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第56羽 吹雪くなか

いつも見てくれてありがとう。

ブクマも評価も嬉しい!


肌を切り裂く寒さの吹雪をものともせず、咆哮と共にドラゴンが攻撃をしかけてくる。

爪、翼、尻尾、それらの連撃を躱しつつ、隙を見て攻撃を加えていくがまともな威力が出せない。足下の雪と横殴りの風が邪魔をする。踏み込みが上手く行かず、風にバランスが崩され力をまともに伝えることができない。

対してドラゴンは体が大きく体重も多い。少なくとも今のところ風に流されることは無い。


吹雪のせいで視界も悪いなかドラゴンが私のことを見失う様子もない。何らかの感知能力を持っていると考えるべきでしょう。私も吸血鬼の『空間把握』で視界が白だらけのなか戦えますからね。


状況は不利。しかし地竜の時はもっと絶望的でした。ならばこれくらいの不利は覆して見せましょう。


その時体に張り付いて戦うのを嫌がったのか、ドラゴンの体が僅かに浮き上がり、コマのように一回転した。それを後ろに避け、鞭のように襲いかかる尾を姿勢を低くしてかいくぐると反撃をしかける。


――【側刀そばがたな


一気に近づいて足を振り抜けば―――――攻撃が空を切った。


――風が!!


強烈な向かい風が吹き、押し返されてしまった。そのせいで攻撃が届かなかったのだ。ドラゴンが戦撃後の隙を見逃すはずもなく、爪の振り下ろしが体を切り裂く。

地面に転がった私は痛みをこらえてすぐさま起き上がると、次いで飛んできたブレスを躱すことに成功した。


やっぱり想定よりも厳しいかも知れません。血のストックを消費して傷を癒やしながら思う。攻撃を避けているときにも、風に邪魔をされかすり傷を負うことが増えてきた。


――仕方ないですが……。


現状では鳥の姿で戦うと、空気抵抗で不利にしかなりません。攻撃の隙をつき距離を取った。


そこで人化を発動するとマジックバックから槍を取り出し構えた。


「かなり寒いですが、こちらで相手をしましょう」


言葉と共に白い息が吐き出される。

私が人の姿を取ったことにドラゴンは僅かに驚いたようでしたが、その後は関係ないとばかりに攻撃をしかけてきた。


腕の叩き付けを槍で外に流し、無防備な顔に戦撃を叩き込む。


「【双爪そうそう】!」


挟み込むような槍での殴打。左右から打ち据えられたドラゴンは悲鳴を上げて仰け反った。追撃。


「【烈坑閃れっこうせん】!!」


単純な突きを六つ。連続突きが胸の鱗を貫いてダメージをあたえた。

ひるみから立ち直ったドラゴンが突進をしかけてきたので風魔法を補助に無理矢理上空に飛び上がり反撃。


「【崩鬼星(ほうきぼし)】!!」


『急降下』を併用した超威力のダイブドロップキック。背中に直撃した戦撃は轟音と共に大打撃を与え、地面にクレーターを作り上げた。今のはかなり手応えがありました。


と思ったら、起き上がったドラゴンの様子がおかしい。

意味も無く尾を地面に叩きつけ、岩に激突し、やたらめったらにブレスを吐き出し始めた。

狂乱している?かなりの痛かったせいでしょうか。

近づくと巻き込まれてしまうので離れて見ていると、異様な音が聞こえ始めた。


「うわ……」


音のする山頂の方から巨大な質量が滑り落ちてきているのを感じ取った。

雪崩だ。


とはいえ私は飛べます。魔力は消費しますが雪崩の届かない上空に逃れれば問題ありません。

上から見下ろしていると雪崩に飲み込まれるまでドラゴンは狂乱したままでした。まあ、ドラゴンの体温と強さなら死にはしないでしょう。


そう思った瞬間、未だ滑り落ちる雪崩の中から飛び出したドラゴンが襲いかかってきた。


「な!?どうやって!!」


しかも狂乱していたのが嘘のよう。雪で頭が冷やされたとでも言いたいんですか!?

完全に意識外からの攻撃。頭上からの叩き付けを咄嗟に柄で防いだ。


「マズい……!!」


今いるのは空中。翼があるとは言え、ドラゴンの叩き付けを受け止められるはずもなく。

全力で制動をかけるも雪崩に吸い寄せられていく。

なんとか飲み込まれることは防げましたが、足が僅かに巻き込まれてしまった。直ぐに風で雪を散らして飛びだしたので良かったけれど、流れに引っ張られてしまうことになる。


「早く登らないといけないのに」


慣性で雪崩と同じ方向に滑空していくなか、見上げれば同じように上からはドラゴンが追いかけて来た。


「邪魔してくれますね……!!」


滑り落ちる雪崩の上で戦いが始まった。


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