてしたくない……。
愿縲さんに負けれないオレは、1時間以上も愿縲さんと対局を続けていた。
………………何だろうな……勝ってばかりの対局って意外と詰まらない……。
どんな勝負も負けれないセロも今のオレみたいに詰まらない思いをしてるのかな??
………………セロだしな~~。
してないかも知れないな。
?
「 ──マオ様、3時のスイーツを御持ちしましたエリ 」
マオ
「 マ……マオキノぉ~~~~!!
オレを助けてくれよぉ~~~~!! 」
マオキノ
「 マオ様、どうされましたエリ 」
弓弦
「 マオ、久し振りだな。
元気そうで何よりだ 」
マオ
「 弓弦さん?!
お帰り、弓弦さん! 」
弓弦
「 ただいま、マオ。
一体何を困っているんだ? 」
マオ
「 愿縲さんと対局してるんだけど、負けないといけないんだ。
負けないと物語が進まないんだよ……。
何と負ける為に打ってるんだけどずっと指導碁で勝っちゃって…… 」
弓弦
「 負けないといけない対局か……。
それは難しそうだな… 」
マオキノ
「 マオ様が負けれないのにボクが負けれる訳ないですエリ~~ 」
マオ
「 えっ?!
マオキノでも負けれないのか?? 」
マオキノ
「 はいですエリ。
キノコンが負けれる相手はセロ様だけですエリ 」
マオ
「 そ、そうなんだ…。
弓弦さんは負けれそう? 」
弓弦
「 ………………難しいだろうな。
マオが負けれない相手に私が負けれるとは思えない 」
マオ
「 ガガーーーン……。
そんなぁ~~~~。
じゃあずっと愿縲さんと対局ターンが続くのかよ…… 」
マオキノ
「 マオ様、落ち込まないでくださいませエリ。
100勝すれば話は進みますエリ 」
マオ
「 100勝……するのか?
今は83勝してるから──、後17勝もしないといけないのかよ…。
道程は長いなぁ…… 」
マオキノ
「 マオ様、ファイトですエリ 」
弓弦
「 マオ、私が代わりに打とう。
マオはマオキノが作ってくれたスイーツを食べると良い 」
マオ
「 弓弦さん──、有り難う(////)」
弓弦
「 気にするな 」
──と、そんな訳でオレの代わりに弓弦さんが愿縲さんと対局してくれる事になった。
オレは弓弦さんにコントローラーを手渡す。
弓弦さんはマオキノからコントローラーの扱い方を教えてもらっている。
オレはマオキノが持って来てくれた15時のスイーツを食べる事にした。
テーブルの上に並べられた美味しそうなスイーツを食べながら、オレは愿縲さん VS 弓弦さんの対局を観賞する。
やっぱり弓弦さんは強い。
オレより完璧な指導碁でオレより早く愿縲さんを負かす。
弓弦
「 ………………玄武に似ているキャラだが、随分と弱いんだな…。
この弱さに負けるのは至難の技だぞ 」
マオ
「 そうなの? 」
弓弦
「 あぁ。
棋力はプロ棋士並みだ。
一般人にとっては強い相手だ。
簡単には勝てないだろう。
一般人相手には指導碁で勝つキャラクターではないか? 」
マオ
「 うん、多分そうだと思うよ。
指導碁される側の主人公が指導碁で勝っちゃったんだ。
その所為でライバル視されちゃってさ…… 」
弓弦
「 そうか…。
私に似たキャラクターの棋力はどうだ?
高いのか? 」
マオ
「 弓嘉さんだね。
全然、弱いよ。
異母兄・獅東彩志にも指南役の愿縲にも負けちゃうし…… 」
弓弦
「 そうなのか… 」
マオ
「 それに弓嘉さんはあまり囲碁が好きじゃないみたいだし… 」
弓弦
「 そうなのか?
私に似ていても随分と違うんだな 」
とまぁ──、弓弦さんと会話しつつオレはスイーツを食べ、弓弦さんは愿縲さんと対局を続けたんだ。
弓弦
「 ──これで終わりだな 」
マオ
「 弓弦さん、有り難う!
助かったよ(////)」
弓弦
「 マオの役に立てて何よりだ。
漸く対局から解放されたみたいだな。
マオ似の検非違使も強いのか? 」
マオ
「 …………滅茶苦茶弱いよ。
“ 素質はある ” とか “ 鍛え甲斐がある ” って言われてるから、筋は良いみたいだけどね 」
弓弦
「 そうか。
“ 似ている ” というだけで棋力は違うんだな 」
ゲームの中では夕暮れになっていた。
検非違使と一緒に愿縲さんの屋敷を出る事になった。
マオ
「 ふぅ~~。
このイベントが始まってから終わる迄が長かったな~~ 」
マオキノ
「 マオ様、おめでとう御座いますエリ。
愿縲と性愛ルートに入れる様になりましたエリ★
愿縲とデートを重ねて性愛度を上げてくださいエリ 」
マオ
「 マオキノぉ~~!
主人公には弓嘉さんが居るんだぞ。
愿縲さんともデートを重ねる──って事はだぞ、“ 浮気しろ ” って言ってるのか? 」
マオキノ
「 マオ様、これはゲームですエリ。
ゲームの中では “ 浮気 ” とは言いませんエリ。
“ 親睦を深める ” と表現しますエリ 」
マオ
「 言葉を変えてるだけでする事は同じだろ~~ 」
マオキノ
「 妖魔王との戦闘と対局を有利に進める為には愿縲と検非違使の協力が必要不可欠になりますエリ。
今後のイベントにも影響を与えますエリ。
先を見据えて性愛度は上げておくべきですエリ 」
マオ
「 ………………ま、まぁな……オレが主人公な訳じゃないし?
主人公はシュンシュンだもんな?
割り切ろう…… 」
弓弦
「 何かと難しい内容のゲームらしいな 」
マオ
「 ははは……まぁね…… 」
十字路で検非違使と別れて、弓嘉さんと主人公は獅東屋敷へ帰宅した。
画面に[ セーブしますか? ]って出る。
弓弦さんに〔 セーブ 〕を選んでもらった。
マオ
「 弓弦さん、此処まで進めてくれて有り難う!
本当に助かったよ(////)」
弓弦
「 気にしなくて良い。
私も初めてゲームとやらをしてみたが、慣れる迄は疲れそうだな… 」
マオ
「 確かにね!
オレも慣れるのに時間が掛かったよ(////)」
マオキノ
「 マオ様、ゲームも一段落付きましたエリ。
弓弦様と友達登録をされては如何ですエリ 」
マオ
「 友達登録ぅ?
何のだっけ? 」
マオキノ
「 忘れっぽいマオ様の為に【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 ~ 碁会所 ~ 】のアプリを開いてますエリ 」
マオ
「 あっ!
そっか!
シュンシュンとも【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 ~ 碁会所 ~ 】で友達登録してたよな!
弓弦さん、友達登録しても良い? 」
弓弦
「 あぁ、構わない。
私は登録の仕方を知らないから、マオキノにしてもらった。
マオキノ、頼めるか? 」
マオキノ
「 勿論ですエリ。
お任せくださいませエリ 」
──という訳で、弓弦さんが持ってるスマホとマオキノが出してくれたタブレットで友達登録をマオキノにしてもらった。
マオキノ
「 登録しましたエリ。
弓弦様の【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 ~ 碁会所 ~ 】には、セノコン,ボク,マオ様,霄囹ちゃまが友達登録されましたエリ 」
マオ
「 マオキノ、どうやってセノコンとシュンシュンも友達登録したんだ? 」
マオキノ
「 友達登録をすると友達が登録している友達とも友達登録が出来る様になりますエリ。
マオ様の【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 ~ 碁会所 ~ 】には、霄囹ちゃま,セノコン,ボク,弓弦様が友達登録されてますエリ 」
マオ
「 じゃあ、後は玄武さんだけなんだ? 」
マオキノ
「 はいですエリ 」
弓弦
「 そうか──。
玄武とは中々会う機会が無いんだ。
何処かで待ち合わせするにしても日にちが合わなくてな… 」
マオ
「 弓弦さんも玄武さんも全国を飛び回ってる状態だもんね。
転移魔法は宿泊ホテルや旅館の宿泊室を繋いでるんだっけ? 」
弓弦
「 そうなんだ。
前以て〈 器人形 〉がチェックインやチェックアウトをしてくれるから助かっている。
安心して転移魔法を使えるからな 」
マオ
「 冬休み期間が終わったし、玄武さんも平日は裏野ハイツに帰って来るよ。
──っていうか、冬休みが終わって9日経つけど未だ帰って来てないんだっけ。
何処で何してるんだろう?? 」
マオキノ
「 玄武様は自然の景色が、お好きですエリ。
彼此で絶景巡りをされてますエリ 」
マオ
「 へぇ、そうなんだ?
そう言えば玄武さんって棋譜も好きだけど、色んな風景が撮影されてる写真や本が好きだったよな 」
弓弦
「 そうか。
玄武は趣味を満喫しているのか。
良い事だな 」
マオ
「 弓弦さんは趣味ないの? 」
弓弦
「 私か……。
良く良く考えてみると趣味らしい趣味は思い浮かばないな。
命中率を上げる為に矢を射る訓練はしていたが趣味ではないな。
囲碁も趣味でしている訳ではないし… 」
マオ
「 料理は? 」
弓弦
「 生きる為に必要だったから身に付けた能力なだけで趣味ではないな。
小動物を愛でるのも好きだが──趣味と言える程ではないな 」
マオ
「 そうなんだ?
出来る事が沢山有るのに無趣味なんだね 」
マオキノ
「 マオ様の御趣味はセロ様とイチャイチャ戯れる事ですエリ? 」
マオ
「 何でセロが出て来るんだよ!(////)
オレの趣味は──趣味は…………趣味…………何だっけ?? 」
弓弦
「 ははは…。
セロカ君グッズを集める事じゃなかったのか? 」
マオ
「 あっそうだ!
記念硬貨やセロカ君グッズ集めが趣味だったよな!
永く生きてると忘れちゃうもんだな~~ 」
マオキノ
「 今のマオ様の趣味はゲームかも知れませんエリ 」
マオ
「 そうかもな!
ゲームったって【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 】しか持ってないけどな~~ 」
弓弦
「 マオ、このゲームは未だ続けるのか? 」
マオ
「 えっ?
う、うん……。
セロが居ない間にクリアしたいと思ってるんだ 」
弓弦
「 そうなのか?
マオ、このまま隣で見ていて良いか? 」
マオ
「 えっ?
う…うん……オレは構わない…けど(////)」
弓弦
「 うん?
何故顔を赤らめるんだ?? 」
マオ
「 えぇ~~と……それは…………(////)」
マオキノ
「 マオ様、可愛いですエリ★
記念に1枚撮りますエリ 」
マオ
「 マオキノ(////)
セロには見せるなよ!
バレたら困るんだからな! 」
マオキノ
「 その御約束は出来兼ねますエリ~~ 」
マオキノは楽しそうに持ってるスマホでオレの写メを撮りまくっている。
止めてほしいぃ~~~~!!