お泊まり会
園子さんと別れ、僕はユナと2人きりになった。園子さんが帰る前に僕に対して「彼女は大切にしてね」と言われて慌てて否定した。ユナに園子さんになんて言われたか聞かれたが頑として答えなかった。
「じゃあ、わたしは家に戻りますね。カイト君、それでは!」
ユナが帰ろうとした時、僕はユナを止めた。
「ユナちゃん。ちょっと待って」
「はい?何か言い忘れてましたか?あぁ!おやすみなさいを言うのを忘れてました!」
「そうじゃなくて!」
僕は恥ずかしくてその後の言葉を言おうと思っても声が出なかった。ユナが頭にハテナをう浮かべてこの何とも言えない雰囲気に耐えるメンタルが無い僕は考えるのを辞めて言った。
「よ、よかったら、僕の家に来ない?」
ユナは硬直して僕はこれは言わなきゃ良かったと後悔した。
「い、いや。確かにユナちゃんはこんな僕の家に行くのは嫌と言うのは分かると言うか。でもこんな夜も遅いし森よりは僕の家の方がいいと言うかこんな時間にユナちゃんを1人で帰らせるのは僕も心配すると言うか何と言うか……」
何とか言い訳を並べてみたが、もう言ってしまった為に手遅れだろう。これが同じ学校の生徒だったら瞬く間に噂が広まり気持ち悪いと皆に言われるところだ。その時の感覚が今僕に襲って来ている。
「お友達の家にお泊まり会ですか!!わたし夢だったのですよ!!カイト君のお家の人に何か言われないですかね?」
ユナには喜んで貰えているようだった。
「あぁ……。それに関しては大丈夫だよ。お父さんはずいぶん前に亡くなってて、お母さんは分かると思うけど……。だから、家には誰もいないんだ」
ユナはその時悲しい顔をした。聞いてはいけないのを聞いてしまった子供のような顔をしていた。
「あっ。そう……なんですね……」
「ほら、家で1人でいるのは僕は寂しいからさ。どうかな?いやならいいんだけど」
「い、いやじゃありません!カイト君がいいのなら!」
「じゃ、じゃあ、行こっか」
「はい!お泊まり会楽しみです!」
僕とユナは僕の家に向かった。
「お邪魔しますです。ここがカイト君のお家なんですね!凄く綺麗ですね……」
「お母さんが綺麗好きでね。僕もよく掃除するようになったんだ」
「こ、これは何なのですか!初めて見ます!」
ユナがクーラーを指差したので付けてあげると、「ひゃっ」と可愛い声を出した。
「な……何なのですかこれは!冷たい風が来ました!」
「これはクーラーって言って冷たい風とあったかい風を出してくれる機械なんだよ」
「暖かい風も出せるのですか!?君、わたしの家に来ないですか?お昼寝し放題ですよ?」
「機械はお昼寝はいらないけどね」
「カイト君の家は面白い物が沢山ありますね!」
ユナは僕の家に来てからずっとはしゃいでいた。寝る時間が深夜の1時を超えていた。
今回はお泊まり会という事で日常パートになります!日常パート書いてる時めちゃくちゃ楽しいです。可愛さが伝わればと思います




