1つのマグカップ
「その人は今何されているんですか?」
「その人はね、今天国にいるの。事故で突然亡くなってしまったから。あ、ごめんね?なんか暗い話をしちゃって」
「その方についてどう思ってたんですか?」
「その人は和也君って言うんだけどね。和也君は優しくて、真面目で、でも少し抜けていて。私、その人の事が好きだったの。でも好きって伝える前に空に行っちゃってね……。やだ、私ったら何を話してるのかしら。ごめんなさいね。突然こんな話をして。今の話を忘れてくれない?」
「もし……。もし、和也さんとお話が出来るって言ったら、話したいですか?」
僕は言うチャンスはここだと思い、園子さんに聞いた。
「そんな事が出来るなら……。でも、したくても出来ないのよ。だって亡くなった人とはもうお話出来ないんだから……」
「それを出来る人を知ってるので今日の夜、ここにまた来ます。だから、和也さんとの思い出のものを待って待っていて下さい」
「え……??それってどう言う……」
「砂糖とミルク、ありがとうございました。これがあると僕でも飲めそうです。ユナちゃん、行くよ」
「はーい。また来ようね!カイト君!イチゴミルクまた飲みたいです!」
「またの機会にね」
そして僕達はカフェを出た。
その日の夜。今日行ったカフェに行くと、玄関の所に園子さんが立っていた。
「ちゃんと来てくれたんですね。良かったです」
園子さんは僕達を見ると駆け寄って来て、言った。
「ちょっと君達!和也さんと話せるってどう言う事なの?」
「それを今から見せますね。和也さんとの思い出の物って持って来ましたか?」
園子さんはバックから1つのマグカップを出した。形はお世辞にもいいとは言えないゴツゴツとした形をしていた。
「そ、それは……」
和也さんが僕の隣で驚いた声を上げた。
「それは何ですか?」
「これはね、和也さんが初めて私にくれたプレゼントで、私の為に作ってくれた物なの。形はいいとは言えないけど、私の為に作ってくれたのが嬉しくて宝物なの。私も和也さんに作ったんだけど、渡せずに終わっちゃったんだ……」
園子さんはバックからもう1つのマグカップを出した。そのマグカップには「KAZUYA」と名前が書かれていた。
「じゃあ、和也さんから貰ったプレゼントをこの子に渡して下さい」
「う、うん……」
園子さんはユナにマグカップを渡した。ユナは「ありがとうございます」と言って受け取ると、マグカップを両手で持つと、目を閉じた。
「な、何?……これ?」
ユナの持ったマグカップは光り、それと同時に僕の隣にいた和也さんの魂も光った。
やっと500PVを超えて、4桁PVが近付いて来ました。この作品は面白いと思って頂けるよう頑張って行きますのでこれからもよろしくお願いします!




