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第53羽 霊峰に向けて

ブクマ、評価ありがとう。

評価がメッチャ増えてた。嬉しい。なきそうなった。

優しい読者を持てて作者は幸せです……!!これからもよろしくな!!

 

「準備完了です」


 冒険者ギルドで手合わせをした次の日の朝。訓練が終わった後フレイさんに無理矢理風呂に押し込まれて、たくさん洗われるアクシデントがありましたが、無事出発できそうです。無事……?


 ともかく、魔物であるはずの私に大事な役目を任せてくれた皆さんの期待にも応えなくてはいけません。

 頑張らなくては。


「よろしく頼む、メル殿。だが無理をすることはない」


「その通りだ。霊峰ラーゲンは過酷な地だ。引き返すことも心にとめておくこと」


「わかりました。ヤガスさん、ワールさん」


「霊峰ラーゲンに行くために必要なものは全部持った?食料、水、マンドラゴラの写し絵、それから……」


「もう!大丈夫です!!確認するのこれで五回目ですよ?」


 フレイさん、あなたは私の母親ですか。気にしてくれるのは嬉しいですが、いささかやりすぎでは?


「うっ、ごめん。ちょっと心配でさ……」


「大丈夫です。私は頑張れますよ」


「ほら、それだよ」


 腕に力を込めて力こぶを作ってみせれば(出なかったですけど)、フレイさんは眉を寄せた。


「あんたは元から無茶しすぎなの。マンドラゴラに関しては後から帰って来るSランク冒険者のパーティーでも間に合う可能性が高いって聞いてるだろう?保険みたいなものだから気負いすぎない。もっと自分を大切にして?」


「……善処します」


 煮え切らない私の答えに呆れたように息を漏らす。腰に手を当てていたフレイさんは何かを思いついた様に方眉を上げると、おどけた様に言った。


「あんたが死んだって聞いたら、あたいもいつの間にか死んでるかもね?」


「そんな……!!」


「冗談だって。じょーだん。深刻な顔しない。ごめんって。それくらい自分を大切にしてってこと」


「……はい」


 でももう言わないで下さいね。死ぬなんて。


「紫陣:加速(かそく)


 手を握り、霊峰ラーゲンがある北に向けて魔術陣を作り出す。


「それでは行ってきます」


「行ってらっしゃい」


 皆が手を振るのを視界に納め、鳥の姿で魔術陣に飛び込んだ。いきなり最高速度に到達し、空にとびだした。

 さあ、霊峰ラーゲンへ行きましょう。

 マンドラゴラと翼竜が持つ情報を求めて。



 ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □



 その数時間後。

 一つの馬車がパルクナットに到着する。地面に突き刺さった剣に白い蛇が巻き付いたロゴが。白蛇聖教のシンボルだ。

 1人、少年が馬車から下りる。


「ここが目的地か」


 知らない土地。思わず瞳が好奇心に輝く。


「待ってよリヒト」


 馬車から不満そうな顔が一つ覗いた。置いて行かれそうになってお冠のようだ。


「ごめん、気持ちよさそうに寝てたからつい」


 そう言ってリヒトは馬車から下りようとするミルをエスコートする。


「全くもう」


「ごめんごめん」


 エスコートに少し機嫌を戻したミルにリヒトが謝っていると、小柄おじいちゃんが話しかけてきた。


「初めまして、この街のギルドマスターをしているヤガスと申します。まさか――――勇者様に来て頂けるとは」


 勇者。白蛇聖教が認め、祝福を授けた存在だ。


「勇者ね……、僕は、俺はそんな大層なものじゃないよ。それに少なくともまだ勇者でもない」


「そうですかな?聞けば別の大陸で、人を助け、悪をくじき、帝種を退けたこともあったとか」


「当たり前の事をしただけだ。帝種に関してはほんとうに偶然だ」


 ふむ、と頷いたヤガスは至極当然の疑問を投げかけた。


「白蛇聖教から突然報告を受けて驚きましたぞ。どうしてここに?」


 その答えは馬車から返ってきた。


「あなた、我々白蛇聖教に救援要請を出したでのしょう?依頼のせいで冒険者が足りないと。街が大きな被害を受けたと。そこの勇者様は、その話を聞くとすぐさま飛び出したのですわ」


 そういって馬車から下りてきたのは金糸の髪を縦ロールに垂らし、不遜な態度を崩さない少女だった。


「ええ確かに。他の冒険者ギルドにも戦力が足りなかったようなので、白蛇聖教殿に連絡をさせて頂きましたが……」


 そこでヤガスは言葉を切り、リヒトの方を見た。


「俺の勇者就任式のパーティーのために色々と集めているって聞いてさ。そんなもののためにって居ても立っても居られなくてね」


「そういうことですか。わかりました。それでは宿泊して頂く場所までお連れしましょう。話はまたそこで」



 ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □



「そうか、奴がやられたか」


「ふむ、色々と便利な奴だったんだが……」


「コアイマ……か。人類も奇妙な名前を付けるものだ」


「もう我々は増えることもできない。うかつに動けば英雄級が顔を出す」


「だから奴の育てる魔物は手駒として便利だったんだがな。まあ、まだ生き残りがいくつか居る。それを死なせなければしばらくはもつだろう。」


「あいつの計画が成功することを祈るばかりだ」


主人公が知らない裏でも着々と世界は動くよ。

次回は多分霊峰ラーゲンの話。早ければ、また明日ね~。

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― 新着の感想 ―
待ちのギルドマスター→街のギルドマスター やっぱミルは好きになれないわ。勝手な思い込みでメルのことあっけなく見捨てたのがどうしても無理だ。 鳥達を憎からず思っていて、メルの戦いぶりから蛇相手に苦戦し…
[一言] コアイマちゃん実は敵の割と大事な戦力補強枠だったのか
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