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第58羽 休息を

いつもブクマと評価ありがとうございます!


霊峰ラーゲンを登り始めて既に三日。


「【魔喰牙(ばくうが)】!!」


蒼の流星が一息に距離を喰い潰して巨体に突貫した。最後の一撃を受け、今日もまたドラゴンが雪に沈む。

今日までに倒したその数、実に数十以上。


「はあ……!!はあ……!!」


槍を杖にして寄りかかり、しばし荒くなった息を整える。とんでもない酸素交換効率を持つ『空の息吹』をもってしても息切れを起こしてしまうほどの連戦に次ぐ連戦。

高山であることが幸か不幸か、これ程気温が低くなければ確実に肺がオーバーヒートを起こしていた。


倒しても倒しても行く先々に別のドラゴンが現れる。時に三体の竜を同時に相手することすらあった。人化した状態である程度風をつかむ事ができるようになっていて良かった。鳥の姿のままでは無理だったかもしれない。

運良く勝利をつかめたものの、最後には片方の目が潰れ、左足は火傷に爛れ、脇腹から骨が突きだしていた。吸血鬼の再生能力が無ければそのまま死んでいた。


初日に雪崩と共に滑り下りたのが痛かった。タダでさえ距離が伸びたのに邪魔が入るせいでちっとも山を登ることができない。


おかげでレベルは沢山上がりましたが。


――――――――――――――――――――――――――――――


名前 メルシュナーダ 種族:ブルーファルク


Lv.42 状態:疲労


生命力:8671/11643

総魔力:1473/2419

攻撃力;2864

防御力: 899

魔法力:1189

魔抗力: 886

敏捷力:6917


種族スキル

羽ばたく[+飛翔・強風の力・カマイタチ・射出・急降下・風靡(ふうび)]・つつく[+貫通力強化]・鷲づかみ[+握撃]・空の息吹[+蒼気]・


特殊スキル

魂源輪廻[+限定解放(鬼)・(吸血鬼)・(呪人)]・人化


称号

輪廻から外れた者・魂の封印・格上殺し(ジャイアントキリング)・穢れ払い


――――――――――――――――――――――――――――



能力値に関しては攻撃力の上がり幅が他と比べてものすごい事を除けば特筆することはありません。


スキルに関しては、『羽ばたく』に『風靡』が追加されました。これが、元々あった『強風の力』の風の流れを読み取る力を大きく強め、それに乗ることができるスキルです。言葉にすれば簡単ですがかなり難しい技術です。

吹雪がかなりの確率で起きるこの環境とドラゴン相手という命がけの状況のおかげ……と言うのは癪ですが、使うのには慣れてきました。しかしゾーン状態の奇跡と、スキルとしての補助がなければ習得に何年とかかったでしょう。

師匠に色々と矯正される前だと何十年でしょうか。ともかくこの『風靡』がなければ、さらに空気が薄くなってきたこの山でドラゴンとまともに戦うのは難しかったです。


それにしても……。


「……寒い。少し休まなければ……」


今のところドラゴンが追加で現れる気配はない。

槍をしまい人化を解除して、今のうちに休息できる場所を探す。しばらく歩くと『空間把握』に反応が。


――あれは……洞窟?


雪を被った山肌に人1人が入れるほどの口を開けた洞窟が。

ううむ。洞窟を見ると地竜が思い出されるので嫌ですが致し方ありません。今日はここで休みましょうか。


――おや?


中に進むと焚き火の痕が。どうやら誰かが前にここに来たようですね。火の跡からして……、数日でしょうか。それほど前なら、もうやってくることも無いでしょうからありがたく私が使わせてもらいます。


「《赤陣:かがり火》と《白陣:狂言きょうげん》」


マジックバックから焚き火の痕にいくつかの材料を投入し、人化。魔術で火を付ける。同時に、入り口にも魔術をかける。

狂言きょうげん』は、対象を選択し、かけることで他者の認識をずらすことのできる魔術です。

例えばこの魔術を私に使って出歩くと、私のことを知っている人でも私だと気づかなくなります。とはいえ激しく動けば効果が切れてしまいますし、相手が最初から私を認識している状態で魔術を使っても認識をずらすことはできません。さらに認識を歪められていても、それが私だという確証を得られた時点で効果がなくなります。

今回はそれを入り口にかけて、ドラゴンにバレにくくしたわけですね。


使いどころの難しい魔術な上に、効果もそれほど強くありません。効果も視覚に大部分が割り振られており、匂いなどでバレることも多いです。


なのでこの焚き火もすぐに消さなくてはなりません。それでもかなり寒いので少しだけ……。すぐ消すので暖まりたい。


人化を解除して自らの羽毛にくるまる。


それにしてもこの山に最近人が来ていたんですね。しかもこんな高所に。三日かけて今の高さが13000メートルと言った所でしょう。

まともな……人類では生きていけません。

魔物も強いので……ここで焚き火をした……人物はかなりの……強者と言うことに……なります。


一体……どんな……人が……。あ、ねむ……い。


……すう……すう。



――――ざりっ。


意識が落ちる直前、足音が聞こえた様な気がした。


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