✒ 犬を飼いたい 2
オレは子犬型のグレートピレニーズを抱っこしまたまま、椅子の上に腰を下ろして座る。
真っ昼間からオカルト関連の生放送番組があるなんて、どうかしてると思う。
普通はさ、夜に放送するもんじゃないのかな?
然もさ、今は未だ1月だ。
ついこの間正月休みが終わって、冬休みも終わって、今日は13日の金曜日──。
マオ
「 あっ、そうか!
今日は13日の金曜日なんだ!!
今日はホラーズDayなんだ!
だから、昼間からオカルト番組が放送されるだ!!
でも……オカルトってホラーじゃないよな?? 」
セロフィート
「 マオが気にする事もないでしょう。
番組と言うものは視聴率を取る為には、大してジャンルに拘らないものです。
抑霄囹さんの存在自体がオカルト染みてます。
オカルト番組にピッタリの人選です 」
マオ
「 言われてみれば、確かにそうだよな。
シュンシュンは強くなる為に多くの妖魔の血肉を喰らって、人間を捨てて化け物になったんだもんな。
シュンシュン自身がオカルトを具現化した様な存在なんだよな… 」
セノコン
「 セロ様──、珈琲ゼリーですエリ。
御賞味くださいませエリ 」
マオキノ
「 マオ様には苦味のしない珈琲牛乳ゼリーを御用意させて頂きましたエリ 」
マオ
「 オレだって珈琲ゼリーぐらい食べれるぞ。
牛乳とか生クリームとかガムシロップとか粉砂糖を掛ければさ! 」
セロフィート
「 セロ様に御賞味して頂く珈琲ゼリーには何も掛けませんエリ。
純粋に珈琲の香りと味のチェックをして頂きますエリ。
厳選して拘り抜いた珈琲豆だけを使ってますエリ。
お子ちゃまなマオ様のお口には合わない珈琲ゼリーですエリ 」
マオ
「 オレだってブラック珈琲ぐらい、グイッと行けるんだからな! 」
セロフィート
「 ふふふ…。
マオ、“ あ~ん ” してください。
一口、あげましょう 」
マオ
「 セロ!
良いのか? 」
セロフィート
「 セノコン、バニラアイスをマオに。
必要になります 」
セノコン
「 畏まりましたエリ 」
セノコンは冷凍庫から手作りのバニラアイスが入っているタッパを出すと、バニラアイスが映えるを陶器の食器に盛り付けてくれる。
セノコン
「 マオ様、特製のバニラアイスですエリ 」
マオ
「 有り難う、セノコン 」
マオキノ
「 バニラ味のソフトクリームも合いますエリ。
生クリームも美味しいですエリ 」
マオ
「 そんな事を言われたら益々食べたくなるじゃんか~~ 」
セロフィート
「 マオキノ、マオにはなるべく苦くない珈琲ゼリーを2つ用意しなさい 」
マオキノ
「 生クリームとソフトクリームをトッピングしますエリ 」
マオ
「 セロ──、有り難う! 」
セロフィート
「 口に合わなくても残さず食べてください 」
マオ
「 分かったよ 」
マオキノ
「 マオ様、ソフトクリームたっぷり珈琲ゼリーと生クリームたっぷり珈琲ゼリーですエリ 」
マオ
「 うわぁ、美味そうだなぁ~~ 」
マオキノ
「 マオ様、珈琲牛乳ゼリーは最後に口直しで食べてくださいませエリ 」
マオ
「 お、おぅ…… 」
セノコン
「 セロ様──、カフェオレゼリー,カフェモカゼリー,カフェラテゼリー,カプチーノゼリーですエリ。
此方は──、珈琲寒天,カフェオレ寒天,カフェモカ寒天,カフェラテ寒天,カプチーノ寒天,珈琲牛乳寒天ですエリ。
此方は──、珈琲寒天ゼリー,カフェオレ寒天ゼリー,カフェモカ寒天ゼリー,カフェラテ寒天ゼリー,カプチーノ寒天ゼリー,珈琲牛乳寒天ゼリーですエリ 」
マオ
「 セノコン,マオキノ──、また随分と沢山のゼリーを用意してるんだな?
そんなに作って一体どうするんだ? 」
マオキノ
「 自動販売機で販売しますエリ 」
マオ
「 自動販売機ぃ?? 」
マオキノ
「 はいですエリ。
珈琲豆に拘ったリッチでプレミアムな珈琲ゼリーシリーズですエリ。
厳選した珈琲豆と霊験灼然な神幻水を使用した他では味わえない癖になる珈琲ゼリーシリーズですエリ。
プレミアムでリッチな珈琲ゼリーシリーズは、珈琲の苦味と独特のエグ味を楽しむ大人向けですエリ 」
マオ
「 大人向けの自動販売機かよ…。
因みに値段は幾らなんだ? 」
マオキノ
「 ワンコインですエリ 」
マオ
「 ワンコインって事は──、100円!? 」
セノコン
「 マオ様、500円ですエリ。
トッピングには霊験灼然な神幻水を使用した特製バニラアイス,霊験灼然な神幻水を使用した特製ソフトクリーム,霊験灼然な神幻水を使用した特製生クリーム,霊験灼然な神幻水を使用した特製珈琲フレッシュ,霊験灼然な神幻水を使用した特製ガムシロップ,粉砂糖の6種類を選べますエリ。
純粋にブラック珈琲ゼリーを味わいたい人の為にトッピング無しも用意してますエリ 」
マオ
「 そ、そうなんだ…… 」
セノコン
「 ゼリーシリーズ,寒天シリーズ,寒天ゼリーシリーズと3種類に分かれてますエリ。
ゼリーシリーズ,寒天シリーズ,寒天ゼリーシリーズは更に、珈琲,カフェオレ,カフェモカ,カフェラテ,カプチーノ,珈琲牛乳と6種類に分けた自動販売機を用意してますエリ 」
マオ
「 珈琲牛乳も買えるんだ?
珈琲牛乳なら子供でも食べれるんじゃないか? 」
マオキノ
「 リッチでプレミアムな珈琲牛乳ですエリ。
子供には贅沢品ですエリ 」
セノコン
「 食べても問題はないですエリ 」
マオ
「 だけどさ、何で自動販売機販売するんだ?
今迄通りカフェでも開けば良いじゃん? 」
セロフィート
「 自動販売機ならワンコインで手軽に買えます。
セロカードを入れないと買えない仕様にしてます。
マネー払いとP払いを選べます。
マネー払いすれば、セロカードにPが加点されます。
一般向けではなくセロカード会員向けの自動販売機です 」
マオ
「 へぇ……そうなんだ? 」
セノコン
「 《 セロッタ商会 》の公式HPSでも大々的に宣伝しますエリ 」
マオ
「 新しい試みなんだな~~ 」
マオキノ
「 霄囹ちゃまを起用したCMも放送される予定ですエリ。
陰陽師アイドルのCMデビューですエリ 」
マオ
「 シュンシュンがCMデビュー?? 」
セロフィート
「 【 少年★陰陽師★探偵 】とは別の局からドラマのオファーが来てます。
【 超常現象物件 ~ 陰陽師少年の怪奇ファイル ~ 】というタイトルのドラマです 」
マオ
「 へ、へぇ……。
今度は探偵モノじゃないんだな 」
セロフィート
「 【 少年★陰陽師★探偵 】もシーズン2の話が上がってます。
霄囹さんの相棒になるアイドルをシーズン毎に変えて売り出して行きたい様です 」
マオ
「 そう言えば、【 少年★陰陽師★探偵 】でシュンシュンの相棒になった子、良くCMで見掛ける様になった気がする?? 」
セロフィート
「 それだけ売り出したいアイドルなのでしょう 」
マオ
「 ふ~~ん。
ドラマの主役はシュンシュンなのにアイドルを売り出す為の踏み台にされてる──って事かな? 」
セロフィート
「 TV業界とはそういう世界なのでしょう。
此方も霄囹さんと式神のキノコンの出演料でガッポリさせてもらってますし、アイドルを売り出す為に利用されるぐらい大目に見ます。
《 セロッタ商会 》のCMでの共演はNGにします 」
マオ
「 厳しいなぁ……。
何はともあれ、シュンシュンの主役ドラマもCMも楽しみだな~~ 」
セロフィート
「 自動販売機で購入したカップのフタと裏にはQRKが付いてます。
QRKを読み込むと会員特典を得る事が出来る仕様になってます 」
マオ
「 カップにまで仕掛けてるのかよ 」
セロフィート
「 カップのフタと裏のQRKを読み込んでから、カップを回収箱の中へ入れると、セロカードに5P加点されます。
カップを回収箱へ入れるだけで500円分の買い物をしなくても5Pを貰えるのは嬉しいでしょう? 」
マオ
「 カップを回収して再利用でもする気かよ? 」
セロフィート
「 カップ回収,フタ回収に協力した個数と枚数で、会員特典は変わります。
会員特典は10個単位で新たな特典が追加される様になってます 」
マオ
「 会員特典で珈琲ゼリーを買わせ続けるつもりだな?
セコい事するなぁ~~ 」
セロフィート
「 何を言いますか。
商売というものはセコくてナンボです。
提供する側が得をする仕組みになっているのが商売です 」
マオ
「 そだったな~~。
セノコン──、そっちの珈琲ゼリーは試食用じゃないのか? 」
セノコン
「 此方の珈琲ゼリーは弓弦様専用の珈琲ゼリーですエリ 」
マオ
「 弓弦さん専用??
弓弦さんって珈琲ゼリー好きなの? 」
セノコン
「 はいですエリ。
弓弦様はプリンより珈琲ゼリーを好まれてますエリ 」
マオ
「 そうなんだ?
知らなかった…… 」
マオキノ
「 玄武様はプリンが御好きですエリ。
珈琲ゼリーは口にされませんエリ 」
マオ
「 へぇ~~。
玄武さんってプリン派なんだ!
そう言えば玄武さんが珈琲を飲むの見た事なかったな~~ 」
マオキノ
「 玄武様は洋茶よりも和茶派ですエリ。
抹茶プリンを好まれますエリ 」
マオ
「 抹茶プリン……。
一寸想像が出来ないかも…… 」
セノコン
「 抹茶の香りと苦味と風味を楽しめるプリンですエリ 」
マオ
「 へぇ……苦いんだ…… 」
セノコン
「 ほろ苦甘い大人のプリンですエリ。
マオ様には──、トッピングが必要だと思いますエリ 」
マオ
「 トッピングしないと苦くて食べれないプリンって…… 」
セノコン
「 セロ様,マオ様──、霄囹ちゃまが出演される生放送番組が始まりますエリ 」
マオ
「 シュンシュン……半ズボンが似合うな~~。
オレは半ズボンなんて絶対に穿きたくないけど! 」
マオキノ
「 霄囹ちゃま…………美味しそうな生足ですエリぃ~~♥️♥️ 」
セノコン
「 くぅ~~~~!
引き千切って骨までしゃぶり尽くしたいですエリぃ~~♥️♥️ 」
マオキノとセノコンはTVの前に立つと、タオルで涎を拭きながら画面に映るシュンシュンの生足に釘付けだ。
キノコンって、ガチマジにシュンシュンを餌認識してるんだな──って犇々と実感する。
(*´Д`)ハァハァ──と怪しい息を吐きながら、「 エリエリ 」呟きながら、出演しているシュンシュンを見ているマオキノとセノコンの後ろ姿が怖い……。
可愛いけど、ドン引きしちゃうな~~~~。