✒ リンフォン 6
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☆ 祝 ☆ 100話達成!!
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──*──*──*── 1月22日
──*──*──*── イベント先
──*──*──*── 宿泊旅館
──*──*──*── 宿泊室
霄囹
「 ──よし!
これで最後だ! 」
鷹を完成させてからは【 少年陰陽師★平安幻想異聞録 ~ 碁会所 ~ 】宣伝イベントの碁会所巡りを優先してたから、魚の完成が大幅に遅れた。
だけど、漸くリンフォンを完成させる事が出来る!!
キノコン
「 霄囹ちゃま、おめでとう御座いますエリ。
毎日、チマチマと頑張った甲斐がありましたエリ 」
霄囹
「 全くだよ!
これで鬱陶しい怪奇現象に悩まされなくて良くなると思うと清々するねぇ! 」
キノコンは僕のスマホを使い、僕がリンフォンを完成させる記念すべき瞬間を撮影してくれている。
生配信だ。
ガッツリと僕とキノコンの会話も聞かれている。
僕とキノコンの会話に沢山のコメントが付くけど、僕は気にしないでリンフォンを完成させる為に両手を動かす。
キノコン
「 霄囹ちゃま──、最後の動物を完成させると本当に “ 地獄の門 ” が開きますエリ?
ボク、信じられませんエリ 」
霄囹
「 フン!
そんなの僕だって同じだよ。
怪奇現象が身の回りで起きてるからって、ガチで地獄の門が開くなんて信じてないさ!
ロマンだよ、ロ・マ・ン!
カラッカラに渇いた心には潤いが必要だ。
オカルトは娯楽でもあり、ロマンなのさ!
僕は嘘か実か分からないロマンに浸ってるだけさ! 」
キノコン
「 ロマンに怪奇現象は要らない思いますエリ 」
霄囹
「 要るに決まってるだろ。
メイン料理には必ず前菜と副菜が付くだろ。
あれと一緒さ!
退屈で詰まらない平凡な日常にも非現実的な体験をさせてくれるピリッと効いたスパイスが偶には必要なんだ。
怪異の類いだけじゃない。
正体不明の怪物,UMA,UFOなんかも疲れた心をときめかせては楽しませてくれる大事なスパイスさ! 」
キノコン
「 霄囹ちゃま、カッコいいですエリ~~。
顔を撮せないのが残念ですエリ… 」
霄囹
「 仕方無いだろ。
この生配信のメインは僕じゃなくて、リンフォンなんだからな!
確り決定的瞬間を撮すんだぞ! 」
マオキノ
「 心得てますエリ 」
霄囹
「 ──いよし!!
動物が完成したぞ!! 」
キノコン
「 霄囹ちゃま、殺りましたエリ★ 」
霄囹
「 キノコン、僕は未だ誰も殺ってないぞ。
誤解させる様な発言は禁止した筈だ 」
キノコン
「 テヘペロりんりん丸ですエリ★ 」
霄囹
「 くぅ~~~~!
可愛いから今回は許す! 」
マオキノ
「 有り難う御座いますエリ。
霄囹ちゃまの空より広い心に感謝しますエリ 」
霄囹
「 僕の心は空ほど広くはないんだけどねぇ……。
それより見てみろよ、完成した動物を!
何だと思う? 」
マオキノ
「 首が長いですエリ。
麒麟さんですエリ! 」
霄囹
「 そうだ!
麒麟さんだぞ、キノコン!
──で、肝心の地獄の門は開いたか?! 」
キノコン
「 霄囹ちゃま、さっきは “ 信じてない ” って言ってましたエリ 」
霄囹
「 信じてはないさ!
信じてないけど期待するのは自由だろ!
キノコン、窓の外に地獄の門らしき “ 何か ” は見えないか? 」
キノコン
「 霄囹ちゃま、僕には綺麗な星空と半月しか見えませんエリ 」
霄囹
「 マジかよ。
地獄の門は嘘かよ… 」
マオキノ
「 霄囹ちゃま、怪奇現象は無くなりましたかエリ 」
霄囹
「 うん?
怪奇現象か?
天井から真っ赤な無数の手が出てるよ。
ワチャワチャ動いて気持ち悪いねぇ 」
マオキノ
「 霄囹ちゃま、ボクには何も見えませんエリ 」
霄囹
「 そうだろうな。
リンフォンを完成させたのは僕だし、怪奇現象を体験してるのは僕だけだ。
残念だけど、普通のスマホじゃあ、僕に見えている怪奇現象は撮らないな 」
マオキノ
「 折角の怪奇現象をスマホに撮れないのが残念ですエリ… 」
霄囹
「 安心しろ、キノコン!
僕は陰陽師だぞ。
僕に見えてる怪奇現象をキノコンと画面の向こうに居るオカルティアンな視聴者共に見せてやるよ!
目ん玉をひん剥いて見やがれ!
腰を抜かして失禁すんなよ!! 」
マオキノ
「 霄囹ちゃま、お漏らししちゃいますエリ? 」
霄囹
「 ホラーが苦手な奴は見ない方が良いかもな。
生配信を切るなら、今の内だぞ!
因みにだ、“ 合成だ ” とか “ CGだ ” とか “ ヤラセだ ” とかコメントした視聴者には、もれなく僕が呪術を掛けてやるから、胸を弾ませて楽しみに待っとけよ★ 」
マオキノ
「 視聴者に呪術を掛けるなんて、流石は霄囹ちゃまですエリ 」
そんな訳で──、僕は別に切る必要なんてない印を本格的に切って陰陽術を発動させた。
霄囹
「 どうだ、キノコン。
怪奇現象は見えてるか? 」
キノコン
「 霄囹ちゃま!
バッチリ見えてますエリ!
真っ赤な無数の手が天井から生えてますエリ!
ウネウネと動いてますエリ!
ポタポタと落ちてる赤くてバッチい液体は血ですエリ? 」
霄囹
「 そうだぞ。
本来ならリンフォンを完成させた僕にしか見えない赤い液体だ。
酷い有り様だろう?
畳の上に赤い水溜まりが出来てやがる。
本来は室内の畳も布団もテーブルも何ともないんだぜ。
不思議な現象だろう? 」
マオキノ
「 霄囹ちゃま、鏡にボクの姿が映ってませんエリ 」
霄囹
「 そうだろ。
僕の姿も映ってない。
鏡なのに映るべき姿が映らない不可思議な現象も怪奇現象だな 」
キノコン
「 霄囹ちゃま、横の壁に人の顔に見える染みが浮き出てますエリ 」
霄囹
「 そうだな。
人の顔に見えると思うと余計に見えて来るのが染みの不思議だ 」
キノコン
「 霄囹ちゃま、窓に赤い手形がベタベタ付いてますエリ 」
霄囹
「 そうだな。
折角の星空と半月が台無しだ 」
マオキノ
「 霄囹ちゃま、生配信がめちゃんこバズってますエリ 」
霄囹
「 そうかぁ?
どうやら不可思議な怪奇現象は、目の肥えたオカルティアン達の心をガッチリ鷲掴めたらしいな! 」
マオキノ
「 地獄の門らしき物は──見えませんエリ…。
1番の目玉なのに残念ですエリ~~ 」
霄囹
「 ガッカリするなよ、マオキノ。
僕だって騙されてガッカリしてるんだ。
セロフィートの奴めぇ~~、糠喜びさせやがって!! 」
マオキノ
「 霄囹ちゃま、コメント欄に “ セロフィートって誰? ” って上がってますエリ 」
霄囹
「 あぁ?
セロフィートは僕の兄貴だよ。
プロフィールに家族構成が書いてあるだろ。
それを読んで出直して来やがれ! 」
マオキノ
「 霄囹ちゃま、 “ リンフォンを売ってほしい ” ってコメントが上がってますエリ 」
霄囹
「 へぇ?
リンフォンを欲しがる視聴者が多いんだな。
何だよ、画面越しじゃなくて実際に体験したいイカれた野郎共が多いみたいだな! 」
マオキノ
「 オカルティアンはイカれ野郎ばかりですエリ? 」
霄囹
「 ロマン探求者と呼べよ、キノコン! 」
キノコン
「 “ イカれ野郎共 ” と言ったのは霄囹ちゃまですエリ★ 」
霄囹
「 ハッハッハッ~~~~あ!!
後で覚えてろよ、キノコン!
こんがりと炭火焼きしてやるからな! 」