第一章 1-11 「フロートリア観光」
ンイチが目を覚ましてから3日が経った。時間の進み方は地球とあまり変わらなかった。
スマホは圏外だが、アスカや友達とのLINE履歴と写真だけが癒しだった。しかしついにバッテリーが切れた。よく持った方だと思う。
スマホが切れたことで、孤独感がいっそう高まった。
人との繋がりは大事だったのだと痛感する。
唯一救いなのが、以前マギアについて教えてくれた女の子(ヨーデルという名前だと知った)と仲良くなった事だ。
「今日は街で買い物するんだ〜街に行った事ないなら案内してあげる!」
「いいの?1人では心細かったから嬉しいよ、ありがとう!」
今日はヨーデルが街中を案内してくれると言うので、ついて行くことにした。身体の痛みも和らいできたし、この世界の事を知る必要があるからだ。
病院を出て、高台から坂道を下る。道中には屋敷がいくつも並んでいた。
大きな広場を抜けるとその先に街があった。街には活気があった。
「ここは商店街だよ!欲しいものは大体ここで買えるんだ!」
人々が行き交う商店街には野菜や果物、豆や草、魚肉などの食料屋、加工済み料理屋、薬屋、レア魔物素材屋、衣服屋、武器屋、装飾屋、家具屋など、バラエティに富んでいた。
目に入るもの新鮮で、たびたび足を止めてしまった。
行き交う人々の容姿は西洋風で、髪色は黒、金、赤系が多かった。瞳の色は明るい金色だった。全体的に身長は高めだ。男性は190cmが平均だ。女性でも170cmくらいかと思う。
品物の購入は貨幣を使って行われていた。貨幣には金貨、銀貨、銅貨があり、国王と思しき顔が精密に刻まれていた。異世界ながら、かなりの技術力を感じた。