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(4)

 俺は仲間達の溜まり場だったマンションに戻った。

 もう、俺の家に俺の居場所は無い。

 悲しいが、それが現実だ。

 全てを奪われた……あの「正義の味方」を詐称するクソどもによって。

 だが……手に入れたモノも有る。

 これだ。

 真紅の朝日が描かれた白いヘルメット。

 バイクのライダースーツを改造したものらしいが……それでも充分な防御力を持ってそうなプロテクター付の白いツナギ。

 あの人は……居なくなった。

 多分、「正義の味方」を名乗るクソどもに殺されたのだ。

 だが、あの人はまだ死んでいない。

 あの人が本当に死ぬのは……あの人の想いを受け継ぐ者が居なくなった時だ。

 まだ、俺が居る。

 俺が居る限り……あの人は死んでいない。

 俺はヘルメットを被った。

 俺は……2代目クリムゾン・サンシャインとなって……俺の輝かしい未来の邪魔になる奴らを全て排除する。

 初代クリムゾン・サンシャインも、それを望んでくれてる筈だ。

 まずは副市長の古賀からだ。

 そうだ……きっと奴は裏で「正義の味方」を名乗るテロリスト達と手を組んでるに違いない。

 とは言え、奴本人を血祭りに上げるのは最後だ。

 奴の家族を痛め付けて、少しづつゆっくりゆっくりゆっくりゆぅ〜っくりと首を絞めるように精神的に追い詰めてやる。

 だが、俺は優しい男だ。

 優しくなければ強くなれず、強くなければ優しくなれない事は、良く判っている。

 ……俺の親父を廃人にした連中の一味だろうと、奴の心がブッ壊れた後、ちゃんと楽に死なせてやろう。

 俺は、「正義の味方」どもの「正義の暴走」を止める為の綿密な計画を頭の中で練り始め……。

 ん?

 入らない……。

 着れない……。

 おい、このツナギ小さいぞ……。

 上がんない。上んない。上がんない……。

 チャックがヘソの辺りまでしか上がんない……。

 不公平だッ‼

 差別だッ‼

 おい、人権屋どもッ‼ 何故、この重大な社会の不条理を見て見ぬフリをして放置してやがるッ‼

 おい、ポリコレ肯定派どもッ‼ 外見至上主義(ルッキズム)は悪い事だって言ってたよなッ‼ なら、この状況を何とかしやがれッ‼

 痩せてなきゃ、2代目クリムゾン・サンシャインになれないって、何かおかしいだろッ‼

 クソッ‼

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