第一章 1-5 「王都フロートリアへ入国」
気づいたら俺はベッドに横たわっていた。
自分の家では無い。見たこともない場所だ。
夢じゃないんだ。
起きあがろうにも、身体中が痛くて動けなかった。
身体の至る所にテーピングがされており、誰かが治療してくれたみたいだ。
「目覚めたみたいですね。」
白い清潔な服を身に纏った女性が近づいてきた。優しそうな表情に安堵してしまい、涙が溢れてくる。
「...ここはどこですか」
ここはどこですか。あなたは誰ですか。助けてくれたんですか。さっきの魔物や魔法は何だったんですか。あの2人は何者なんですか。一緒に捕まっていた人は無事なんですか。ここは現実では無いんですか。異世界ってやつなんですか。家に帰りたいです。どうやったら帰れますか。夢なら覚ましてください。助けてください。教えてください。
疑問はいっぱい頭に巡っていた。言葉を発するのはこれが限界だった。生きている。今はそれだけで十分だった。
「ここは、王都フロートリアの国立病院。私はシスターのリリアンです。あなたはビジュマラの森で魔物、ゴブトカブトの巣に捕らえられていたのです。間一髪で王国軍精鋭部隊に救われ、道中、気を失ったようです。」
シスターのリリアンさんは丁寧に教えてくれた。