やりたい事
「カイト君は幽霊さんが見えるようになったって言ってましたが、幽霊さんから何かされましたか?」
「いや、何かされた訳じゃ無いんだけど、こっちに気付いた気がしたから急いで逃げたんだよ」
ユナの家に来る前の出来事を思い出して話した。
「もし、カイト君が見たのが幽霊さんじゃなくて魂さんだったとしたら、その方に何か未練があるんだと思います」
「未練?」
「はい。魂というのは人間が亡くなって体から切り離された意識です。普通亡くなってしまったら輪廻転生と言って記憶を無くして新しい何かに生まれ変わり、その人生を過ごします。けど、それを拒んでこの世に残る人もいるのです。その拒む理由が未練です」
「未練……」
話が壮大で難しかったが、分かる事はさっき見た物は何かしら未練を残した魂かもしれないという事だ。未練を残すという事は、何かを果たせなかったという事。
「何か思い残すのは寂しくて辛い事だよな。僕がお母さんにありがとうを言えなかったのと同じで。僕はその辛さを知ってる。だから……」
僕はお母さんに言われたやりたいと思った事を見つけなさいと言われた言葉を思い出し、ユナの目をしっかりと見て言った。
「僕が見たものが未練を残した魂だったとしたら、その魂の未練を代わりに果たしてあげたい。それをユナに手伝って欲しい。ダメ……かな?」
これは完全な僕のわがままだ。自分勝手に決めて、自分勝手にユナを巻き込んでいる。だから、断られても仕方ないと心の中で言いながらユナの返事を待った。そしてユナはニッコリと笑い、僕の手を取って答えた。
「はい、喜んで!今まで魂さんとお話して生きて来たネクロマンサーとしての力、お見せするのです!」
僕は嬉しい気持ちと手を掴まれているドキドキで頭がいっぱいになった。
「ふわあぁぁ……。凄いですね……。建物がいっぱい。あっちも!こっちも!」
「ユナちゃんは森から出た事無いって言ってたもんね」
ユナのはしゃいでいる姿を見てほっこりした僕は幽霊と出会った場所に着いた。そこにはさっき見た幽霊が浮いていた。
「あの人なんだけど……」
僕が指を指した方向をユナが見ると、頷いた。
「確かにあの人は魂で間違い無いですね。ネクロマンサーのわたしが言うので間違い無いのです!」
ユナはドヤ顔でそう言った。
やっと話が進んだ感じがした今回です。いつもその日その日でゼロから考えて作っているので、話が進んだり進まなかったりしますが、やっと進みそうな感じがします(作者が曖昧)
更新頻度は増やしていこうと思うのでよろしくお願いします




