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「あの〜……どなたか……サーバ・ルームの場所を知ってる方ぁ〜……居らしゃいませんかぁ〜」

 市役所内には……誰も居なくなっていた。

 困った……。

「見習い君、ところでさ……変な奴を見なかったか?」

「変な奴ですか?」

「黒一色のコスプレしてる奴だ」

「ん〜、少なくとも僕は見ませんでしたね〜」

「ああ、気を付けろ……奴は俺達を狙っている。そして、俺達に連続殺人鬼の濡れ衣を着せようとしている」

「どこが濡れ衣だ?」

「濡れ衣は濡れ衣だ」

「これだけ人を殺しといてか?」

「必要な犠牲だ」

「おい、あんた、自分が連続殺人鬼通り越して虐殺犯だって自覚有るのか?」

「違う。殺しかも知れないが、虐殺じゃない」

「あのなぁ……どう違うんだ?」

「虐殺をするのは『正義の暴走』をやってる奴らだけだ。だが、俺達は『正義の暴走』なんてしない。俺達の中には『正義』なんて無いからな。有るのは……男らしい理性的で合理的な現実主義だけだ。はい、論破完了」

「なるほど、女にモテる秘訣が『女にモてたい』と云う気持ちを押さえる事であるように……現実主義者でいる秘訣は、自分を現実主義者だと思わない事な訳か」

「はいはい、男に論破された女は、いつでもヒスを起こして、わけのわかんね〜事を……ん?」

 女?

 いや、たしかに若い女の声だったが……えっと……?

「あ……あの……先輩……逃げて……僕が食い止めま……えっ?」

「お……おい……見習い君……あっ……」

 見習い君の体には……チビのメスガキの「正義の味方」が撃ったテイザーガンが命中し……。

「残念でしたね……このスーツは防電……ん?」

「ウチでその技術を買い上げてもいいが……少しばかり、改良の余地は有るな」

 ええええ?

 あれあれあれあれあれ?

 メスガキにテイザーガンで撃たれたのは……見習い君だった筈なのに……目の前に居るのは永遠の夜(エーリッヒ・ナハト)で……あれ?

 いや、また姿が見習い君に変り……。

 あれ、あれ、あれ?

「俺は、どっちの姿でも構わんが、ややこしいな……クソ」

 だから、どうなってんだよ?

 見習い君だか永遠の夜(エーリッヒ・ナハト)だか判んない奴は、自分のベルトのバックルを叩くと……。

 そこに居たのは……見習い君でも永遠の夜(エーリッヒ・ナハト)でもない、灰色っぽい姿の奴だった。

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