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第20羽 不利×格上=やめてください死んでしまいます。

すまぬ。短い。

 

 マズいですね……。何がマズいってもう全部がマズいですね。


 頭上から降ってきた魔物。その姿は鱗に覆われ、翼を持たぬことから地竜と呼ばれる種類のものであると確信した。正真正銘、手強いバケモノです。今まで森で遭遇したどの魔物とも比べ物にならないほどの強さを感じる。なにせちょっとした山みたいに大きい。

 

 更に悪いことに、今いる場所は巨大なドームのような空間なので天井があり、光るキノコがあるとはいえ周りの景色は薄らとしか見えない。頭上から降ってきたことから上の方に移動できる何らかの手段があると思われる。

 高さ制限に加え、暗闇。格上相手に圧倒的アウェー。


 これがマズい状況ではないというならそいつは頭がおかしいです。


 そして更に最悪な情報が。こいつが頭上が降ってきたときに私が通ってきた通路は塞がれてしまいました。

 逃げるに逃げられません。

 他にも通路がある可能性はありますがこの暗闇の中、この地竜を相手にしながら探すのは相当骨が折れるでしょう。最早物理的に。

 何より私が通ってきた通路のように隠されていては、しっかり腰を据えて探さないと見つけられる気はしません。

 あとはあの巨大な扉に賭けるしかありませんが……、扉も同様に悠長に調べる時間を与えてはくれないでしょうね。


 不利でしかない状況で、できればこんな格上は相手にしたくありません。私の知っている竜種は、知性が高く会話できるものもいたので、話し合いを試してみましょう。活路を開けるかも知れません。


「チチチッ?(落ち着いてください。お話ししませんか?)」


 出てきたのは小鳥が囀る音だけ。

 あっ……、私しゃべれないじゃん……。


「グオォォッォオッッォオオ!!!」


 竜の咆哮と共に冷静さを欠いたまま戦闘が始まった。


 初手は単純な突進。しかしそれは竜種の強靱な肉体から繰り出されるもので、大型のトラックとすら比較にならない。山だ。山が迫ってきている。

 相手の姿がうまく視認できない中、なんとか【側刀そばがたな】を合わせることに成功する。

 だが――


 ――戦撃でもまともなダメージになっていない。硬すぎる。


 強固な鱗に阻まれて傷一つ付けることもできない。それどころか、相手が強すぎて完全には受け流しきれず、脚に痛みが走った。暗闇でうまく見えない状況ではあるものの、私は戦うときに目だけに頼っているわけではありません。五感全てで相手に対応しています。それでも地竜の攻撃が受け流せなかったのは、ひとえに単純な実力差に因る物。


 まさか戦撃でかすり傷すらないとは思いませんでしたが。


 弾かれるままに距離を取り、呼吸を一つ入れる。


 ――焦ってはいけません。冷静に、一歩一歩進んでいきましょう。


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