逃げ道
「ねぇねぇ、今日は何してたの?」
ルリの質問に正直にユナと一緒に居たと言える訳も無く、今の僕には嘘を言うしか無かった。
「きょ、今日は家でずっと寝てたよ」
ルリが僕の目をじっと見て来た。
「ふーん。まぁ、いいけど」
僕はバレなかったと思いホッと息をつくと、ルリは僕の部屋がある方を向いた。
「今日は久しぶりにカイトの部屋に入ってみよっかな〜」
僕はその言葉を聞いて慌てふためきながらルリを止めに入った。
「ちょっとちょっと、待ってよルリ。僕の部屋は駄目だよ!」
「え?何で?昔はカイトの部屋で遊んでたじゃない」
「昔は昔。今は今だろ。ほ、ほら、俺の部屋今汚いからさ」
「何言ってるの?カイトのお母さんと同じでカイトも綺麗好きじゃない。アタシに何時も机綺麗にしろだの何だのうるさかったんだから綺麗にしてるでしょ」
僕はこの時しまったと心の中で叫んだ。
「そう!今は汚いんだよ。今日は掃除をしようかなって思ってたんだけど、そのタイミングでルリが来たからさ……」
冷や汗を流しながら何とか誤魔化そうと適当な事を言った。
「その割にはリビング超綺麗だけど……あ!そっか」
一瞬ビクッとしたが続きがありそうなので少しホッとした。
「カイト、大丈夫だよ〜。アタシは気にしないよ?」
顔を少し赤らめながら勿体振るように言った。僕は訳が分からなかった。
「気にしないってどう言う事だよ」
「だ〜か〜ら〜!え、えっちな本があったとしてもアタシは気にしないって言ってんの!女の子にそう言うの言わせないでよ!」
「は?」
全く見当外れの事を言われ僕は素っ頓狂な声が出てしまった。
「いやいや。ほら、カイトも年頃の男の子じゃん?だからアタシも見たらダメとか言わないよ?むしろ健全な男子って事で逆に安心してるまであるし?でもそういう本を読むならどんな本読むとか気になるじゃん?ほら、幼馴染ものとかあったらアタシが危ないって言うか?実は……みたいななのもあるかもしれないじゃん?だから監視役のアタシが見ておかないとじゃん?」
「いや、まずそんな本ないから。後いつからルリが僕の監視役になったんだよ」
「そんなんことはどうでもいいの!って事でカイトの部屋に入りまーす拒否権はありませーん」
「あっ!ちょっと!待って!」
ルリに僕の声は届かず、ドアを開けた。
「あ、カイト君!もう話は終わったのですか?ん?そちらの方は誰なのです?」
「ねぇ、カイト。ここにいる女の子は誰なのです?」
さっきまで楽しそうにしていたルリの顔が一気に怖くなった。
「さ、この子について説明してもらおうか。カイト?」
俺とユナは僕の部屋で正座をしてルリに迫られている。
「カイト君。この人が凶暴な人なのです?」
ユナが僕の耳にコソコソと言って来た。耳がなんかもぞもぞして「ひゃっ」と変な声が出た。
「ちょっとそこ!説明してとは言ったけど、イチャついていいなんて一言も言ってないでしょ!あ、アタシも……じゃ無くて!せ!つ!め!い!を!して!」
これ以上ルリを怒らせると僕の命が危ない……。でも本当のことを言っても僕は殺されそうな気がする。この時僕はこの状況から逃げ延びる1つの策を思い付いた。
最近書くのが楽しくなってやる気が大変な事になってます。このまま終わるまで毎日更新出来たら……いいなぁ……




