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 ネット通販で一番大きいサイズのライダースーツを買ったら……腹回りは大丈夫だが……袖や足の裾が長過ぎる。

 仕方ない。

 俺は鋏を入れようとし……切れない……。

 なら、カッターだ……あれ?

 クソ……丈夫過ぎる。

 仕方ない。

 腕まくりして……足は折り曲げるか……。

 しかも、色は黒だ。

 これも仕方ない。

 ベランダに出て、ホームセンターで買って来た白のペイント・スプレーをライダースーツに吹き付け……。

 よし、終った。

 部屋の中に持って入り、再度、試着しようと……あれ? 塗り忘れてる所が有るぞ?

 もう一度、ベランダに出る。

 また白く塗る。

 部屋に入って、もう一度、確認。

 あれ?

 何で、また、塗り忘れが?

 もう一度、同じ事を繰り返し……また、部屋に入って確認し……。

 ん?

 この塗り忘れ、何か、おかしいぞ?

 塗り忘れてる箇所が、人間の手と腕みたいな形になって……あ……しまった。

 完全に乾いてなくて、白い塗装が俺の体に付いてた。

 その時、ドアのチャイムが鳴る。

「誰だっ⁉ 俺は忙しいんだぞっ‼」

「あの〜、下の階の者ですが、何かやってますか?」

「何かって、何だ?」

「ベランダで塗装用のスプレーか何か使ってますか?」

「知らんっ‼」

「そうは言っても、上の方から白い塗料か降って来て、洗濯物に……」

 しまった……。

 俺が2代目クリムゾン・サンシャインである事がバレたかも知れない。

 今の御時世、どこに「正義の味方」を名乗る暴徒の手先が居るか知れたモノじゃない。

 俺は用心の為に玄関口の傘入れに入れていたバットを手にして……。

 ん?

 ドアスコープから外を除くと、「正義の味方」の手先となった奴が、誰かと話していて……。

 そして、去って行き……。

 続いてドアが開き……。

「うわああああッ‼」

「うわああああッ‼」

「なんだ、野口か」

「なんだじゃないっすよッ‼ 何してんすかっ⁉」

「お前こそ、今、玄関口に居た奴を何故、逃した?」

「いや、何か、緒方さんがベランダでやってた事のせいで洗濯物が汚れたとか言ってたんで、俺がクリーニング代を出しときました。ところで、何をやってたんですか?」

 俺は、この愚か者の胸倉を掴んだ。

「お前、何て真似をしたっ‼」

「えっ?」

「奴は『正義の味方』どもの手先だっ‼ 早く捕まえに行けっ‼ 捕まえて、事情聴取だっ‼」

「ええええ……えっと……その……あ、まだ、早いっすよ。少し泳がせてからでも遅くないっすよ」

「ふざけるなっ‼ 何を勝手にお前が判断してるんだっ‼」

「ぎゃああああっ‼」

 いくら野口でも野口にも程が有る。

 あまりに馬鹿馬鹿しい失態だが……優しい俺は、野口のまだ治ってない手の傷を、指で思いっ切りぐりぐりしてやるだけで許してやった。

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