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母との再会

 翌日、ユナに言われた通りお母さんとの思い出の物を持ってユナと出会った場所に向かった。


「ごめん、ユナさん。待った?」


 ユナは僕を見るとにっこりと笑い、近付いて来た。


「いえ!全然待って無いですよ!わたしも今来た所です。じゃあ、早速始めましょうか。思い出の物は持って来ましたか?」


 僕はバックの中からお母さんとの思い出の物を取り出した。


「はい、これ」


「手紙……ですか?」


 僕が小学6年生の時、お母さんの誕生日に渡した自分で書いた手紙を持って来た。お母さんはずっと大事に持ってくれていて手紙を渡した時の話をいつも嬉しそうにしてくれていた。


「うん。僕が小学生の時にお母さんに送った手紙。なんか恥ずかしいな……。違うの持ってこようかな」


 僕がユナから手紙を取ろうとした時ユナは手紙を持った手を自分の胸に持って行った。


「いえ、これでいいです!手紙、とても素敵だと思います」


  僕はにっこりと笑うユナにドキっとしてしまった。ユナは僕のそんな気持ちを知らず僕から渡された手紙を机の上に置き、自分の手を祈るように重ねると目を瞑った。さっきのほんわかとした雰囲気とは一気に異なり、ユナの顔は真剣そのものだった。

 数分経つと、手紙から青白く光り出した。その光は姿を変え、お母さんの姿になった。


「お母……さん?」


 僕はその光に向かって質問した。


「カイト。少し見ない間にやつれたわね。ちゃんとご飯は食べてるの?」


 声も喋り方もお母さんそっくりだった。僕は首を横に振ると


「僕、お母さんを楽させるって……決めていたのに……。僕が、僕が無理をさせていたから。ごめんなさい、ごめんなさい……」


 僕は涙を流しながら謝った。誰にも言えなかった気持ちが、抑えていた気持ちが溢れ出した。


「お母さんはカイトが幸せならいいの。お母さんの為にって頑張らなくていいのよ」


「でも……。じゃあ僕は何の為に頑張れば……」


「それはお母さんが決める事じゃ無い。カイトが決める事よ。お母さんは何があってもカイトの味方だから。だから、自分がやりたいと思った事を見つけなさい。お母さん、全力で応援するから」


「うん……」


「そこの可愛らしいあなた」


「は、はい!わたし……ですか?」


 ユナはまさか声を掛けられるとは思って無かったようで素っ頓狂な声を出した。


「そう、あなたよ。名前は何て言うのかしら」


「わたしはユナと申します」


「ユナちゃんって言うのね。カイトの事よろしくね。この子こう見えて結構繊細だから」


「は……はい!!」


 お母さんはニッコリと笑うと突然光が段々と薄くなって来た。


「そろそろ、時間です……」


 ユナは小さい声で言った。とても悲しそうな声だった。


「お母さん、今までありがとう。育ててくれて、ありがとう。お母さんと話せて良かった。」


「私も最後にカイトの声が聞けて良かった。ユナちゃん、ありがとう」


 お母さんは笑うと跡形も無く消えた。僕は涙が止まらなかった。

かなり早足というか早すぎるくらいにお母さんと再会を果たして、序章をこの話で終わらせて頂きます。

めちゃくちゃ早く再会したせいで感動薄い感じはしなくは無いですが、書いてる私は涙流してました。私と一緒に涙流してくれたら幸いです。なんならここまで読んでくださってるだけで涙出てます。次回の章もよろしくお願いします

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