初めてのブラックコーヒー
「どうやって園子さんに伝えるの?和也さんが話したい事があるそうですって言うの?」
「いや。この事を言っても園子さんは信じてくれないと思います。魂になった人と会う時は生きている方の人が会いたいと思わないと駄目なんです。そうじゃ無いと報復とか色々あるので……」
和也さんが園子さんに伝えたい事があるのは分かったが、それを園子さんに伝える方法が無い。どれだけ和也さんが会いたくても園子さんが会いたくなかったら会う事が出来ない。だからと言っていきなり押し掛けて和也さんの話をすると逆に不審がられそうだ。
「じゃ、じゃあこう言うのはどうかな?」
僕がそう言うと、ユナと和也さんは頭にハテナを浮かべた。
「いらっしゃいませ〜。2名様で良かったですか?はーい。こちらにどうぞ〜」
僕とユナと和也さんの3人で店に入る事にした。普通の人には和也さんが見えていないのでカフェにいる人にとっては僕とユナの2人しか見えていない。
「和也さんはここで何を頼んでいたんですか?」
僕は椅子に座ると、目の前に座ってる和也さんに聞いた。ユナは初めて入るカフェの家具などをキョロキョロしながら見ていた。
「え、何って……。ブラックコーヒーだけど……。まさか、それを頼むのかい?」
メニューを見ると、見たことも聞いた事も無い飲み物の名前ばっかりだった。
「これを飲めば和也さんの事を少しでも思い出してくれるかもしれないからこれを頼みます。すみませ〜ん」
店員さんを呼ぶと、若い女の人が来た。
「はい、ご注文は何でしょうか?」
「ブラックコーヒー1つとイチゴミルクを1つお願いします」
「ブラックコーヒーはとても苦いけどいいの?」
若い女の人が優しく聞いてきたが、これを飲むのが園子さんが和也さんを思い出す事の近道だと思ったから頷いた。
「はい。お願いします」
「かしこまりました」
若い女の人がにっこりと笑うと、カウンターの方に向かって行った。
「あの人が僕が言ってた園子って人だよ。笑顔が素敵だろ?」
「あの人が園子さん……。とっても優しそうな人ですね!」
「そうなんだよ。とっても優しい子なんだ」
和也さんの顔はとても誇らしそうな顔をしていた。
「お待たせしました。ブラックコーヒーとイチゴミルクになります」
「いただきまーす」
「いただきます?」
僕はブラックコーヒーを、ユナはイチゴミルクを飲んだ。
「うわっ、にっが……」
人生で初めて飲むブラックコーヒーの味はとても苦く、僕にはとても飲める味では無かった。
「だから言ったのに……。子供の君にはまだ早いよ」
僕があまりの苦さに苦虫を噛んだような顔をしているのを見て和也さんが呆れてた。
創作意欲が戻り、やっと連続更新出来ました。このまま続けられるようにします。よろしくお願いします!




