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第63羽 願いを言え……え?それだけ?

ごめんなさい。昨日はサボりました。頭痛かったんです……。


 

 岩山をぶち抜いて気絶しているドラゴンに龍帝がため息を吐いた。


『やつにも良い薬になっただろう。……それで挑戦者よ。試練の果てに何を望む?』


 こちらに向き直った龍帝が厳かな雰囲気を作り出しそう問いただしてきた。


「実は数日前、私がお世話になっていた街がコアイマに襲われてしまったのです」


『ほう、コアイマとな。あの残り滓どもめ。まだいたのか』


 龍帝の顔が嫌そうに歪む。過去に何かあったのでしょうか。


『それでそいつを殺せば良いのか?』


「いえ、コアイマは倒せたのでそれはいいです。ただ、連れてきたヒドラに何人も石化されてしまって……」


『ほう、石化とな。それを解除すれば良いのか?』


「いえ、薬を作りたいのでマンドラゴラを取らせてください」


『……うん?もう一度言うと良い』


「マンドラゴラを取らせてください」


『……ああ、好きにすると良い。それで願いは?』


 え?願いは今言ったのなんですが。この後翼竜を探して話を聞こうと思って居たのですけれど、このまま聞いてもいい流れですか?


「……あとは私がいた大陸がどこか知り合いの翼竜さんに確かめたいのですが……」


『そうか。おい、こやつのいた大陸がどこか知っている者は?』


『われだぞ!』


 龍帝が呼べばあの時の翼竜が声を上げた。良かった、まだいたんですね。


『なんだお前か。それで?』


『われがメルと戦ったときは南の大陸にいたぞ』


 南の大陸……。私がいるここは北の大陸です。やっぱり私は別の場所に飛ばされていたんですね。こうなると地竜がいたあの場所の異質さも気になってきますが……。

 そんな考えを龍帝の声に遮られた。


『だそうだ。それで願いは?』


「いえ、これで終わりですけど……」


『え?』


「え?」


『ちょっと待て。それで本当に願いは終わりか?』


「え、ええ」


 どうしたのでしょうか。


『はあーーーー』


 龍帝にまじありえんわこいつみたいな目で見られた上にため息まで吐かれました。

 少しイラッとしましたね。


『良いか?我龍帝ぞ?この霊峰を登った挑戦者の願いを叶えているのに、試練の突破者が久しぶりに来たと思ったら願いはそれだけか?我なにもしていないんだが????』


 めんどくせ……、おっと。めんどくさいですね……。


「そう言われてもですね……、もう特に願いはないのですが……」


 そう答えると龍帝は深い深いため息を吐いた。これ私が悪いんですか??違いますよね??


『ならまた来い。特別にそのときに願いを叶えてやろう。さっきのは願いとも言えないようなものだったからな。その絵に描かれているものはこちらの下にある。取りに行くと良い。ついでに洞窟の中に宝玉が置いてあるのだが、それの様子を見てきてくれ。下手人が忍び込んでな。どうなっているのか知りたいのだ。特別に次、願いをかなえてやるのだ。それくらい良いだろう?』


「……わかりました」


 やれやれわかってない奴だと尊大な態度を取る龍帝。言いたい事はわからなくもないですが、それはそうと腹が立ちます。

 殴ってやりたいですが、勝てないので流石に止めていきます。殴ってやりたいですが……!!


『というのは半分冗談でな。実はその洞窟には封印が施されていて、我々鱗を持つ者は入れないのだ』


「はあ……」


 怒りをこらえていると龍帝は尊大な態度を引っ込めて真摯な態度を取ってきた。それでも半分と言ったのは聞き逃していませんが。


『昔、人間の友が置いていった代物でな。とある存在の一部が封印されている宝玉なのだが、それが実に綺麗な輝きを放つのだ。それの守護を頼まれていたのだが我々竜は輝くものに目がない。つい手を出してしまいそうになるため、入れなくされてしまったのだ』


 馬鹿なのでは?


「それなら別の場所で封印をかけておけば良かったのでは?」


『対象を限定した方が効果が高いらしいのだ。まあ、あやつも我がいるので安全だと思ったのだろう。実際今まで侵入を許したことはなかったからな。ここなら魔物は来んし、人も稀だ。侵入を防ぐ対象は鱗の持ち主だけで良い。とは言え、他の対象に関しても軽い進入禁止の結界はあるそうだが下手人はそれを破ったようでな』


 そう言われるとこれ以上ない場所かも……?


『あやつはものぐさだったから場所を移したくなかったのかもしれんな』


 うーん、ギルティ。


『しかも侵入されたのが眠っている間でな。誰1人として気づかなかったのだ』


 守護を頼まれてのですよね。何してるんですか?

 そんな感情を込めて龍帝を見やれば彼はフイと視線を逸らした。


『ともかくそういうわけで確認してきてくれ。我が結界を破るのは流石に躊躇われる』


「……わかりました」


 龍帝が巻き付いていた巨大な岩山の後ろに回ってみれば、崖と変わらないような急な階段が。飛び降りた方が早そうですね。


『それでは頼んだぞ』


「ええ、それでは」


 地面を蹴って空に身を躍らせる。


 龍帝の姿が見えなくなった辺りで大きく息を吐いた。かなり気を張っていましたからね。

 ……龍帝。かなりの存在感と威圧感でした。今の私では勝てない可能性の方が高い。

 何事もなく話が進んだので良かったです。お母様と戦っていたと聞いたときは本当に心臓が縮む思いでした。


 そんなことを考えていると遂に地面に降り立った。


「あ、見つけました」


 それまで見つかりもしなかったマンドラゴラが足下に。というか無数にあった。

 人数分あればと思いましたが、これだけあるのなら予備まで含めて持って帰りましょうか。


「よし、これで良いでしょうか……、あれ?」


 マンドラゴラを拾い集めているとふと人の気配を感じました。視界の端にお日様のような金が踊る。あの特徴的な巻角は……。


「あれは……メリィさん?」


 そこで目にしたのは龍帝が言っていた洞窟に入っていく彼女の姿だった。


特に面白みのない話と言うこともあって筆も進みませんでした。

だって野郎との会話とか……ねえ?

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