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第15羽 鱗二体

 

 上空は翼竜に押さえられて、水中からは魚が狙ってくる。かなり危機的な状況です。

 しかも両方鱗。蛇と言いこいつらと言い、鱗関係で良い思い出がありません。


 ともかく水中の巨魚は飛び出してくるまでどうすることもできません。なのでとりあえず翼竜の対処に注力しましょう。

 例に洩れずこの翼竜もしっかりスペックでは上です。できれば逃げたいですが、背を向けて無事で済むとも思えません。戦って活路を見いだすしかありません。作戦は命大事にです。


 私の戦闘スタイル的には接近できなければ話になりませんので、空を翼で叩いて一気に接近します。もちろん翼竜ものんびり眺めている訳ではありません。


 火球のブレスを吐いて返り討ちを狙ってくる。次々に飛来する火の玉を避けて、最低限の動きで距離を詰めていく。もう少しで手が、と言うよりも足が届く距離になった所で「ヒュンッ!!」という風切り音が。

 急制動をかけて横に避ければ、顔のすぐ横を鞭のようにしなった尾が叩き落としてやろうと通り過ぎていった。それだけでなく真下の水面が「ザンッ!!」と切り裂かれる。


 ぞっと、心臓が縮み上がるような寒さを覚えた。

 翼を切り裂かれて水に落とされた後、生きたまま魚のエサになるところまで想像できました。

 いや、ホントに逃げたいんですけど。


 警戒心から高度を下げて距離を取ると今度は下から魚が。

 特に芸のない飛び上がっての食らいつき。【側刀そばがたな】で受け流しながら、腹に回り込んで蹴り上げる。

 そこで空中で動きの止まった魚へ、


 ――【廻芯戟かいしんげき


 相手の体の芯を捕らえた、戟の一撃ように鋭く突き刺さるローリングソバット。

 戦撃によって吹き飛ばされた魚は見下ろす翼竜の元へ。ぶつかれば御の字だったのですが、翼竜は冷静に尻尾の一撃で降りかかった火の粉を払いました。しかも魚の方も切り裂かれてはいないようです。


 こっちは紙装甲なのに……。

 相手二匹の防御力の高さに若干の悲しみを覚えます。


 とは言え翼竜は感傷に浸っている時間もくれない様で。魚を蹴り飛ばされたお返しだとばかりに火球がはき出される。旋回して避けつつ上昇していきます。

 すると上を取られるのを嫌ったのか、急上昇した翼竜が真上に張り付きブレスで圧力をかけてきました。


 ――このッ!!くッ、振り切れません!


 たまらず高度を下げます。

 このまま水面まで押しつけられるとマズいですね……。

 水に近づく程魚の飛び出し攻撃が避けられなくなります。水面付近まで行くと私は対処できないでしょう。

 しかし不安は的中しませんでした。翼竜が何故か下降をやめたからです。


 何故?その答えはすぐにわかりました。他ならぬ理由の本人によって。


 水中から飛び出してきた魚。咄嗟に蹴りつけ、反動でなんとか避けることができました。

 ……今のは少し危なかったですね。戦撃でなければ魚を蹴り飛ばすこともできません。一応普通の蹴りでも、木がまとめて二、三本はへし折れる筈なんですが。


 と、そこで一人得心が行きました。

 恐らくあの高さが魚に飛びつかれないギリギリに高さなのでしょう。見下ろし続ける翼竜に目を向ける。


 ……なるほど。

 私は魚の飛びつきに対処できていますが、この翼竜には難しいのかも知れません。魚の飛び上がりはかなりのスピードで、避けるのではなく、受け流しを強要されています。

 そして魚は魚で……。


 ではこれで行きましょう。


主人公:飛びつきの対処はこの翼竜には難しいのかも知れません。


作者:そうなんだ……、知らんかった。

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