✒ 生放送だよ 5
霄囹
「 【 サンタクロース凍死事件 】の被害者は、犯罪者ばかりなんだろ?
警察が逮捕を出来ずに野放しになってた犯罪者達を片付けてくれたんだ。
犯人の妖怪を捕まえる必要なんかないだろう。
僕は探す気は無いし、捕まえ気もないねぇ 」
MC
「 捕まえて退治しないんですか? 」
霄囹
「 ルールを破って善良な市民に迷惑を掛ける悪党共を片付けてくれたんだぞ?
放っといても構わないだろう。
僕は警察官じゃないからな、犯罪者を葬った妖怪を態々捕まえる気はない! 」
僕は会話を強制的に打ち切った。
僕の発言で番組が炎上したって構いやしない。
炎上上等だし寧ろ大歓迎だ!
【 尻ラ●トセ●バー事件 】の被害者にしてやれば良いんだからな!
アッハッハッハッハッ!
その後も番組は無難に進んだ。
OPT,謎の海底遺跡,人体の自然発火,最恐の心霊スポット──等々、様々な話題が番組で取り上げられた。
最恐の心霊スポットなんて異様な盛り上がりを見せた。
陰陽師の僕は質問攻めのだ。
霄囹
「 ──霊観を感受する佛性が鈍い奴には霊的存在は見えやしないし、霊的存在が近くに佇んでいても何も感じられない。
そんな奴は面白半分,興味本意で行くもんじゃない。
憑くのは霊的存在じゃなくて、怪異の類いだ。
怪異の類いには変化を得意とする厄介な奴も居やがるから、とんでもない目に遭う。
修行未達者や未熟な奴は何でも彼でも霊的存在の所為にしたり、“ 取り憑いた ” とか如何にもらしい事を言って、お祓いや祈祷が必要だと思い込ませては誘導しやがる。
行かなきゃ高い祈祷代やお祓い代を支払う必要も無い。
無駄な出費をしなくて済むってもんだ。
深入りをしないに限るのさ! 」
メインゲスト:女B
「 でも怖いもの見たさで行ってしまう人は結構居るみたいだし、好奇心は誰にも止められないと思うわ。
心霊スポットも、ある種のロマンだと思うし…… 」
霄囹
「 行くのは勝手さ。
何が起きても、どんな目に遭っても自己責任だからねぇ。
他人を責めて、他人の所為にするのは止めるべきだな。
どうしても心霊現象や怪奇現象を体験したけりゃ、心霊スポットで肝試しなんてしなくても気軽に超常現象を体験出来るリンフォンで遊ぶ事をお薦めするねぇ 」
メインゲスト:男B
「 霄囹さん、リンフォンって何?? 」
霄囹
「 リンフォンってのはだな── 」
僕はメインゲスト達に《 セロッタ商会 》から発売されるリンフォンの事を話してやった。
2月1日からネットで限定販売される事、明後日の1月15日から予約が出来る事、予約すると非売品の予約特典が付く事も話してやった。
勿論、僕がリンフォンを完全監修している事も付け加える。
セロカ会員じゃないとリンフォンを買う事が出来ない事、リンフォンや非売品は転売禁止である事も教えてやった。
霄囹
「 ──色々話したが、詳細は《 セロッタ商会 》の公式HPSにアクセスして見てくれ! 」
MC
「 霄囹さん──、霊観を感受する佛性ってのが鋭い人には霊的存在は見えるんですかね?
霊的存在が近くに佇んでいたら、何かを感じられるんですか?
そういう人は心霊スポットに行っても大丈夫なんですかね? 」
霄囹
「 行かないに越した事はないねぇ。
さっきも言ったけど、僕はお薦めしないよ。
霊観を感受する佛性が鈍かろうが鋭かろうが──、霊的存在が見えなかろうが見えようが──、近付かない方が賢明だよ。
本当にヤバい場所には “ 落書きが無い ” って言われてるだろう?
落書きがされてるから大丈夫だ──なんて思わない事だ。
何も起きない保証はない。
何かを感じようが感じまいが、妖怪に遊ばれて被害を被るだけさ。
心霊スポットへ遊びに行って様子が可怪しくなったと感じたら、僕のサイトに依頼したまえ!
セロカ会員なら良心的な値段で、お祓いしてやるよ! 」
メインゲスト:女A
「 え~~、霄囹さんもお金取るんですか? 」
霄囹
「 当たり前だろ!
僕はボランティアや善行事業で陰陽師をしてる訳じゃない。
陰陽師ってのは、死と背中合わせの過酷な職業なんだ。
依頼人に金を要求するのは当然なんだよ。
僕は商売で陰陽師をしてるだからねぇ。
インチキ陰陽師に頼るぐらいなら僕を頼った方が間違いはない──って事だけは自信を持って断言出来るねぇ 」
生放送の番組もそろそろ終盤だ。
4時間なんて「 あっ! 」と言う間だったな。
リンフォンの宣伝も出来た事だし、良しとするか。
MC
「 ──そろそろ、お別れの時間です。
番組のEDを陰陽師アイドルの春舂霄囹さんに歌っていただきましょう!
霄囹さん準備の方、お願いします 」
霄囹
「 そうだな 」
MC
「 霄囹さんに歌っていただく曲は、CMで流れる歌です!
霄囹さんは企業スポンサーのCMに初出演される事になったんですね!
CMデビュー、おめでとう御座います!
どうやら準備が整った様です。
それでは歌っていただきましょう!
【 恋してCoffee Jelly 】です! 」
分裂したキノコンの分身体達をバックに僕は本体のキノコンと横に並んでデュエットする。
CMソングのタイトルが【 恋してCoffee Jelly 】って、まんまでセンスの欠片も感じやしないが、中身の歌詞と曲は、気に入っている。
キノコンとハモって歌うのは初めてだが、下手な奴と歌うより断然良い!
キノコンは音程をズラす事なく、安定した音程で歌ってくれる。
無事にEDを歌い終える事が出来ると、スタジオで歌を聞いてくれていた観客,スタッフ,MC,メインゲスト,サブゲスト達から拍手喝采された。
何がそんなに良かったのか僕には分からないが、キノコンは嬉しいのか可愛く愛想を振り撒いている。
キノコンの可愛さに殺られた──って事かな。
キノコン、恐ろしい奴だ!
キノコン
「 CMソングの予約をしてくれたセロカ会員には予約特典で、セロカ君のハンドタオルとキノコンのハンドタオルが付きますエリ!
CMソングを気に入ってくれた人は《 セロッタ商会 》の公式HPSで予約してくださいエリ★
購入特典には霄囹ちゃまのスタンドカレンダーが付きますエリ! 」
霄囹
「 スタンドカレンダー?
そんなのて聞いてないぞ? 」
キノコン
「 明日からスタンドカレンダーの撮影が始まりますエリ 」
霄囹
「 ハードスケジュールだねぇ…… 」
何はともあれ生放送は無事に終わった。
僕はこの後、久し振りに裏野ハイツへ帰る予定になっている。
10日振りの帰宅か。
未だ、全国の碁会所にも顔を出さないといけない。
セロフィートは人使いが荒いな!
文句を言ってやりたい気分だ。
CM撮影とスタンドカレンダーの写真は何処で撮るんだろうな??