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友達になりたい

 僕は涙を拭いてお礼を言おうとユナの方を見ると、ユナも涙を流していた。


「何でユナさんも涙流してるの?」


 ユナは涙を拭きながら僕の方を向いた。


「だってカイトさんもカイトさんのお母さんも、自分より相手の事を気遣ってました。こんなに優しい家族見たのわたし生まれて初めてで……」


 ぼろぼろと涙を流すユナを見て僕は笑いが込み上げてきた。


「な、何で笑うんですかカイトさん!わたし、何かしました?」


「いや、ユナさんは何もしてないよ。ただ……」


「ただ?」


「優しい人なんだなって」


 僕はそう言って笑うと、ユナは僕から顔を背けた。褒めたつもりだけど何かまずい事でも言ったのだろうか。


「さ、さぁ!カイトさんのお母さんとの話は終わりましたし、今日はここでお開きにしましょう!」


 ユナが手をぱんっと鳴らし、その場を去ろうとした。その時の顔は少し寂しそうに見えた。僕は反射的にユナの手を掴んだ。自分でも今の行動に驚きを隠せないが、こうしなければいけないと感じた。


「か、カイトさん?あの、何でわたしの手を掴んでいるんですかね?」


 ユナは顔を真っ赤にして手が震えていた。僕も自分が勝手に手が出てしまった為、理由が分からない。何とか理由を探そうと心の中であたふたして、何とか一つの理由を考え付いた。


「ほ、ほら!僕まだユナさんにお礼してないからさ!何かお礼したいと思って!何かして欲しい事無いかな?僕に出来る範囲でだけど」


 ユナは掴んでいた震えがさっきより大きくなると顔を真っ赤にして言った。


「じゃ、じゃあ。わたしと、と、友達になってくれませんか?」


 顔を赤くしているユナを見て自分も何故か顔を真っ赤になりながら頷いた。


「よ、よろしくお願いします……」


 その時に笑ったユナの顔は一生忘れないくらいに印象的で可愛いと思った。


「そういえばユナさんって……」


「あ、あの!」


 僕が質問をしようとしたらユナが突然大きな声を出してびっくりした。


「な、何?ユナさん」


「その……わたし達って友達同士になったじゃないですか」


「う、うん」


「な、なので!さん呼びじゃ無くて、ちゃ、ちゃんとか、君呼びとかにしませんか?」


 ユナはこの言葉を言うのに勇気を振り絞ったんだろう。顔から湯気が出そうな程赤くて、震えていた。


「わ、分かった。じゃ、じゃあ、ユナ……ちゃん?」


 何故だかこっちまで恥ずかしくなって顔が赤くなるのが分かる。


「は、はい!か、カイト……君」


「う、うん……」


 何故だか初めて出会った時より緊張感が増した。

今回の話からユナとカイトの2人のストーリーになって行きます。少しづつ距離を縮める2人の関係を楽しんで頂けたらと思います。

次回もよろしくお願いします!

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